原題:Dodgeball: A True Underdog Story

2004年6月18日アメリカ公開

2004年/アメリカ/カラー/93分/ 配給:20世紀フォックス映画

2010年07月02日よりDVDリリース 2007年10月24日よりDVDリリース 2005年08月05日よりDVDリリース 2005年08月05日よりビデオリリース 2005年4月29日より、ヴァージンTOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国ロードショー

(C)2004 TWENTIETH CENTURY FOX

公開初日 2005/04/29

配給会社名 0057

解説



ドッジ(かわす)、ダック(かがむ)、ディップ(つっこむ)、ダイブ(飛ぶ)、そして、もう一度ドッジ……この5つの頭文字の“D”を備えたスポーツこそ、ドッジボールだ。小学生の時に遊びでやったドッジボールとは異なり、対戦相手にボールをぶつけて退場に追い込み、逆にコートに復帰するや、対戦相手にボールを叩きつけてぶちのめす。
 いま、ドッジボールは、ポップ・カルチャー・スポーツの新興勢力になり、全米各地に成人のドッジボール・リーグが誕生。ニューヨーク・タイムズ紙までが「伝統的であり新しいスポーツ」として紹介している。そんなスポーツ・レボリューションのドッジボールをいち早く題材にしたのが、『ドッジボール』だ。
 主人公のピ一ター・ラ・フルールは、半年間も滞納警告を無視して、さびれたスポーツ・ジムを差し押さえられ、30日以内に5万ドルを支払わないとジムを買収されてしまう。買収を画策しているのは、ピーターのジムの目の前で大盛況のジムを経営しているホワイト・グッドマンだ。ホワイトはその名前とは裏腹に、自己中のナルシストで全てが「オレ様主義」に徹底したイヤ味な奴。はたして、トホホ男のピーターは、ホワイトの魔の手からジムを守れるのか?
 そこで、ピーターのジムの個性はじけるメンバーが提案。「ラスベガスのドッジボール大会に出場して、優勝賞金の5万ドルをゲットすればいいじゃん」ということで、ピーターとジムの仲間、そして、不動産と税法専門の弁護士の女性アスリートも仲間に引き入れ、かつてはドッジボール・リーグのカリスマ選手だったという謎のコーチのもと、技を鍛え、リーグ戦に挑む。
 ところが、ピーターのアイデアを知ったホワイトも、ドッジボールが国技という国の怪物的な女性ドッジボーラーを参加させて、ピーターの野望を打ち砕こうとする。また、怪力自慢のきこり軍団や、スラム街のラッパーたちによるチームなど、強豪たちがピーターたちの前に立ちふさがる……。
 とにかくすごいのは、ドッジボールの試合だ。全身のバネを使って思い切りボールを投げつけ、華麗なフットワークでボールをかわし、宙を舞っているように横っ飛びしてボールをキャッチ&そのままのスローイングといった具合。もちろん、CGなんかは一切なし。出演者たちのスピード感に溢れたアルティメットなガチンコ勝負だ。あくまでも出演者たちが自らの体を張って、ケガまでしたという本気のファイトに注目。これぞ、コートの上の格闘技!コーチの言う「怒れ!プレーする時にはワルに徹しろ!」との言葉通り、怒りがボールに伝わり、そして、ぶつけられた痛みが、観る者にも伝わるリアリズムがあり、ド迫力とスペクタクル性に圧倒される。
 一方、ギャグとユーモアも絶好調だ。あのベン・スティラーがホワイト役に扮し、70年代風の長髪をなびかせ、ヒゲをたくわえ、マッチョな体でポージングする。おまけに、低能で高ビーで性格最悪というキャラは、さえない男を得意としてきたベンが新境地を開拓したものといえそう。その自分をおバカと思わない勘違い男ぶりに大爆笑。おっと、エンド・クレジットでのベンの「変身ぶり」をお見逃しなく。
 また、主人公のピーター役には、『スウィンガーズ』、『ザ・セル』、『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』などのヴィンス・ヴォーンが扮する。さえないピーターを情けなく演じるのではなく、ひょうひょうと演じているのもいい。さらに、ドッジボールの魅力を知って精神的に成長していく姿と、ホワイトのワイロ工作に心が揺れ動く姿には、ヴィンスの演技力がフルに発揮されている。
 ちなみに、普通ならピーター役にはベンが扮して、ホワイト役をヴィンスが演じるということがありえただろう。しかし、『ドッジボール』では、ベンとヴィンスの役どころを替えてみたところにも面白さがある。これは、プロデューサーであるベン・スティラーの異能ぶりによる絶妙なキャスティングといえる。
 そのベン・スティラーの実生活の妻でもあるクリスティーン・テイラーが、弁護士兼ドッジボーラーとしても参加している。クリスティーンは、ベンと共演の『ズーランダー』を始め、『ウェディング・シンガー』、『ザ・クラフト』などに出演しているが、抜群のアスリートぶりを見せるのは、『ドッジボール』が初めてだ。5人のチームメイトがコートから外され、たった一人で対戦相手の屈強な男たちと戦ったり、意外にもスポーツ万能な夫ベンとの1対1の“実際は夫婦対決”など、アクションの見せ場も豊富にある。
 そして、個性豊かな脇役陣には、『インサイダー』、『ワンダー・ボーイズ』などの名優リップ・トーンが謎のコーチ役に。チアリーダーをめざす若者に、『ジーパーズ・クリーパーズ』などのジャスティン・ロング、自分は海賊だと信じている男には、『パッチ・アダムス』のアラン・テュディックなどが扮し、奇想天外なキャラで笑わせてくれる。
 脚本と監督は、『ドッジボール』が、初の長編劇映画の監督になるローソン・マーシャル・サーバー。なお、アクション俳優のチャック・ノリスと癌を克服してツール・ド・フランスで優勝したランス・アームストロングが、ハマリ役で特別出演している。

ストーリー



『ストーリー』
 ピーター・ラ・フルール(ヴィンス・ヴォーン)は、自分の経営するジム“アベレージ・ジョー”の前に建つ、イヤ味なフィットネスの権化、ホワイト・グッドマン(ベン・スティラー)の経営する最新鋭の“グロボ・ジム”に客を奪われ、半年以上も滞納警告を無視している。しかし、人が良くてカリスマ性を秘めたピーターは、ジムに通うわずかな男たちから無理に料金を取るつもりはない。“アベレージ・ジョー”に律儀な男たちは、ピーターの頼りない助手役のオーウェン(ジョエル・ムーア)や、憧れの女性に近付くためにチアリーダーを目指すジャスティン(ジャスティン・ロング)、自分は海賊だと信じている海賊姿のスティーブ(アラン・テュディック)、自分は博学だと広言するうぬぼれ屋のゴードン(スティーブン・ルート)たちだ。
 ところが、ジムに危機が訪れる。“グロボ・ジム”のメイン・バンクに雇われている不動産と税法専門の女性弁護士ケート(クリスティーン・テイラー)が訪れ、30目以内に5万ドルを支払わないと、“アベレージ・ジョー”は、ホワイトによって買収されるという。ホワイトは、“アベレージ・ジョー”を潰して、その跡地に駐車場を作るつもりなのだ。ピーターは、仲間のためにジムを手放すつもりはないが、お金もない。そんな時、ゴードンが「ラスベガス・インターナショナル・ドッジボール・オープンに出場して、優勝賞金の5万ドルを獲得すればいい」と提案する。
 ほかに、アイデアのないピーターは、オーウェン、ジャスティン、スティーブ、ゴードンと共に、ドッジボール・チームの“アベレージ・ジョー”を結成する。ある日、ピーターたちがドッジボールの歴史などを学んでいる時に、パッチーズ・オフーリハン(リップ・トーン)という謎の老人がふらりと現れる。パッチーズは、若い時に全米ドッジボール協会のオールスターに7度も選ばれた名選手だという。パッチーズは、ピーターたちに興味を抱き、コーチを買って出る。
 パッチーズは、ドッジ=かわす、ダック=かがむ、ディップ=つっこむ、ダイブ=飛ぶ、もう一度ドッジという、ドッジボールの基本“5っの頭文字のD”を徹底させ、「怒れ、プレーをする時にはワルになれ!」と教える。
 そして、少女たちのチーム“第417団”と地区予選で対戦するが、まさかの敗退。ところが、少女たちがドーピング検査によって失格になり、“アベレージ・ジョー”がラスベガスヘ進出する。
 その頃、ホワイトはピーターの計画を知り、自分も大会に出場して、“アベレージ・ジョー”を叩きのめすことを画策する。早速、ドッジボールが国技という国から恐ろしい女性ドッジボーラーをスカウトする。しかしその一方では、ケートにセクハラを働き、愛想をつかされてしまう。
 そこで、ピーターが、スポーツ・ウーマンでもあるケートをスカウト。彼女もピーターに好意以上のものを感じていることから、“アベレージ・ジョー”に参加する。
 かくして、“アベレージ・ジョー”はラスベガスヘ進むこととなった。対戦相手は、きこり軍団や警官隊、ラッパーのチーム、そしてホワイト自身が率いる“グロボ・ジム”などだ。
 ところが、大切な対戦を前に、スティーブはピーターから偽物海賊だと言われたショックで行方不明になり、ジャスティンはラスベガスで憧れの女性が出場しているチア大会に参加して夢中になる。パッチーズは、何とラスベガスのネオン看板の下敷きになり即死。そして、ピーターはホワイトから呼び出され、彼のワイロ工作に心を揺れ動かされる……。

スタッフ

監督:ローソン・マーシャル・サーバー
製作:スチュアート・コーンフェルト
製作総指揮:ローズ・レイダー
美術:マエル・アーマド
編集:アラン・ボームガーデン
衣装:キャロル・ラムジー
音楽:セオドア・シャピロ

キャスト

ベン・スティラー
ヴィンス・ヴォーン
クリスティーン・テイラー
リップ・トーン
ジョエル・ムーア
クリス・ウィリアムズ
ジャスティン・ロング
スティーブン・ルート
アラン・テュディック

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