原題:Mondovino

あなたの知らないワインの本当の話。

2004年カンヌ国際映画祭

2004年11月3日フランス公開

2004/フランス=アメリカ/136分/1:1.85/ドルビーSR 協力/ユニフランス東京 共同配給/シネカノン、クロックワークス

2006年04月21日よりDVDリリース 2005年10月29日(土)渋谷アミューズCQN、シネカノン有楽町ほか全国公開

(C)2004 Les Films de la Croisade, Goatworks Films, Diaphana Films

公開初日 2005/10/29

配給会社名 0034/0033

解説





今ここ日本では、第六次ワインブームが進行中。値段が高いワインや希少なワインほど、インターネットショップでもレストランでも売れているとか。たとえばシャトー・マルゴー2000年、5万円。オーパス・ワン98年、2万5000円。おいしいワインは世界中のみんなが飲みたい。だから、市場原理で値段が高くなる。でもいったい誰がワインのおいしさを、値段を、決めているのか? その”おいしいワイン”は、本当に、おいしいのだろうか? 
そんな疑問を解き、ワイン大国フランスで激しい論議を巻き起こしながらも大ヒットした映画が、日本についに上陸する。

ブドウの樹の声をきき、お天道様の様子を見ながらやがて迎える収穫と仕込み……土地風土(テロワール)に根ざした昔ながらのワイン造りに、今“異変”が起こっている。多くのワイナリーが採算ぎりぎりで経営している中、“売れるワインの作り方を教える”救世主として現れたのが、ワイン・コンサルタントのミシェル・ロラン。またアメリカの巨大資本をバックに世界中で高値のワインを造ろうとするモンダヴィ一家、「ワインの価値を一言で変えてしまう」カリスマ・ワイン評論家、ロバート・パーカー。ジョナサン・ノシター監督はワイン界を代表する人物の懐にするりと入り、彼らの本音に迫る。同時に、グローバリゼーションの影に脅かされながら、昔ながらの方法で頑固にワインを作り小さな畑を代々守り抜いてきた生産者たちの言葉にも熱心に耳を傾ける。フランスやイタリア、はたまたブラジルやアルゼンチンなど文字通り三大陸に足を運び、数カ国語を自在に操りながら、ワインを語る生の声を集めていく。

そこから見えてきたもの。それはワインと人生を共にする人々の、地にどっかり根を下ろした哲学。エキサイティングかつスリリングで、そしてワインのようになんとも味わい深い人間ドラマだった。

果たしてワインに今、何が起こっているのか。複雑に手を加えた高価なワインがいいのか、昔ながらの方法で造られた素朴なワインがいいのか。「今飲んでみんながおいしいワイン」がいいのか、「20年後に最高の飲み頃を迎えるワイン」がいいのか。何もかもスピードをあげていくこの時代、美味なる1杯のために、あなたは20年待つことができるのか?
あらゆる人種が、人々が、多種多様な価値観のもと、錯綜している今。グローバリゼーションとローカリゼーションという現代の命題は、あなたが飲む1本のワインにも、ぎゅっと凝縮されているのだ。

ワインとは、その多様性から人間にとても似ているとは、ノシター監督の弁。似ているのは、映画とワインも同じ。消費はわずか2時間。よいものは一生忘れられない余韻が残る、そうでないものは……。

ストーリー




ブラジルでのヤシの実刈り。ピレネー山脈の麓で夫の死後に植えた畑を守る女性。サルデーニャの地ワイン、マルヴァジア・ディ・ボサについて熱っぽく語る老夫婦。辺境の地で“グローバリゼーション”とは無縁の営みを送る人々の姿が映し出された後、突如、メルセデス・ベンツの後部座席で、大笑いしながら車載電話に向かってしゃべりまくる男が登場する。世界12カ国を股にかけ、ワイン造りをコンサルティングする“フライング・ワインメーカー”、ミシェル・ロランだ。

インタビュー中もクライアントからの電話がひっきりなし。「ちょっと待ってて」と車を降りては仕事先のシャトーに向かう。南仏ラングドック地方で高級ワインの<ドマ・ガサック>を造って成功したエメ・ギベールが言う。「ワインは死んだ」と。

「偉大なワインを造るのは詩人の仕事だ。それが今じゃ醸造家にとって変わられた。ミシェル・ロランのようなね」

そのラングドック地方の片田舎、アニアンの市民を騒がせ、とうとう市長の交代にまで発展する事件が起きた。カリフォルニアのワイン王ロバート・モンダヴィがここに進出し、森林をなぎ倒し、50ヘクタールのブドウ畑を広げるというのだ。モンダヴィ効果による地域ワインの活性化を期待する陣営と、自然破壊、グローバリゼーション、アメリカの覇権主義を警戒する陣営とが真っ向から対立。結局、市長選で反対派の共産党候補が勝利し、モンダヴィは撤退を余儀なくされた。
「ラングドックのワインのブームが来るはずだったのに、みすみす逃してしまった。歴史的な過ちだ」とロランが言い切る。

そのミシェル・ロランとは、コインの裏表の関係にある人物が、ワイン評論家のロバート・パーカー。世界中のワインを100点満点法でスコアリングし、その結果が世界のワインビジネスに与える影響は計り知れない。ワイナリーの人々はパーカーから良い点数をもらおうと、ミシェル・ロランをコンサルタントに雇う。ロランなら、色が濃く、凝縮味にあふれ、タンニンが柔らかくスムースといった、パーカー好みのワインをいとも簡単に造ってしまうからだ。

ミシェル・ロランとロバート・パーカーのコンビが、“テロワールを覆い隠すグローバルテイスト”のワインを世界中にまん延させているという批判に対し、パーカーは語る。「パーカーの遺産といえるものがあるとすれば、カーストのような階級制度を、試飲という民主的な手法で打ち壊したこと。革命的さ」

フランスのブルゴーニュ地方で代々続くドメーヌの、新しい世代の葛藤。対立するフィレンツェの貴族が、1つのエステートをめぐって繰り広げた買収劇の顛末。ミシェル・ロランによって世界的な認知を得たアルゼンチンのワイナリーの喜び。物語は3つの大陸を往来しつつ、ダイナミックに展開していく。

スタッフ

監督・撮影・編集:ジョナサン・ノシター
製作:エマニュエル・ジロー
   ジョナサン・ノシター

キャスト

ミシェル・ロラン
モンダヴィー族
ド・モンティーユー家
ニール・ローゼンタール
マイケル・ブロードベント
ジャン=リュック・チュヌヴァン
フレスコバルディー族
アンティノーリー族
ロバート・パーカー

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