原題:the thin red line

超一流のトップスターたちが出演を志願し、そして感動を呼ぶ!

第49回ベルリン国際映画祭金熊賞受賞 第71回アカデミー賞7部門 (作品賞・脚色賞・撮影賞・編集賞・音響賞・作曲賞)ノミネート

1998年/シネスコ/171分/ドルビーSR-D、S.D.D.S/カラー/ FOX2000提供・フェニックス・ピクチャーズ製作/字幕翻訳:戸田奈津子/ 提供:パイオニアLDC、松竹/配給:松竹富士/ サントラ盤:BMGジャパン/原作:角川書店刊

2010年05月26日よりDVDリリース 1999年4月10日より松竹洋画系にて公開 1999年9月24日よりビデオレンタル開始

公開初日 1999/04/10

解説

74年にスタークエーザー事件を映画化した『バッドランズ』。78年にカンヌとアカデミーを完全制覇した『天国の日々』。この2本の作品を監督し、まさに頂点を極めたその時に映画界から忽然と姿を消した幻の映画監督、テレンス・マリック。この謎に包まれた映像作家が、20年という時を経て新作『シン・レッド・ライン』で奇跡の復活を果たした。これは世界中のすべての映画人が待ち望んだ99年の、いや20世紀最大の事件である。
「シン・レッド・ライン」—人間の正気と狂気の間を隔てる1本の細く赤い線…。 
1942年11月。アメリカ軍と日本軍は、太平洋戦争の歴史の中でも、最も激烈と言われるガダルカナル海戦に突入した。度重なる海上戦と、陸地での激烈な攻防戦。数メートル進むだけで多くの命が失われる最前線は、爆風と悲鳴と怒号に包まれるが、ひとたび目を転じれば、悠久の大自然が変わらぬ営みを続けている。 人間とは、戦争とは、生命とは、いったい何か。 映画は、多くの名もない兵士たちが、戦いただ死んで行くだけの現実を、1人の一等兵の眼を通して描出していく。戦うことの意味を探し、故郷への想いにかられる兵士たちは、1人また1人と「シン・レッド・ライン」を踏み越えていく。そして、その先で彼らが見たものとは…。 「復活を待っていた」と祝福したスピルバーグ監督の言葉通り、長すぎる沈黙を破ってマリックが再び映画を監督するという話を聞きつけて、ショーン・ペン、ジョン・トラボルタ、ジョージ・クルーニー、ニック・ノルティ、ジョン・キューサック、エリアス・コーティアスら超一流のトップスターたちが出演を志願し、その復帰を歓迎した。
撮影監督には『レジェンド・オブ・フォール』と『ブレイブハート』でアカデミー撮影賞を受賞したジョン・トールを迎え、熱帯の悲しくも美しい風景を描くことに成功した。 さらにその映像をはるかにしのぐほどの素晴しい音楽は、『ライオン・キング』でアカデミー最優秀オリジナル音楽賞を受賞したハンス・ジマー。主題曲の音色あふれる豊かな合唱が、生きることの喜びを高らかに謳い上げる一方、殺戮の風景にふさわしい緊張感を画面に呼びこんでいる。 撮影にあたっては6ヶ月に渡りオーストラリアとソロモン諸島で現地ロケを敢行し、戦争風景と同時に、メラネシア系原住民の生活風景を撮影した。そうして獲得した映像は、自然やそこで生きる人びとの姿と、その土地に近代兵器で武装した兵士たちが侵攻し、森や草原を焼き尽くして殺し合いを繰り広げるありさまを痛烈に対比させている。なかでも草をなびかせて風がふきわたり、雲の影が生きもののように大地を流れていく美しい風景の中で繰り広げられる激しい戦闘シーンは、観客の心に深い悲しみを募らせ、溢れるような涙を誘い出す。
『フルメタル・ジャケット』の狂気、『プライベート・ライアン』のリアリズム、『地獄の黙示録』の興奮。そのすべてを備えているのが、この『シン・レッド・ライン』である。そして、今世紀を代表するこの作品は、観る者すべての魂を揺さぶり、再び歴史に「テレンス・マリック」の名を刻みつける永遠の名作と言えるだろう。

ストーリー

緑がわめくような熱帯の島に、狩猟採取生活をおくるメラネシア系住民たちに混じって子供たちと遊ぶ白人の姿があった。アメリカ人逃亡兵ウィット(ジム・カヴィーゼル)。しかし自然のふところに抱かれて暮らす彼の平和なひとときはあっけなく幕切れ。ウェルシュ軍曹(ショーン・ペン)のはからいで彼は再びC中隊に戻ることになった。
その間にもアメリカの上陸用舟艇は白波をけたてて続々と島をめざしていた。日本軍の攻撃を警戒して緊張するなか、無事に上陸を終えた兵士たちは、銃を構え、隊列を組みなおし、内陸部をめざしてどんどん
と行進していく。彼らを待ち受けているのは、降りそそぐ砲弾と弾丸の雨。そして地雷が埋めつくされた丘陵地帯。しかし、兵士たちは命令に従ってひたすら前進するのみ。C中隊の面々は、死への恐怖を押さえつけながらこれから最前線に補給される、そんな新たな兵力の一団だった。
C中隊隊長のスタロス大尉(エリアス・コーティアス)は、いつか自分の家族のように慕いはじめた部下たちの命を守ることに心をくだく、優しい心の持ち主だった。ところが最前線でいきなり部下たちが日本軍の仕掛けた地雷に次々とふきとばされ、弾丸に体を貫かれてはじけ飛び、転げまわる姿を目撃しながら、彼はなすすべもなかった。そして、日本軍の守備隊がたてこもる丘を、出世のために、何としても速やかに占領したいトール中佐(ニック・ノルティ)の一方的な攻撃命令に反発し、無理な前進を拒絶する決心をした。敵を目前にした、最前線で、対立するふたりの指揮官。上官であるトールが指揮権を発動して隊を再編成し、決死の斥候隊を派遣する。
斥候隊のベル上等兵(ベン・チャップリン)は、戦場にあっても最愛の妻のことばかりを夢想し、自分が不在の間に妻を他の男に取られてしまうのではと気に病む男だった。しかし、彼の決死の働きで、日本兵のバンカーを突き止め、攻撃部隊を再編して味方は攻勢に転じる。長く激しい地上戦を繰り広げた末に、銃弾の雨をくぐってついに敵の陣地に乗り込む兵士たち。彼らは嵐のように突撃し、抵抗する日本兵を次々と撃ち殺し、塹壕に身を隠す日本兵を手榴弾で吹き飛ばし、病気と飢餓で痩せ細った兵士たちを次々と捕虜にしていく。映画は、激しい戦闘のなかで殺す側と殺される側とをひたすら淡々と描いていく。
銃をつきつけて「お前は死ぬんだ」というアメリカ兵に、「お前も死ぬんだ」と言い返す日本兵。激しい戦闘の末にこの陣地をひとつ落としても、それはこれから先に待っている長くつらい戦闘の序章にすぎないのだった。
かくしてC中隊は作戦に成功した。だがトール中佐は命令にそむいたスタロス大尉を名誉除隊させる。そのため3年間も寝食をともにした指揮官を失ったC中隊の指揮系統が乱れる。再び斥候隊を選んだ新隊長の誤った人選に気づいたウィットは、志願して斥候隊に加わることにするが、日本兵の一団を前にして仲間のミスで窮地にたたされる。かくして、ウィットは自らを囮にしてC中隊を救おうと敵に身をさらすのだった・・・。

スタッフ

原作 ジェームス・ジョーンズ(TheThinRedLine)
製作総指揮 ジョージ・スティーブンスJr.
製作 マイケル・ガイスラー/グラント・ヒル/ジョン・ロバルデュー
監督 テレンス・マリック
脚本 テレンス・マリック
音楽 ハンス・ジマー
撮影 ジョン・トール
衣装 マーゴット・ウィルソン
編集 ビリー・ウェバー/レスリー・ジョーンズ
プロダクション・デザイン ジャック・フィスク
ミリタリー・アドヴァイザー マイク・ストーキー

キャスト

ショーン・ペン・・・・・・・・・ウェルシュ軍曹
ジョージー・クルーニー・・・・・チャールズ・ボッシュ大尉
ジョン・トラボルタ・・・・・・・クィンタード准将
エイドリアン・ブロディ・・・・・ファイフ伍長
ニック・ノルティ・・・・・・・・ゴードン・トール大佐
ウッディ・ハレルソン・・・・・・ケック軍曹
ジョン・キューザック・・・・・・ジョン・ガフ大尉
ジム・カヴィーゼル・・・・・・・ウィット一等兵
ベン・チャップリン・・・・・・・ベル一等兵
エリアス・コーティアス・・・・・スタロス大尉
ラリー・ロマノ・・・・・・・・・マッチィ一等兵
ティム・ブレイク・ネルソン・・・ティルズ一等兵
ビル・プルマン・・・・・・・・・マクター軍曹
ダッシュ・ミホック・・・・・・・ドール一等兵
アリー・ヴァーヴィーン・・・・・デイル一等兵
デイヴィッド・ハロルド・・・・・クイーン伍長
ジョン・ライリー・・・・・・・・ストーム軍曹
ジョン・サベージ・・・・・・・・マクローン軍曹
ジャレッド・レト・・・・・・・・ホワイト少尉

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