愛を、焼き込む。

2004/日本/35mm/アメリカンビスタサイズ/カラー/ドルビーSR/114分/ 企画・制作・配給:ゼアリズエンタープライズ

2006年04月26日よりDVDリリース 2005年1月22日、シネスイッチ銀座、新宿武蔵野館、関内MGAほかロードショー公開

公開初日 2005/01/22

配給会社名 0040

解説


 独自の古代穴窯による信楽自然釉を成功させて陶芸界に新風を吹き込む女性陶芸家であり、また息子・賢一の発病をきっかけに骨髄バンク運動を始め、全国の白血病患者を勇気づけ続ける女性としても名高い神山清子。映画「火火」は、実在するひとりの女性の、芸術家として、母として女として火のように生きる姿を描いた、実話に墓づく人間賛歌、命の賛歌である。

主演で神山清子を演じるのは、田中裕子。息子・賢一役には窪塚洋介の実弟で新人の窪塚俊介が起用され、衝撃の映画デビュー。さらに石田えり、岸部一徳、池脇千鶴、黒沢あすか、遠山景織子、鈴木砂羽、東ちづる、石黒賢など実力俳優が出演する豪華キャストとなっている。そして、現実に白血病から奇蹟の生還、復活を果たした吉井怜、滋賀県出身のサッカー元日本代表キャプテン、井原正巳が特別出演しているのも話題だ。

脚本・監督は『TATOO(刺青)あり、『愛の新世界』『光の雨』など人間の激しく狂おしい性(さが)を鮮烈に描いて定評のある高橋伴明。神山清子に取材を重ね、さらに清子に亡き母の姿をだぶらせ、一年余の歳月をかけて渾身の脚本を書き下ろし、勇躍2004年5月、スタッフとともに、撮影地であり神山清子が暮らす滋賀県信楽町に乗り込んだ。

この映画に登場する穴窯やその窯の中で燃える火、そして大壷や水指、花器、食器など大量の陶芸作品のすべてが本物である、大量の薪を呑み込み1200度もの高温で燃えさかる火、激しくその火に焼かれる陶芸作品の数々、それらをすべて本物で撮りたい、本物の映画を作りたいと望んだ高橋監督ほか撮影スタッフ全員の願いは、映画の主人公のモデルである神山清子の全面的で献身的な撮影協力によって実現した。清子は、映画のロケセットとして自宅とそれに併設された作陶工房、2つの穴窯すべてを撮影用に提供し、さらにスタッフや田中、窪塚、池脇、黒沢などキャストヘの作陶指導はもとより、映画に登場する数百点に及ぶ陶芸作品のすべてを自ら制作、提供したのである。
猛然と燃えさかる火、その火にいたぶられるように焼かれる土、溶け出すビードロ。スクリーンには、本物が輝いている。

ストーリー



窯による信楽自然釉をなんとしても成功させたいと執念を燃やす。女の意地もあった。

だが、苦しい日々が続く。極貧。米びつの底はつき、米のとぎ汁を飲んで飢えをしのぐような毎日。窯焚きの挑戦も温度が上がらず、失敗を繰り返し、何度も失意に打ちひしがれる。それでも、子供たちの成長と、なにかと後ろ楯になってくれる先輩陶芸家、石井(岸部一徳)の励ましに支えられて、なおも挑戦を続ける。

そして、数年のち。真っ暗な夜空に煙突から炎が吹き上がるほどに焚き続けた2週間が過ぎた窯出しの日。窯に入った清子の瞳に小さな光が反射する。窯の奥でキラリと光るものがある。花入れや壷、水指などがビードロをつけ・可憐な色に染まっている。貧しさもいとわず・穴窯に賭けた清子の挑戦がついに成就した瞬間だった。清子は日本全国で個展も成功させ、女性陶芸家の先駆者として押しも押されぬ存在となる。

月日は流れ、久美子は京都の短大に進学し、信楽を去る。長男賢一は窯業試験場を卒業し、母と同じ陶芸家の道を歩み始める。みどり(池脇千鶴〉という恋人もできた賢一だが、なぜか腰がすわらない。バイクに熱中するのはまだしも、パチンコに狂って陶芸修行もさぼりがち。「出て行け!」清子の怒声が響く。そんな中、賢一が突然倒れた。医師の診断は白血病。HLAの適合する骨髄の移植が生存のための唯一の道。しかし、清子や久美子、さらには清子の妹幸子(石田えり〉など血縁者の骨髄は賢一に適合せず、清子は息子の命をなんとしても救おうと、石井や賢一の友人たちの協力も得て、鬼のような形相で骨髄提供者探しに奔走しはじめた。そんな中、女性陶芸家に憧れを抱く東京のOL牛尼瑞香(黒沢あすか)が清子のもとに押しかけ弟子としてやってくる一方、一時の小康を得た賢一は・自宅療養の傍ら「生きていた証を残しておきたい」という思いから天目茶碗に挑戦し、めきめきと腕をあげていった。賢一との母子展を行う決意をする清子。しかし……。

スタッフ

監督:高橋伴明
製作統括:日下部孝一
プロデューサー:日下部圭子、小出健、安富哲朗
撮影:栢野直樹
美術:金勝浩一
音楽:梅林茂
原案:那須田稔、岸川悦子「母さん子守歌うたって」(ひくまの出版)
製作:『火火』製作委員会
企画・制作・配給:ゼアリズエンタープライズ
企画協力:滋賀ロケーションオフィス
後援:骨髄移植推進財団

キャスト

田中裕子
窪塚俊介
池脇千鶴
石田えり
岸部一徳
東ちづる(特別出演)
石黒賢(特別出演)
遠山景織子
黒沢あすか
吉井怜
井原正巳(特別出演)
山田辰夫
塩見三省
下元史朗
鈴木砂羽
原史奈

LINK

□公式サイト
□この作品のインタビューを見る
□この作品に関する情報をもっと探す