原題:White Valentine

『猟奇的な彼女』のチョン・ジヒョン、幻のデビュー作

アジアフォーカス福岡映画祭2004正式出品作品::http://www.focus-on-asia.com/

1999/韓国/89分/カラー/アメリカンビスタ 配給:ハピネット・ピクチャーズ/ツイン

2004年12月21日よりビデオ発売開始 2004年12月21日よりDVD発売開始 2004年6月19日よりシネマミラノにてレイトショー

公開初日 2004/06/19

配給会社名 0187

解説


「猟奇的な彼女」チョン・ジヒョン、ファン待望の映画デビュー作がついに公開!

チョン・ジヒョンは撮影当時まだ女子高に在学中だったというファン垂涎の作品。ちょっと慌てん坊で天真爛漫なジョンミンを、チョン・ジヒョンはみずみずしく演じている。時折見せる陰りのある表情も含めて、後の出演作『イルマーレ』『猟奇的な彼女』『4人の食卓』で見せるさまざまな顔がすでに凝縮されている点でも記念碑的な作品だ。

 女子高生のチョン・ジヒョンがピュアな透明感で魅せるパステルトーンのラブストーリー

本作を見ると、ここには韓国製恋愛映画の魅力が満載されていることがわかる。主人公たちの擦れ違い。時の経過。せつない片思い。手紙。ジョンミンが祖父と暮らす書店の、古く味わいのある建築物。その2階にあるジョンミンの部屋の暖かみのあるインテリア。ジョンミンが描く絵のファンシーな魅力。雪。傷ついた鳩の世話。拾った仔犬。日本の少女漫画黄金期の醍醐味にも似た、女の子心をくすぐるモチーフやアイテムが溢れている。

ストーリー

 小学校高学年だったジョンミンは、女教師になりすまし、パク・ヒョンジュンという軍人さんと慰問の文通を続けていた。5年が経過したある日、思いがけず彼が彼女の住む町に訪ねてきた。嘘をつき続けてきた彼女はどうしても会うことができず、列車に乗った彼の後を自転車で追うのが精一杯だった。それっきり彼からの音信は途絶えてしまう…。

 歳月が流れ20歳になったジョンミンは、大好きな絵に没頭するため大学を辞め、おじいちゃんが営んでいる本屋の手伝いをしながら、時間を見つけては絵筆を走らせていた。
 一方、パク・ヒョンジュンは第一線の為替ディーラーとして多忙な日々を送る中、自分でも忘れていた誕生日に、恋人であるヨニから“一度夫婦になると相手を一生忘れない”という鳩のオスをプレゼントされる。次のデートの時、メスの鳩を持って彼の元へ向かうヨニは、その道中で交通事故にあい、帰らぬ人となってしまう。
 ヒョンジュンは絶望のあまり仕事を辞め、ヨニの形見・白い伝書鳩と共に、恋人の暮らしていた町に移り住んでくる。小鳥屋を開き、傷心の日々を送る彼は、届く当てもない彼女への手紙を伝書鳩に託す。運命の悪戯か、部屋に迷い込んできた鳩の足に手紙がついていることに気づいたジョンミンは、その言葉に込められた切なさに心を動かされる。軽い気持ちで返事を書いた彼女の元へ、彼から恋人に対する熱い想いが綴られた手紙が再び届く。罪悪感を感じた彼女の「ただ話してみたかったの。ごめんなさい」という返信に、「短い間だけど楽しかった。僕はこれから旅に出ます。名前はパク・ヒョンジュンです」と、彼から最後の手紙が届いた。
 “パク・ヒョンジュン”、ジョンミンの記憶が蘇る。それはかつての文通相手と同じ名前だった。今度こそ会いたい、そう願う彼女は鳩に糸をつけて彼の元へ飛ばす。必死で鳩の後を追い、辿り着いた先は、彼女が以前から好意を寄せていた小鳥屋のおじさんだった。戸惑いを隠せないジョンミンはその場を立ち去ってしまう。

 幼い頃に両親を亡くしたジョンミンにとって、おじいちゃんの初恋の人で今は未亡人となった近所の花屋のおばあちゃんは、良き相談相手だった。完成した絵を見たおばあちゃんに、父親が絵描きを目指していたこと、父親の職業はおじいちゃんから聞いていた駅員ではなく建設会社勤めであったこと、そして父母の結婚に反対していたことを聞かされた彼女は、本当のことを話してくれなかったおじいちゃんを激しく叱責する。うまく真実を伝えられず思い悩んだおじいちゃんは、階段を踏み外し入院してしまった。
 おじいちゃんの入院に責任を感じ途方にくれるジョンミンの足は、自ずと小鳥屋に向いていた。旅に出る準備を進めていたヒョンジュンは、落ち込む彼女の話に耳を傾ける。そして彼もまた、失ってしまった恋人の事や町を離れる理由を語り始める。最後に彼は、「この町にはもう一人会いたかった人がいた。それは僕と文通していた嘘つきの女の子なんだ」と。子供と知りながら文通を続けていてくれた事実に驚いた彼女は、その相手が自分であるとは告白できなかった。ソファーに横たわり、そのまま眠りに落ちてしまったヒョンジュンに寄り添い、ささやかな幸せを感じるジョンミン。彼女は朝になるまで彼の寝顔を描き、そっとその場を立ち去る。精一杯の想いを込めた鳩の絵を残して。

 一年後、おじいちゃんが亡くなり一人で本屋を開いていたジョンミンは、絵本作家として少しずっ認められ始めていた。旅に出たヒョンジュンは、偶然に一冊の絵本を目にする。本のタイトルは『ホワイト・バレンタイン』。そこに描かれているのは、文通から始まった自分とジョンミンの思い出の数々だった。雪がしんしんと降る中、ヒョンジュンはジョンミンを訪ねる。本屋を閉め、ほんの数分前に旅に出たという彼女を追い、彼は駅へと向かう。すれ違っていた二人の時間がひとつになろうとしていた。

スタッフ

製作:キム・ヨング
監督:ヤン・ユノ『リベラ・メ』
脚本:イ・ウンギョン、イ・ビョンユル
撮影:イ・ソクキ
照明:イ・ミンブ
編集:キョン・ミノ
美術:チョ・ユンサム
音楽:パク・キヨン
プロダクションデザイン:カン・スンヨン
衣装:チャ・ソンヨン
挿絵:イ・ウンジュン、パク・ヒュンジュ

キャスト

チョン・ジヒョン
パク・シニャン
チョン・ムソン
キム・ヨンオク
ヤン・ドングン
キム・セジュン
カン・ジヌ
チャン・ミョンチョル
パク・ミレ

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