2005年/日本/カラー/35mm/モノラル/ビスタサイズ/103分 配給:シグロ

2006年02月21日よりDVDリリース 2005年8月27日 シアター・イメージフォーラム他にて全国順次ロードショー

c)SIGLO 2005

公開初日 2005/08/27

配給会社名 0035

解説


なにも持たない少女かやのに、神様が贈ってくれた歌の才能。かやのは歌によって生かされ、やがて憎しみを乗り越えて、すべてを受け入れる。中洲の街を駆け抜けたひとりの少女の、命の煌めきを捉えた青春映画の傑作が誕生した。

 なにも持たない少女かやのに、神様が贈ってくれた歌の才能。それは、彼女が新しい世界に飛び立つための翼になった。彼女はやがて、ヴォーカリスト“ジーナ・K”として、かつて母親が立っていたストリップ劇場のステージで歌い始める。創られたイメージと自身とのギャップに悩み、ストリッパーである母親との葛藤を抱えながらも、心の叫びを音楽に託し、かやのは歌い続けた。そんなかやのに訪れる、友との出会い、そして初めて知る恋…。失うものなど何も持たなかったかやのが、はじめて出会った大切な存在。彼らとの出会いが、かやのに新しいエネルギーを吹き込む。
 かやのは歌う。憎しみも悲しみも、歌によって昇華する。かやのは歌う。ただすべてを受け入れ、愛するために。明日にむかって生きていくために。絶望のなかから、何度も立ち上がるかやののひたむきさは、わたしたちの心に熱い感動を巻き起こす。   欲望と夢が渦巻く、福岡・中洲の歓楽街を猛スピードで駆け抜けた、ひとりの少女。彼女の命の煌めきと、彼女を取り巻く人間模様を、生き生きと描き出した青春映画がここに誕生した。

石井聰亙、東陽一、橋口亮輔監督などを長年支えてきた藤江儀全、
待望のデビュー作。

 監督・脚本は福岡出身の、藤江儀全。本作は、石井聰亙、東陽一、橋口亮輔監督などを助監督として長年支えてきた藤江の、待望の初監督作品である。作品の出発点になったのは、昭和に生きた実在のストリッパー、ジプシーローズ。彼女にもし娘がいて、例えばヴォーカリストになっていたとしたら……。監督が長年あたためてきたそのアイディアを元に脚本を執筆した。

これがデビュー作となるSHUUBIの瑞々しさと輝き。石田えりの圧倒的な存在感。
ARATA、光石研、永瀬正敏、片岡礼子日本映画を支える、才能豊かな役者陣の共演。

 女優初挑戦とは思えないほどの存在感で、かやの=ジーナ役をつとめたのは、シンガー・ソングライターとして活躍するSHUUBI。現在オリジナルレーベル“Set Me Free Records”をたちあげ、精力的に音楽活動を続けている。迫力のライブシーンと、ステージを降りたかやのの、揺れる気持ち。そのどちらをもリアリティをもって表現できるのは、彼女を置いてほかにはいなかっただろう。またSHUUBIは、本作品の映画音楽のプロデュ−スにも初挑戦している。ジーナの母親でストリッパーのカトリーヌ役には、映画・舞台などで幅広い活動を続けるベテラン石田えり。母娘の複雑な愛憎を体当たりの演技で見事に演じ切った。ほかにARATA、光石研、永瀬正敏、片岡礼子など数々の日本映画で活躍する個性派俳優陣に加え、オーディションで選ばれた福岡出身の新人・吉居亜希子、さらに映画監督の石井聰亙がドキュメンタリー作家役で出演するなど、ユニークなキャスティングにも注目が集まる。

ストーリー

「ヴォーカリスト、GENA・Kは死んでいた…」そんなショッキングなチラシを手にしたドキュメンタリー作家・荒木は、カメラ片手にGENA・Kの足跡を追い始める。真相を確かめるため、荒木はまず、彼女の母親であるストリッパー、カトリーヌのもとを訪れる。「GENA・K、かやののことたいね…」カトリーヌは語り始めた。

 福岡・中洲に君臨する伝説のストリッパー・カトリーヌ。その娘かやのは、母親との葛藤から家を離れ、街を彷徨うようになっていた。ある日、かやのは、ニナという娼婦と出会う。ニナもまた親の顔を知らず、天涯孤独。よく似た境遇の2人は、すぐに打ち解けあった。ニナとコンビを組み、詐欺まがいのことをしていたかやのは、鴨として引っ掛けた男、菊地に逆に罠にはめられる。だが、菊地もまた郷田という男にゆすられていたのだった。暗い過去を背負った、もの静かな菊地に、かやのはいつのまにか惹かれていく。
 そんな中かやのは、カトリーヌをストリッパーとして育てた男、宮本と再会する。カトリーヌの人気の翳りに見切りをつけていた宮本は、かやのが過去に一度だけステージで歌った時に見せた才能に目をつけ、かやのを売り出そうとしていたのだった。かやのは宮本が用意したシナリオにしたがって、ジーナ・Kとしてライブハウスで歌うようになり、カリスマ的人気を得ていく。だが、彼女は次第に、つくられたジーナ像と自身とのギャップに苦しめられるようになっていった……。
 ある日、すべてが嫌になったかやのは、宮本から、ライブハウスから、そして歌うことからも逃げ出してしまう。呑まず食わずで何日もふらつき、倒れたかやの。のり子の運転するトラックに拾われた彼女は、やがて自分の中に再び、生きたい、歌いたい、という気持ちが巻き起こるのを感じ、逃げ出した街に戻る。そして、そこで菊地と再会し、気持ちを確かめ合ったかやのは、決着をつけるために宮本のもとを訪れる。「もう一度一緒に、一からやり直そう」と喜ぶ宮本に、かやのは「ジーナ・Kは勝手にやるけん」と言い放ち、彼のもとを去った。
 トランぺッターである菊地をあらたにメンバーに加え、かやのは再び【ジーナ・K】として復活ライブに臨む。だが、彼女達に突然の悲劇が襲った……。

スタッフ

監督:藤江儀全
撮影:松本ヨシユキ
照明:尾下栄治
録音:小川武
美術:愛甲悦子
スクリプト・エディター:中田秀子
助監督:宮村敏正
構成・編集:今井剛
プロデューサー:渡辺栄二
企画製作:山上徹二郎

キャスト

SHUUBI
石田えり
ARATA
光石研
石井聰亙
吉居亜希子
片岡礼子
永瀬正敏(友情出演)

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