原題:SUSPIRIA

ホラー映画ファンの誰もが通る作品−−−ダリオ・アルジェント 『ダリオ・アルジェント 鮮血の美学』が全国で開催!

1977年/イタリア映画/テクニカラー/テクニスコープ/100min/配給:ザジ フイルムズ/ 提供:カルチュア・パブリッシャーズ、イメージファクトリー・アイエム、ABC出版/宣伝:スローラーナー

2011年02月09日よりDVDリリース 2010年12月08日よりDVDリリース 2005年07月23日よりDVDリリース 1999年10/2(土)〜11/5(金) 各回入替制 東京、キネカ大森を皮切りに大阪、福岡、名古屋、札幌等全国順次開催予定の 『ダリオ・アルジェント 鮮血の美学』にて上映予定

公開初日 1999/10/02

公開終了日 1999/11/05

配給会社名 0089

解説

アメリカからドイツのバレエスクールに留学した少女が体験する、想像を絶する恐怖の数々…。原色を生かした色彩表現と過剰なロックのリズムが観客を悪夢の世界へ誘う。
77年に発表された『サスペリア』は“恐怖の魔術師”“血と闇の帝王”としてのアルジェントの名を不動のものにした。彼の代表作であるとともに、『エクソシスト』(73)、『オーメン』(76)と並ぶ70年代オカルト映画の代名詞的作品である。前作『サスペリアPART2』の成功により、当時のイタリア映画としては破格の製作費13億リラ(当時の約4億円)を投じて、ドイツの“黒い森”でのロケと大掛かりなセット空間での撮影を敢行、製作期間実に2年をかけて完成された。それまでにアルジェントが培って来た技術と知恵の全てが結集した記念碑的な野心作である。アルジェントは様々なところからこの映画の想を得ているが、特に子供の頃見て怖かったディズニーのアニメ『白雪姫』からの影響を語っている。彼は白雪姫に毒りんごを渡す魔女が怖かったそうである。また魔女といえば“SUSPIRIA”の元となったのはイギリスの作家トマス・ド・クインシーの『深き淵よりの嘆息』“SUSPIRIA DI PROFUNDIS”からといわれているが、この本の中に登場する3人の女性の名を元に『サスペリア』から『インフェルノ』へと続く“魔女シリーズ”が展開している。また、原案・脚本には、アルジェントのパートナーだったダリア・ニコロディが深く関わっている。ダリアの祖母が15歳の時にピアノを習いに行った学校が実は黒魔術を教えていた(その事実を知って祖母は逃げ出したそうだ)、という実際のエピソードが物語の軸になっているのだ。
『サスペリア』はダリオとダリア、この二人の映画への情熱の結晶と言えるかも知れない。
ところで、原色を意識させる得意な色彩表現について若干触れておくと、使われたコダックのフィルム自体が貴重な物であった。50年代に使用されていたが、70年代には撮影現場から消えていた“スリーパック”というフィルムを、中国にだけあった残りを取り寄せて使用している。フィルムは3色に別れており、別々に撮影されたものを現像段階で合成する。アルジェントは現像段階で色を抜いたり強調したりする作業をし、かってない効果をあげた。また、フィルムの感度についても、今の映画製作現場では考えられないような低感度(ASA18〜20)だったため、現場は照明だらけで、“光の闇”状態だったという。現在、『サスペリア』と同じ方法で映画を撮ることは事実上不可能であり、そういう意味でも、非常に興味深い映画だといえる。
最初から最後まで止まぬゴブリンのロック・ミュージックは、実に強烈だ。アルジェントはそれまでの映画の添え物でしかなかったBGMを(ミュージカルを除けば)もっとも効果的に使った最初の映画作家だ。MTVの洗礼を受けた現代の観客には受け入れやすい、時代を先取りした感覚だったといえよう。『サスペリア』は様々な角度からまだまだ研究の余地のある興味深い映画である。デジタル時代の今だからこそ、アナログ技術を駆使したこの傑作が新鮮に映るはずである。
ちなみにハリウッドからリメイクの熱いコールが続いているが、アルジェントは断り続けている。「それは既に作られているから」と。

ストーリー

ニューヨークに住むスージー・バニオン(ジェシカ・ハーパー)は、バレエの高等技術を学ぶため、ドイツのフライブルグにある名門校を目指した。ドイツに到着早々、激しい雷雨に見舞われた彼女は、やっとの思いで捕まえたタクシーに乗り込み、校舎を目指した。学校に着いた時、彼女は校門から飛び出して行く取り乱した女性とを見かける。雷鳴にかき消されてしまったが、スージーはその生徒が「アイリス…」「秘密…」という言葉を口にしたのを耳にする。全身ずぶ濡れになりながらインタフォンを押すスージー。「新入生なの。入れて」しかし、つれない返答が帰ってきた。「聞いてないわ。帰って」スージーは仕方なくホテルへ。その夜遅く、惨劇はスージーの知らぬところで起こった。学校を飛び出した例の生徒は名をパットといった。彼女は友達のアパートを訪ねたのだが、そのアパートで、惨殺されたのだ。刃物でめった刺しにされた揚げ句、吹き抜け天井のステンドグラスから首吊り状態で死んだ。友達も、一緒に殺された。翌朝、スージーが学校を訪れると、校内は事件の話で持ちきりであり、副校長のブランク夫人(ジョーン・ベネット)は警察への対応に追われていた。ターナー先生(アリダ・ヴァリ)から教育課程について説明を受けながら、スージーはどことなく不安を感じていた。学校は寄宿制だったが、部屋に空きがないため、町に住むオルガのアパートに一時厄介になることになる。しKしその翌日、目眩に襲われてレッスン中に倒れると、スージーは直ちに寄宿舎に移された。「子供みたいな寄宿生活なんて」と嫌がるスージーに、隣室のサラ(ステファニア・カシーニ)が親しげに話しかけてくる。学校では、パットの死後、奇怪な出来事が連続していた。
ピアニストだった盲目のダニエルが盲導犬に噛まれて死んだり、天井から蛆虫が降ってきたり…。スージーは学校に着いた嵐の夜に聞いた言葉「アイリス」「秘密」についてブランク夫人の耳に入れる。それを聞いたサラは、学校にまつわる魔女の伝説をスージーに話す。先生達に不審な行動があるというのだ。そんなサラが謎の失踪を遂げると、危険はスージーの身にも迫ってきた。

スタッフ

監督:ダリオ・アルジェント
脚本:ダリオ・アルジェント、ダリア・ニコロディ
製作:サルバトーレ・アルジェント、クラウディオ・アルジェント
撮影:ルチアーノ・トポリ
編集:フランコ・フラティチェッリ
特殊効果:ジェルマーノ・ナタリー
音楽:ゴブリン&ダリオ・アルジェント

キャスト

ジェシカ・ハーパー
ステファニア・カシーニ
アリダ・ヴァリ
ジョーン・ベネット
ウド・キアー
ミゲル・ボゼ
フラビオ・ブッチ
フルビオ・ミンゴッツイ

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