原題:chicken is Barefoot

第4回東京フィルメックス2003特別招待作品::http://www.filmex.net/ 第17回東京国際映画祭::http://www.tiff-jp.net/

2003年/日本/114分/1:1.85 配給:ザナドゥー

2006年03月25日よりDVDリリース 2004年11月13日、シアターイメージフォーラムにて“疾走”のロードショー!

(C)2003シマフィルム/ビーワールド/衛星劇場

公開初日 2004/11/13

配給会社名 0103

解説


<身障者であるサムを取り巻く衝撃のヒューマンドラマ>
 少年・サムは15歳。重度の知的障害を持ちながらも、人並みはずれた記憶力を持っている。しかし、その能力が災いして、偶然にも警察の汚職事件に巻き込まれる羽目に陥ってしまう。権力を盾に、サムを犯人に仕立てようと目論む人々から彼を救い出そうと、一緒に暮らすチチ、在日朝鮮人のハハ、そして養護学校の教師までが、身体を張って事件の謎に挑んでいく!

<“反体制”を掲げ、タブーに挑戦し続ける森崎東監督>
 社会の底辺で生きる庶民の喜びと悲しみ、怒りを一貫して見つめ続けてきた森崎東監督。24本目となる『ニワトリはハダシだ』でも、現代社会に潜むさまざまな問題をダイナミックにあぶりだしている。警察の汚職、知的障害者のケア、在日朝鮮人への差別、失われゆく家族の絆。盛り込まれた多彩な題材は、どれも現代社会が抱えるタブーそのものである。けれどたくましいユーモアとリズム感あふれるストーリーテリングによって、エンターテインメントとして一気に楽しませてしまうのが森崎作品最大の魅力。この痛快かつ濃厚、賑々しい社会批判のありようは、本作と同じく倍賞美津子と原田芳雄コンビによる『生きてるうちが花なのよ死んだらそれまでよ党宣言』にも通じる。

<日本人の心を揺さぶる原風景と、歴史的背景を持つ町・舞鶴
長年、“党宣言”の続編的な作品を作りたいと熱望していたプロデューサーの志摩敏樹が在住している縁で、舞台は京都府・舞鶴に.森崎監督がこの土地に惚れ込み、サムたち家族が住む舞鶴の町並みはすべてオールロケで撮影された、火祭り(吉原の万灯篭)をはじめ、銭湯や昔ながらの庶民の商店街など、日本人の郷愁を誘う情景が全編を通して描かれている。また、入江をはさんで家屋が密集し、独特の路地を形成している舞鶴ならではの風景も描写。美しい風景をたたえつつも庶民の生活の匂いを感じさせる舞鶴は、第二次世界大戦以前には軍港都市として栄えた歴史を持つ町。ここには今も在日朝鮮人や外国人労働者が数多く暮らし、まさに森崎作品にふさわしい場所といえる。

<巨匠の最新作に日本が誇る実力派俳優陣が集結
主役のサムには多くの候補者の中から、“純真無垢な笑顔”に惹かれた監督が浜上竜也に即決、サムの父親には『ナイン・ソウルズ』、『美しい夏、キリシマ』など、若手からベテラン監督まで熱い支持を受け、出演作が100本を超える今もなお、野心的な活躍を続ける原田芳雄。また、その個性と確かな演技力で数々の日本映画に華を添え続け、森崎作品ならではのたくましい女性を体現し続けてきた女優・倍賞美津子が母親役を力強く熱演。養護学校の教師であるヒロインには映画初出演ながらも堂々とした演技を魅せる期待の新人・肘井美佳、新米刑事役を話題作への出演が相次ぐ若手実力派・加瀬亮が演じ、さわやかな風を吹き込む。さらに脇には、石橋蓮司、余貴美子、笑福亭松之助、岸部一徳ら、日本映画界を支える錚々たる顔ぶれが揃った。

<多くの観客の賞賛を得たベルリン映画祭
本作は2003年度東京フィルメックスのクロージングを飾ったのち、2004年ベルリン映画祭フォーラム部門招待作品として上映されるという前代未聞の快挙を成し遂げる。日本のみならず、ドイツの観客からも大絶賛を浴び、その挑戦的かつ大胆なテーマで全上映満席という見事な成功を納めた。タイトルの『ニワトリはハダシだ』は、東北に古くから伝わる民謡「おこさ節」の一節にある言葉。ことわざ辞典には「わかりきったことのたとえ」とある。庶民感情を表現する言葉として地域によって色々なこユアンスで用いられるこの言葉に、森崎監督は「それだけの意味ではなくて、使う人によっていろいろな解釈ができる。つまり誰もが自分の人生哲学を持って生きているということ。当たり前のことが当たり前ではなくなってきた世の中への違和感も込めている」と述べている。

ストーリー

少年サムは15才。重度の知的障害を持ちながらも人並みはずれた記憶力を持っている。潜水夫のチチ・守とふたり暮らしをしているが、守はサムの将来を案じ、自分と同じ潜水夫の仕事を少しずつ覚えさせようとしていた。サムには在日朝鮮人のハハ・チンジャがいるが、守とサムの教育方針について考えが合わないため、サムの妹・チャルこと千春と共に別居をしている。

 チンジャの母である金順礼は、戦後すぐ、朝鮮に帰るために乗船した浮島丸が舞鶴の佐波賀沖で爆発沈没するという事故に巻き込まれたが、奇跡的に助かった一人。守はチンジャにかつて「なに人だって構へん、ニワトリはハダシや!」といって結婚し、ふたりの子供に恵まれたのだった。

 サムが通う養護学校の担任教師・桜井直子の父親は警部であり、妻の兄・灰原検事が関わる機密費がらみの汚職事件を捜査していた。暴力団・重山組の組長は灰原に賄賂のベンツを贈っていたが、その車が盗難にあってしまう。車の中には検事の収賄事件の重要証拠品である機密費に関する裏帳簿が入っていた。

 中古車即売場に行き、車の形やナンバープレートを覚えるのが大好きなサムは、偶然にも盗難車のベンツの車中に隠されていた帳簿の数字を丸暗記してしまう。そのことでサムは、事件をもみ消そうとする警察、暴力団から誘拐され、家族から引き離されてしまう…。

 サムを救い出そうと直子、チチ、そしてハハも身体を張って事件の謎を暴こうと立ち上がっていく。造船所跡地にベンツがあるという情報を得た重山組は、その場所を荒らし始める。そこはチンジャが刃物研ぎの行商をして貯めたお金で、養護施設を卒業した子供たちの授産施設を作ろうと計画していた場所だった。しかし、造船所跡地にはベンツはなく、やがて車は意外な場所で発見される。事態は二転三転し、京都・舞鶴の町全体を巻き込んだ事件へと発展していく…。

スタッフ

監督:森崎東
企画・製作:若杉正明
製作総指揮:志摩敏樹
脚本:近藤昭二、森崎東
音楽:宇崎竜童、太田恵資、吉見征樹
撮影:浜田毅
美術:磯見俊裕
照明:長田達也
助監督:武正晴

キャスト

浜上竜也
守山玲愛
肘井美佳
石橋蓮司
倍賞美津子
原田芳雄
余貴美子
柄本明
岸部一徳
加瀬亮
笑福亭松之助
塩見三省
李麗仙ー

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