スパニッシュ・アパートメント

　『猫が行方不明』『パリの確率』など、日本でもファンの多いセドリック・クラピッシュ監督の最新作は、主人公グザヴィエがスペインのバルセロナで、さまざまな国からの出身者に囲まれながら体験する冒険の数々と、遠距離恋愛など喜劇的な騒動を通して、自分の居場所を見つけ成長してゆく姿をデジタル・ビデオで描く青春映画で、フランスで大ヒットを記録セザール賞では作品賞、監督賞ほか5部門で候補となり、有望若手女優賞を受賞した話題作だカタロニア語を話せないまま、バルセロナに到着した25歳のグザヴィエは、国籍も性別もまったく異なる7人の学生が暮らすアパート《ローベルジュ・エスパニョール》に転がり込んだこうしてグザヴィエは、それぞれ異文化からの留学生たちの、人生、愛、そして未来についての考え方を目の当たりにするそして、遠距離恋愛中のグザヴィエは魅惑的な女性たちからの誘惑に直面して……
　混沌とした青春を送る大学生グザヴィエに、クラビッシュとは5度目のコラボレーションとなるロマン・デュリス彼を取り巻く女優陣として、フランスに残したグザヴィエの恋人マルティーヌに『アメリ』のオドレイ・トトゥ、レズビアンのベルギー娘イザベルに、本作でセザール賞有望若手女優賞に輝いたセシル・ドゥ・フランス、彼との不倫の欲望に駆られる人妻アンヌ=ソフィーに『リディキュール』のジュディット・ゴドレーシュと魅力的な顔ぶれ撮影前、出演者はバルセロナの同じホテルに1ヶ月滞在し、演技の親密さに磨きをかけたというまた、ガウディのサグラダ・ファミリア聖堂やグエル公園など、画面に収められたバルセロナの名所の数々も魅力的である「10年ほど前、当時、私の姉が交換留学制度に参加して、バルセロナに行っていたのですが、彼女はまったく異なる国からやってきた5人の学生と、アパートをシェアしていました一週間そこに滞在してみて、ドラマ的な意味において、これはなんて面白くも奥深いシチュエーションなんだろうと,思い、そこから映画を作る着想を得ましたこの映画の脚本は意図的に、さまざまな夢、記憶、イメージの数々、環境がるつぼのように構成されていますこの“雑多な凝縮”が、最終的に青春と旅と多様性について描く、この映画になりました」(セドリック・クラビッシュ)