原題:TRANCE

Mobius(メビウス)…それは終わりのない不思議な世界

1998年/アメリカ映画/35mm/91min/カラー/ヴィスタ/DOLBY SR 字幕翻訳:風間俊平/提供:ブエナ ビスタ ホームエンターテイメント + クロックワークス 配給:クロックワークス

1999年7月24日(土)よりシブヤ・シネマ・ソサエティにてレイトロードショー!

公開初日 1999/07/24

配給会社名 0033

解説

2000年の時を経て、呪われた魂がよみがえる。
無念の死を選んだ女の怨念を宿らせて…

怨念とは、いつの時代、どの世界でも恐ろしく執拗で、多くの場合、悲劇的な運命に裏打ちされたものである。
本作『メビウス』は、2000年前に不幸な死を遂げ転生し現代によみがえった女性の魂が、その怨念ゆえに他人の肉体にのりうつり転生を繰り返していくという物語である。スタイリッシュな映像とハイテンポなストーリー展開の中で、全編に底知れぬ恐怖感がただよい、最初から最後まで気が抜けない。随所に隠された謎、緊張と不安をかき立てるクライマックス、そして観る者によって解釈の違う結末…ホラーとしての醍醐味を十二分に堪能できることは間違いないだろう。しかしながら本作はそれだけでは終わらない。
2000年前の女の霊がもつ現世への執着が、人間ドラマとして見事に描かれている。
今までのありふれたホラー作品と一線を画すのはこの部分である。全編にわたって、霊の悲痛な叫びを感ぜずにはいられない。愛する者の裏切り、叶えられなかった夢、育てられなかった子供——霊の、かたくななまでの表情の裏には、平凡な幸せを追い求めてやまない、女の悲しい性が切ないほどによみとれる。他人を傷つけても肉体を乗っ取ろうとする、その恐ろしい一連の行動は、女としての夢を望んで転生を繰り返す、魂の悲しい執着なのである。我々は、登場人物の誰よりも女の霊に心を奪われてしまうかもしれない。
長年の混乱した歴史の跡が残るアイルランドを舞台にした本作『メビウス』は、人間の奥底にひそむ魔性と情念世界を追求したモダンホラーの傑作である。
個性派キャスト&スタッフが結集、《恐怖》と《女の性》を見事に融合し強靭で繊細なミステリアス・モダンホラーを誕生させた
ヒロインのノーラ役を演じるのは、『この森で、天使はバスを降りた』『鳩の翼』でその抜群の演技力と独特な存在感により、鮮烈な印象を残したアリソン・エリオット。観客のみならず多くの監督をも魅了し次回作のオファーが後を絶たないという彼女は、『鳩の翼』以降持ち込まれた26に及ぶ企画を断って、本作への出演を決意した。今回も複雑で魅惑的なヒロイン像を見事に演じている。女の怨念を呼びさましてしまうノーラの伯父ビル役に『デッドゾーン』『ディア・ハンター』のアカデミー俳優クリストファー・ウォーケン、ノーラの運命を握る祖母役にベテラン舞台女優ロイス・スミス、夫ジム役に『アンディ・ウォホールを撃った女』のアンディ・ウォホール役で賞賛されたジャレッド・ハリスが共演している。監督は新作『ハムレット』も注目される新鋭マイケル・アルメレイダ。怨念の渦巻く怪異な世界をスタイリッシュな映像感覚で描いている。製作は『マイ・プライベート・アイダホ』『ドラッグ・ストア・カウボーイ』などハリウッドに常に新感覚を提供し続けているローリー・パーカーである。

ストーリー

殺しても殺しても私は、死なない。
ノーラ(アリソン・エリオット)は、夫ジム(ジャレッド・ハリス)と息子ジミーの三人で、両親の莫大な遺産によりアメリカで優雅な生活を送っていた。しかしノーラには夫に言えない秘密があった。不意に襲いかかる得体の知れないフラッシュバックとそれに伴う極度の不安感…。それが何を意味するのか彼女には全く分からなかった。そんな中ノーラは導かれるかのように祖母(ロイス・スミス)のもとに帰ることになる。10年ぶりの故郷アイルランド。両親をすでに亡くしているノーラだったが、祖母と伯父のもとを訪れ、自分自身を脅かしている過去の秘密、自分のルーツをさぐろうと決心する。
ノーラの実家フェリテ家は広大な沼のほとりに屋敷を持ち、沼から採掘されるピート(泥炭)により莫大な財産を築いていた。アイルランドについた3人は偶然ノーラの幼なじみジョーに出会い、フェリテ家に関する奇妙な噂を聞く——「沼で何かがあった、屋敷の様子がおかしい」と。
久しぶりに再会した伯父ビル(クリストファー・ウォーケン)は、何故か以前より若返って見えた。伯父に連れられて祖母に逢いにいくローラ。ところが案内された先は凍えるように寒い地下室で、そこには2千年前に沼に埋められたという女性の死体が横たわっていた。伯父の言葉によると、それはあ古代ケルト人が信仰していたドルイド教の魔女で、人間に対する怨念を抱いたまま死んでいったという。伯父は死体の魅力に取り付かれ、不可解な行動をとる様になっていた。
魔女の死体を見て以来ノーラはよりいっそうフラッシュバックに襲われる様になり、体の不調を感じていた。そのためにジムとつまらない喧嘩をし、ノーラは隠していた自分の過去をつい口走ってしまう。幼なじみのジョーとのこと、16歳での妊娠のこと。ショックで部屋を出ていったジムは、ひとり屋敷の内をさまよう内にノーラそっくりの女に出会う。ジムはノーラ本人と思い込み、仲直りをを求め慰め合おうとする。
しかしそれは、地下室で横たわっていた魔女の死体が生き返ったものだった。ノーラに転生するために生き返ったのだ。魔女はノーラの姿を借りて動きだし、彼女に、安全に転生する為にその魂を奪おうとノーラを探しまわる。
ノーラと魔女が出会うのに時間はかからなかった。そしてノーラが、自分の中に魔女の存在を自覚するのにも。銃で撃っても刃物で刺しても魔女はすぐに立ち上がり、ノーラを守ろうとする者に襲いかかっていった。
刻一刻とノーラは自分が侵略されていくのを感じながら、魔女と戦うことを決意する。ついに魔女とノーラの、魂と肉体をめぐる壮絶な戦いが繰り広げられていくのだった。

スタッフ

監督・脚本:マイケル・アルメレイダ
製作総指揮:ローリー・パーカー
編集:スティーブ・ハミルトン、トレーシー・グランジャー
音楽:サイモン・フィッシャー・ターナー

キャスト

ノーラ:アリソン・エリオット
ビル:クリストファー・ウォーケン
ジム:ジャレッド・ハリス
祖母:ロイス・スミス

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