月の光の中で、弟のために生きていた 彼女に出会うまでは…

2004年/日本/113分 配給:ポニーキャニオン

2005年04月20日よりDVDリリース 2005年04月20日より完全版〈限定版〉DVDリリース 2004年8月7日より新宿トーアにてロードショー公開

(C)2004「ムーンライト・ジェリーフィッシュ」製作委員会

公開初日 2004/08/07

配給会社名 0068

解説



難病を患った弟ミチオと弟のために夜の世界に生きる兄セイジ、そして2人に太陽の光を注ぐ女性ケイコ。そんな3人が目覚めていく家族愛、そして、切ないラブ・ストーリー。

「水母」「海月」は、いずれも「クラゲ」と読む。月明かりに照らされたクラゲが海に浮かぶ月のようだから「海月」と書く。クラゲの語源のもう一つに暗気よいう言葉がある。「目がないからさぞかし暗いだろう」という意味。クラゲの生息スタイルは浮遊生活。漂っているクラゲに触れようものなら刺すものもある。それは電気が走るような強烈な痛みをともなう。寿命は1年程と短命。

カオスな街<新宿歌舞伎町>という海を漂う主人公セイジは、まさに「海月」そのもの。セイジにとって体の一部のような存在である弟ミチオは、太陽の下では生きていけないムーンライト・チルドレン=月明かりの子供。皮肉にも、ッ兄弟はいずれも夜の静寂に浮かぶ青白い月の申し子だ。そして偶然か必然か親密な関係になるケイコは、その二人にとって眩しすぎるくらいの太陽のような存在。

ケイコは、無防備でピュアなミチオや漂うセイジの心を支える存在となっていく。またケイコ自身も、次第に漂う政治に触れて電気が走るような気持ちが何であるかを確信していく。そんなケイコの願いで海に向かう兄弟は、初めて太陽の下で笑った。海で感じた感覚は普通のどこにでもある幸せだったのかもしれない。それがセイジとミチオにはキラキラした宝物に思えた。
そんな3人のそれぞれの想いは、ある出来事により強烈な痛みとなって返ってくる・・・。

セイジを演じるのは、蝦川幸雄演出「身毒丸」の主演で彗星のごとくデビューした後、舞台・映画・テレビで活躍する若手実力派俳優、藤原竜也。これまでの中世的なイメージを一新する硬派なキャラクターに初挑戦。陰影のある表情とクールな色香で新しい魅力を披露する。難病を抱えた弟ミチオ役には、2002年第15回JUNONスーパーボーイコンテスト特別賞に輝いた期待の新人、木村了。難しい役どころに体当たりで臨み、鮮烈な映画デビューを飾る。そしてふたりに希望を与えるケイコ役は、2000年NHK朝の連続テレビ小説「オードリー」のヒロインで、国民的女優として注目を集めた岡本綾。天性の表現力に加え、透明感のある表情で作品に彩りを添える。
3人の見事なアンサンブルを引き出したのは、自らこの作品を企画し、監督・脚本を手がけた新進映像ディレクター、鶴見昇介。これが映画初監督作品とは思えない完成度の高い演出とスタイリッシュな映像は、日本映画界に新風を巻き起こす存在としてますます注目を集めるに違いない。また、タイトルに使われた<月>と<ジェリーフィッシュ=クラゲ>も、この作品の重要な演出者。クラゲは主人公セイジの漂う気持ちを表現し、月はセイジとミチオの存在の象徴として印象的に挿入される。冷たくミステリアスなその輝きは、はかない恋を一層美しく、切なくする。

ストーリー



幼くして両親を失った寺沢セイジ(藤原竜也)は、紫外線を浴びると皮膚がんを起こす難病“色素性乾皮症”に加えて原因不明の知的障害を患う弟ミチオ(木村了)の面倒をひとりでみている。ミチオは年を重ねるごとに知能レベルが低下し、長くは生きられない。だが、彼の純真さにセイジの心はいつも救われていた。しかし、治療費はかさむ。そこでセイジが選んだ仕事は、新宿歌舞伎町にシマをもつ山下組組長(立石鉄男)を支える暴力団員。生きる希望をもたないセイジはどんな状況下でも冷静さと冷徹さをもち、やがて極道の世界で一目置かれる存在となった。

ある日のこと。山下組の縄張りのバーで、セイジは酔っ払いにからまれた女性(岡本綾)を偶然救う。翌日、ミチオの通院に付き添っていたセイジは、その女性と再会する。彼女はミチオの担当の看護婦だったのだ。名前は、南谷佳子。その日の夜、セイジとミチオは再び病院を訪れる。マンションの住人の子供たちにイジメられたミチオが、ガラスで手を切ってしまったのだ。治療の間、偶然居合わせたケイコにセイジは、“色素性乾皮症”が世の中には理解されないことやそれが原因でマンションに住めなくなったことを語った。普段は堅く心を閉ざしているセイジだったが、ケイコの前では何故か口が滑らかになる。一方、ケイコも歌舞伎町で救われた一件とミチオの担当になったことに運命的な出会いを感じ、セイジが気になって仕方がない。勇気を振り絞り自分の携帯番号のメモをセイジに押し付けた。

その頃、歌舞伎町には不穏な動きが目立ち始めた。山下組と敵対する遠藤組の若頭(小沢仁志)が、勢力拡大をもくろむチャイニーズ・マフィアと手を組み、山下組を潰そうと企んでいるようだ。突然の警察の手入れ。組長の逮捕。事件が続き、セイジが呼びだれれることも以前より増えた。そんな時に仮宿としていたホテルでミチオがボヤ騒ぎを起こして追い出されてしまう。行くあてを失ったふたりは組の地下室に身を寄せる。途方に暮れたセイジはミチオを施設に預けてしまうが、そんな自分を責めてしまう。そして、セイジはケイコを誘う。子供の頃の話。今の心境。楽観的でイキイキとしたケイコと話すとセイジの心は柔らかくなる。今、起きていることが夢のようにも思える。突然現れた、天真爛漫なケイコに惹かれていくセイジ。しして、セイジの胸の奥にある気持ちが膨らみ始める。
「今と違う生き方をしてもいいんじゃないか…」と。
まさかその後に、セイジとミチオが事件に巻き込まれ、つかみかけた愛を失ってしまう運命とは知らずに……。

スタッフ

監督:鶴見昂介
製作:石橋邦彦、高原健二、菅井敦、川崎代治
撮影:栢野直樹
照明:磯野雅宏
美術:山崎輝/常盤俊春
音楽:渡辺雄一
主題歌:「月」天野月子
配給:ポニーキャニオン

キャスト

藤原竜也
岡本綾
木村了
袴田吉彦
虎牙光揮
水島かおり
酒井法子(特別出演)
小沢仁志(特別出演)
石立鉄男
石橋蓮司

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