原題:Dear Frankie

2005年1月21日イギリス公開

2004年/イギリス/カラー/102分/ 配給:シネカノン・ワイズポリシー

2006年01月27日よりDVDリリース 2005年、bunkamuraル・シネマ、シネカノン有楽町ほか全国公開予定

公開初日 2005/06/25

配給会社名 0034/0043

解説

耳に障害を持つ息子に、世界中を船で旅する架空の父親の振りをして、手紙を送り続ける母親。
しかし、母子の前にその“父親”は現れた…。

インド、マラッカ、モロッコ、マレーシア…
母リジーは父親の振りをして息子に手紙を書き続ける。
“親愛なるフランキーへ、元気でいるかい”
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夫のDV(ドメスティック・バイオレンス:家庭内暴力)で息子フランキーは耳が聞こえ

なくなった。リジーは老いた母と3人で、夫から逃げ出してきた。
そんな家族の秘密を知らずにフランキーは9歳になった。父親のことなど忘れたいリジー。しかし、まだ見ぬ父へのフランキーの想いはつのるばかり。そんな息子に彼女は作り話で父親のことを語るしかなかった。
「ずっとACCRA号で世界中を航海しているので会えないのよ」
彼女は父親の振りをして息子に手紙を書き続ける。
“親愛なるフランキーへ、元気でいるかい”
インド、マラッカ、モロッコ、マレーシア…フランキーは父からの手紙を心待ちに、日々をたくましく生きている。
スコットランドを転々と暮らす3人。小さな海寄りの町。そこで意外な事が起きる。架空の船「ACCRA号」が寄港するというのだ!
リジーは悩むが、1日だけ息子の父親役〈ONE DAY FATHER〉になってくれる船員を探す。慣れないマニキュアつけて、身なりを必死に整えて、1日だけの父親になってくれる「ストレンジャー」を一所懸命、探すのだ。やっと夢にまでみた父親に会えると大喜びのフランキー。見知らぬ男を父親と心から慕うフランキーに、「ストレンジャー」は次第に本当の父子のように心を通わせていく。そして、フランキーの幸せそうな姿を見て、リジーは忘れていた家族の絆の大切さ、そして女としての幸せを思い出すのだった。息子のために彼女は、勇気を出してDV夫と対決し、未来へ進もうと懸命に人生を自ら切り開いていく。

あなたには守りたい人がいますか?
家族の絆、そして愛と再生の物語
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『Dearフランキー』は、2004年カンヌ映画祭〈ある視点〉部門正式出品作品として、世界中から絶賛され、若いイギリス人女性監督のデビュー作にも拘らず、全世界での公開が決定している話題作だ。世界各国の映画祭での評価も高く、ロナンゼルス映画祭最優秀観客賞、モントリオール国際映画祭ゴールデン・ゼニース賞(ショーナ・オーバック)、ハ一トランド映画祭クリスタル・ハ一ト賞などを受賞。2005年イギリス・アカデミー賞(BAFTA)最優秀新人賞(ショーナ・オーバック)にもノミネートされている。
監督、脚本家、プロデューナー、主演、すべてが女性であり、DVという重いテーマを、女性ならではのユーモアと繊細さで包み、家族の絆の大切さを訴える愛と再生の感動の物語だ。

「オペラ座の怪人」でいま最も注目のジェラルド・バトラーなど旬の英国スターが結集
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出演は、聴覚障害を持つ息子フランキーを必死で守ろうとするシングル・マザー、リジー役にエミリー・モーテイマー。リジーのように通常DVの被害にあった女性は、大多数が働きたくても働けない体となるような身体的後遺症、また男性に対する恐怖心や男性不信に陥り、さらに暴力を受けるのは自分の責任と思い込んでしまい、自分を見失ってしまうというパターンが多いが、モーティマーはあえて脆さや弱さを表に出さない芯の強い女性像としてリジーを演じている。『エリザベス』や『ケミカル51』などモーティマーの出演作は多いが、近年、相次いで出演した、デヴィッド・マッケンジー監督『猟人日記』と、初主演作となる本作での演技が絶賛され、イギリス映画界期待の新星として一躍注目されるようになった。耳の不自由な少年フランキーを表情豊かに演じきったのは、ジャック・マケルホーン。モーティマーと共演した『猟人日記』に次いで映画出演はまだ2作目ながら、この難役をこなした演技力は、評論家筋からも絶賛されている。フランキーの“パパ”を演じる「ストレンジャー」役は、ジェラルド・バトラー。『タイムライン』『トウームレイダー2』などハリウッド大作への出演が続き、『オペラ座の怪人』でのファントム役も話題になった、いま最もホットな男優である。豊かな思いやりとユーモアを持ち、大きな包容力でフランキーとリジーを包み込む「ストレンジャー」役は、バトラーの新しい魅力を引き出すのに成功していて、日本でもこれまで以上にファンが増えるであろうことは間違いない。プロデューサーは、『鳩の翼』や『愛のエチュード』のキャロライン・ウッド、編集は『バンド・オブ・ブラザース』のオーラル・ノリー・オテイ、音楽は『運命を分けたザイル』のアレックス・ヘッフェス、撮影はショーナ・オーバック自身が務める。ロケ地となったのは、ケン・ローチ監督最新作『やさしくキスをして」と同じ、グラスゴー近郊の町グリーノック。その美しい風景も見どころの1つである。

ストーリー

「親愛なるパパへ。また引越しだよ。ママは今度こそ最後だと言う。あばあちゃんはまた引越しするなら死ぬって。今度住む町は海辺なんだ。世界の端だよ」
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 若く美しい母親リジー(エミリー・モーティマー)と9才の息子フランキー(ジャック・マケルホーン)、そしてリジーの母ネル(メアリー・リガンズ)がトラックに乗って、引越し先に向かう。リジーは引越しの度に「これが最後だ」と言うが、それが当たった試しはない。
今度の引越し先は、スコットランドの南西部、グラスゴーに近い海辺の町だ。
 引越し先に着いて、荷物を解きながら、リジーは、フランキーに夕食用のフィッシュ&チップスを買ってきてねと買い物のメモを渡す。ネルも口の前に指でVの字を作り、タバコを買ってきてとジェスチャーで示す。フランキーが出て行っだ後、ネルは「(メモじゃなくて)自分でしゃべらせるようにしなくちゃダメじゃない」とリジーに言う。フランキーは、実は耳に障害があって、その気になれば話すこともできるのに、なかなか自発的に声に出してしゃべろうとしない。それをリジーが許しているのもネルは気に入らないのだ。
 未成年だからとタバコを売ってもらえずにフランキーがおつかいから帰ってくると、リジーは仕方なくネルのタバコを買いに店に出向く。リジーがカウンターにいたマリー(シャロン・スモール)に「さっき息子がタバコを買いに来たはずなんだけど、難聴だからうまく伝えられなかったかもしれない」と言うと、「話は通じたわ。賢い子ね」とマリー。これがきっかけでリジーとマリー
は親しくなり、マリーは一緒に働かないかとリジーに仕事の世話までしてくれる。
 フランキ一は地理が得意だ。世界中の国名を知っていて、今度の学校でも先生に誉められた。それは、パパがACCRA号で世界中をまわっていて、月に2回くれる手紙で新しく訪れた土地の事を書いて教えてくれるからだ。部屋の壁には世界地図を貼って、パパの船が今どこにいるか、頭に旗がついているピンを刺して印を付け、送られてきた切手も大事に切手帳にコレクションしている。フランキーからも必ず返事を出している。

「親愛なるパパへ。新しい切手を送ってくれてありがとう。サメの切手は最高だね。今までで一番かもしれない。ホオジロザメは船も転覆させられるんだって、知ってた?パパの船は無理だけどね。あとひとついい話。新しい家の窓からは、海の音が聞こえるんだよ」
 郵便局にでかけるリジー。フランキーが喜びそうな美しいデザインの切手を手に入れると、手紙を書き始める。
「親愛なるフランキーへ。新しい切手を送るよ。きれいだろ?クイーンメリー号、昔の豪華客船だ。パパも子供の頃海辺に住んでいて、海の塩辛さを味わって育ったよ。今も、ここ甲板の上から味わえる、とても塩辛いよ。パパの船は今喜望峰に向かってる。海の上の空は抜けるような青さだ。その青はママの指輪に似てるな。見せてもらうと分かるよ」
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パパがフランキーに送っているはずの手紙は、実はリジー自身が書いていた。郵便局に私書箱を開き、そこにフランキーがパパに送った手紙を転送させ、リジーが受け取っては返事を出し、フランキーとパパが文通を続けているような振りをする。フランキーのためにも、ネルはそんなまやかしはもうやめた方がいいというが、リジーはフランキーを失望させたくなかった。フランキーは母親が綴る架空の父親の手紙を、心から欲している。それはリジーにとっても同じ気持ちだったのだ。何故なら彼女にとってそれが、息子の心の中を知る唯一の方法だったから。
 そんなある日、フランキーは悪戯っ子のクラスメイト、リッキー(ショーン。ブラウン)から、もうすぐACCRA号がこの町の港に寄港することを教えられる。「お前のパパが会いにくるかどうか賭けしようぜ」とリッキー。フランキーはその賭けに乗る。当然リッキーは会いに来ない方に賭ける。

「親愛なるパパへ。返事をさぼっててごめん。パパも忙しいよね。急に北へ航路変更なんて。でもリッキーの奴が『パパは来ないぞ』なんて嫌なことを言うんだ。僕が、上陸許可が下りないかもしれないって説明しても全然わかってくれない。彼は馬鹿だし、嘘つきでね。だから彼と賭けをしたんだ。パパが来たら、その証拠にサッカーに連れて行って会わせる約束だ」
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 リジーの夫とは、彼女へのDVが原因で別れだ。フランキーの耳の障害も、夫の暴力が子供にも及んでいた事を物語っている。夫は、不意に家を出て行ってしまったリジーとフランキーを執拗こ追ってくる。リジーは夫から逃れるだめだけに、街を転々としているのだった。しかしその事は、ずっとフランキーには隠し通してきた。ネルは、フランキーももう真実を知っていい時期だと言うが、リジーは躊躇する。
 「大事な話があるの」とリジーはフランキーに真実を打ち明ける覚悟をする。「知ってる。パパの船が来るんでしょう。でもパパはきっと僕に会いたくないんだね」と手話で伝えるフランキー。それを聞いて、先手を打たれてしまったリジーは真実を打ち明けることができなくなってしまう。
 リジーは、1日だけフランキーのパパを演じてくれそうな男を探そうとするが、酒場で男性客を物色している彼女は娼婦と間違えられて、店から注意されてしまう。愛する息子のために取った行動が、軽はずみにもふしだらな女にみられ、ショックを受けるリジー。止めども無く溢れ出る涙を拭おうともせず、彼女は公園のベンチで夜が明けるまで過ごす。そこに、男友だちと楽しい一夜を過ごしたらしいマリーがやってきて彼女を見つける。リジーはマリーに“男あさり”をしてきたこと、そして、そうすることになった訳を話す。マリーはリジーの秘密と彼女のフランキーへの思いを知って、彼女が求めるような“過去も現在も未来もない男”を紹介することを約束する。

「親愛なるパパへ。サッカーの選考会が日曜に公園であるんだ。僕も補欠くらいなら入れるかもしれないけど、やめとくよ。下手だもん。リッキーとの賭けもどうでもいいんだ。寄港は3日後だし、手紙を書いてもパパのところには届かないかなあ。パパが会いに来られなくても、僕は怒らない。ママは『パパも変わったかも』って言っている。僕の方は確実に変わったよ。身長は142センチある。髪はママと同じ茶系。でもね、きっとママは知っててここに引っ越したんだ。パパに会うためにね……」
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 ACCRA号が入港した日、マリーが紹介してくれた“パパ”(ジェラルド・バトラー)が、契約通りまもなく我が家を訪ねてくるというのに、フランキーはなかなか帰って来ない。フランキーは、パパが会いに来てくれるかどうか、期待と不安でいっぱいで、いつもの港の見える丘に行っていたのだ。マリーがすぐにフランキーを見つけて家へ連れ戻した時は、“パパ”はすでに居間にいた。「大きくなったな」と“パパ”。しかし、フランキーはどうしていいかわからない。“パパ”は「欲しがっていたろ?」とフランキーに熱帯魚図鑑を手渡す。「どうして知ってるの?」と手話でリジーに訊くフランキーに、「手紙に書いてくれてただろ」と“パパ”。ようやく目の前の男性が文通していた「パパ」と重なったフランキーは、彼に駆け寄って抱きつく。今更ながら、フランキーが強く父親を求めていたことを知って、リジーもネルも胸をつまらせる。
 フランキーは、まず賭けに勝ったことを示すために“パパ”をリッキーに見せに行く。続いてマリーの店に。フランキーは「パパだよ」とメモに書いて嬉しそうにマリーに紹介する。その様子を隠れて見守るリジー。この時、リジーの心の中には不思議な感情が交差していた。常にフランキーの事だけを考えて生きてきた彼女にとって、突然現れた見知らぬ、かりそめの父親に心を許している息子の姿を、冷静には見ている事が出来ない。嫉妬とも羨望とも喪失ともつかぬ複雑な感情が、心ならずもリジーの感情を昂ぶらせる。挙げ句の果てに、彼はフランキーを自分の元から連れ去ってしまうんじゃないかとさえ、感じはじめていた。
 リジーの気持ちなど知らないフランキーと“パパ”は、ACCRA号の泊まっている港から海岸へ。石投げをするフランキーに“パパ”は「平たい石じゃないと飛ばないよ」と言って石を1つ手渡す。フランキーは“パパ”からもらったその石をそっとポケットに忍ばせて、別の石を水面へと投げつけるが、当然、石はスキップせずにすぐに水中へと消えてしまった。
 楽しい時間はあっという間に過ぎて、“パパ”がフランキーを連れて家に戻ってくる。リジーと“パパ”との約束では、これでお別れのはず。しかし、フランキーが嫌がり、“パパ”ももう1日だけいいのではないかと提案する。リジーはフランキーを部屋に戻した後、「約束が違う」と“パパ”に忠告するが、逆に彼はリジーに、「フランキーも待っていた。君も長い間待っていただろう?」と説得するのだった。部屋から駆け出してきて“パパ”に飛びつくフランキーを見て、リジーももうダメとは言えない。3人で明日の午後また会うことに決める。
 その夜、ネルは新聞に尋ね人としてリジーが顔写真付きで載っていることに気付き、娘にそっと紙面を見せる。リジーがそこに書かれていた連絡先に公衆電話から電話を入れると、義姉が出てフランキーの実父デイビーが重病でフランキーに会いたがっていると聞かされる。
 翌朝、リジーは、デイビーの姉(アン・マリー・ティモニー)に会いに行く。「血は水より濃いはずよ、彼にひと目フランキーを会わせてあげて」と義姉。しかし、リジーは「まず私が彼に会ってから決めたい」と強く主張する。
 午後1時。リジーとフランキーは待ち合わせの港へ向かう。ACCRA号の船上から2人に手を振る“パパ”。フランキーはお気に入りの場所に2人を連れていく。それは港が見渡せる、あの丘だった。
 夜は、マリーとマリーの恋人アリー(ジョン・カゼック)と共に、5人でコミュニティ・ホールへ。ここは、バンドや歌手が入って、みんなが踊ったり、飲み食いしたらして、楽しく過ごせる場所。しばらくすると、リジーのお気に入りの曲“GREAT WHITE HORSE”が流れてきて、リジーは少女時代のロマンティックな気分を甦らせる。
 〈♪私が少女だった頃 運命の人を夢見てた いつの日か輝く騎士が現れて 素敵なお城へ私を連れていくの彼はドラゴンをすっかり退治する 美しい白馬にまたがって駆け 私に愛を運んでくる 待ち焦がれた愛を 喜びを 永遠の安らぎを そして白馬に乗り 私を連れ去るの〉
 “パパ”はフランキーに「女の子をダンスに誘えよ。そしたら俺もママをダンスに誘うから」と話す。そして彼はフランキーと賭けをしたからと言って、リジーをダンスに誘う。女の子の方へ歩いていったフランキーは、しかし、女の子とは踊らず、人影から“パパ”とリジーが踊るのを嬉しそうに見つめるだけだ。
 帰る道で、彼はリジーに並んで歩きながら訊く。「何故ご主人は君らを棄てたんだい?」。「逆よ。私が彼を棄てたの」と、リジーは夫の暴力から逃げていること、フランキーが難聴になったのも実は彼の仕業であること、を話す。しかし彼は真剣なまなざしでリジーに囁く、「フランキーは幸せな子だ」と。「なぜ?私は息子に毎日嘘をついているような母親なのよ」。そう自虐的に応えるリジーに、彼は声を荒げて反論する、「違う。君は毎日フランキーを必死で守っているんだ」。
 家に戻り、ベッドにフランキーを運ぶ“パパ”。眠っていたはずのフランキーが眼を覚まし、「戻ってくる?」と自ら声にして“パパ”に訊く。「わからない」と“パパ”。フランキーは、自ら木を彫って作った木製タツノオトシゴを“パパ”にプレゼントする。彼は、言葉にならない。
 彼を送り出すリジー。彼のことはビジネスライクに割り切っていたつもりだったが、短いながらもかけがえのない時間を共に過ごした彼に対し、彼女の中に眠っていた感情が目覚める。2人は、深く見つめあい、静かにキスを交わし、そして言葉もなく別れる。たった2日間のストレンジャー。夫のDVが原因で様々なトラウマを抱えてきたリジーにとって、彼が与えてくれた物がどんなにかけがえのないものだったか。アパートを出て階下に居る“パパ”に、窓からいつまでも手を振るフランキー。
 夫デイビーが入院している病院にでかけるリジー。痛々しい姿でベッドに横たわるデイビー(カル・マカニンク)は、リジーを見ておずおずと話しかけ、すべての事に対しすまなかったと謝罪する。夫からの、思いもかけない優しい言葉にリジーはとまどう。彼は手を伸ばして彼女に救いを求めてくる。しかしリジーは、もう少しで指先が触れそうなところで、固い決意を示すようにさっと手を引き、彼を拒絶する。それでもなお、死の床にある自分に、一目だけでも息子に会わせて欲しいと懇願するデイビーに、フランキーには会わせられないと再び断ると、彼は次第に激昂してきて、大声でリジーを口汚く罵り始める。逃げるようにその場を立ち去るリジー。
 帰宅後、リジーはついに決心してフランキーに話す。「パパは重い病気で、お前に会いたがっている」と。フランキーは何も話さずに表情を曇らせて部屋を出ていく。その夜、フランキーはパパに手紙を書く。「早くよくなって」と。
 リジーは、病院に行き、フランキーの写真と彼が描いた絵をデイビーに渡してと言って看護婦に託す。
 数日後、リジーは新聞にデイビーの死亡記事を見つけ、フランキーに読んで聞かせる。
 「デイビーのおかげで終止符ね」と言うマリーに、リジーは「ところで『彼』は誰だっだの?」と尋ねる。マリーはかすかに微笑むと、毅然とした表情で答える、「私の弟よ」。
 リジーが念のために郵便局に行くと、届かないはずの私書箱に一通の手紙が届いている。それはフランキーから「彼」への手紙だった。帰りのバスの中で、リジーはゆっくりと封をあけ、見慣れた文字を目で追う。

「先週悲しいことがあったんだ。ぼくの本当のパパが死んだんだ。ママは僕には何も言わなかったけど、ぼくは知ってたんだ。マリーは、ママの悲しみは時が癒すって言ってた。でも大丈夫さ、だってママにはぼくがついてるからね。またいつか会えるよね。次に寄港した時に。親友のフランキーより」
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文字を追うリジーの瞳から、涙が溢れている。

港の桟橋にフランキーがちょこんと腰掛けている。背後からそっと腕をのばして、我が子を抱き寄せるリジー。
2人の視線の先には、穏やかな海がずっと続いている。

スタッフ

監督:ショーナ・オーバック
プロデューサー:キャロライン・ウッド
脚本:アンドレア・ギブ
共同プロデューサー:ジリアン・ベリー
共同プロデューサー:マシュー・T・ギャノン
編集:オーラル・ノリー・オティ
音楽:アレックス・ヘッフェス
プロダクション・デザイン:ジェニファー・カーンキ
キャスティング・ディレクター:デス・ハミルトン
衣装デザイン:キャロル・K・ミラー

キャスト

エミリー・モーティマー
ジェラルド・バトラー
ジャック・マケルホーン
シャロン・スモール
メアリー・リガンズ
ショーン・ブラウン
ジェイド・ジョンソン
カティ・マーフィ
アン・マリー・ティモニー
ジョン・カゼック
カル・マカニンク

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