原題:The Wind Carpet

「さくら、命はみんな色をもっているの。いろんな色があるから世界は美しいの」 母が遺した言葉の意味を、少女はイランで知った。

東京国際映画祭特別招待作品::http://www.tiff-jp.net/ 東京国際映画祭正式出品作品ファジール映画祭ベスト観客賞含む3賞受賞

2002年/日本=イラン/カラー・6巻・3040m/111分/1.66(ヨーロピアン・ビスタ)/Dolby SR 製作:風の絨毯製作委員会 配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

22004年12月22日よりDVD発売開始 004年6月4日(金)〜6月13日(日)イラン映画祭2004にて上映2003年12月19日よりビデオレンタル開始 2003年12月19日よりDVD発売開始 2003年5月17日(土)、シネスイッチ銀座ほかにて感動のロードショー!

(C)2003 WCPC / BEHNEGAR (C)2003 『風の絨毯』製作委員会

公開初日 2003/05/17

配給会社名 0042

解説



「運動靴と赤い金魚」の国から、また新しい名作が生まれました。マジディ、キアロスタミの盟友で、ベルリン・カナダ・カイロ・ソウル、世界の映画祭でグランプリに輝くカマル・タブリーズィー監督最新作イントロダクション 少年ルーズベが頑張る程に笑えてしまう。少女さくらが笑うほどに泣けてしまう。本当に男の子はつらいよ、と微笑まずにはいられない名作がまた誕生しました。イラン・日本初の合作である本作は、ペルシャの世界遺産イスファハンと飛騨高山、その伝統と風土の美をオールロケで撮影。監督は斬新な即興演出法で両国の子供たち、大人のさりげない本当の姿を切取りました。飛騨高山の伝統工芸を残すため山車と幕=絨毯を再現する、という実話を基にし、中東と日本の文化交流という清楚な志が映像美に昇華。文化の壁を越え、ひとつの目標に向かう人々の姿が胸をうちます。また三國連太郎、工藤夕貴、榎木孝明、レザ・キアニアンなど両国を代表する演技派が参加し物語の骨格を固めます。この頃、少し希望という言葉が信じられない人、心が乾いている人を優しく潤してくれる感動作です。 飛騨高山。突然、母(工藤夕貴)を亡くした少女さくら(柳生美結)は、祭りの伝統を残そうする有志の人・中田金太(三國連太郎)の依頼で、母のデザインの絨毯を受け取りに、貿易商の父(榎木孝明)に連れられ、イランに来ることに。暖かく迎える友達アクバル(レザ・キアニアン)ですが、手違いがあり、絨毯は祭りの期日に間に合わない! 少年ルーズベ(ファルボー・アフマジュー)が様々な人々と力を合わせて奮闘しますが、期日は迫り、そして別れのときも。果たして絨毯は? そしてさくらの心の傷は?

ストーリー



 飛騨高山。有志の人、中田金太は、四百年前に消失した伝説の祭屋台を現代の匠たちの技と心で蘇らせようと、また、その祭屋台を飾る見送り幕にペルシャ絨毯をかけようとしていた。江戸時代にシルクロードを渡ってきたペルシャ絨毯が祇園祭の屋台にかけられた史実がヒントだった。伝統と現代技術、日本とイラン、異なる文化の融合の架け橋ともいえる絨毯のデザインを託されたのは、画家、永井絹江。夫の誠が古美術商を兼ねたペルシャ絨毯輸入業を商い、話が舞い込んだ。
 絨毯は蘇った祭屋台を飾り、春のさくら祭りでお披露目されることに。さくらは、絨毯の無事完成と母の体調が回復することを祈る。だが、誠がイランへ発とうとした矢先、絹江は交通事故で亡くなってしまう。
 さくらは、あまりの悲しみに笑顔を失い心を閉ざす。そんな娘の様子を見て、誠は、イランへさくらと渡ることを決心する。絹江のデザインの絨毯を完成させることが、悲しみを越える方法だと信じて。
 イラン、イスファハンでふたりは、絨毯仲買人のアクバルに出迎えられる。アクバルは大の日本通。子どものいないアクバル夫妻は、さくらを大歓迎する。とくに妻ファリバは、さくらを何とか元気づけようと精一杯の愛情を注ぐ。だが、さくらは、文化の違いに戸惑い、心を閉ざしたままだった。
 誠は絨毯を受け取るため工場長のモラドハンに会おうとする。だが、アクバルの様子がおかしい。絨毯が1センチも編まれていない。土地の再開発にも手を出し、多忙なモラドハンは、アクバルからの注文をすっかり忘れていた。確認を怠っていたアクバルにも落ち度があった。ファリバから「絨毯が編まれていない」と聞かされ誠は動転する。アクバルはペルシャ語のことわざを引用して「望みが尽きたときが、新たな望みのはじまりだ」と慰めるが誠は絶望してしまう。
 そんな中で、アクバルの甥っ子ルーズベは、さくらに出会う。彼は、化学爆弾の被害を受け家で病床に伏せる父親に代わって、観光馬車を回し、絨毯の毛糸を染める母とともに一家の生計を支えていた。ルーズベは、さくらを馬車に乗せたり、一緒に食事をしたり、遊んだりして打ち解けていく。言葉が分からない二人だが、ルーズベは次第にさくらに惹かれていく。ある日、ルーズベはさくらを馬車に乗せて遠出してしまう。突然のさくらの失踪が大騒動に。二人は自分たちの無邪気な遊びが大人たちの喧嘩の火種をまいたことに心を痛める。
 イランに見切りをつけた誠が旅立ちの準備をしている頃、ルーズベは「心を一つにして力を合わせれば、なんだって出来る」と思い立つ。モラドハンの工場を使い、手の早い織り子を動員し、24時間体制で織れば、20日間で仕上がる。祭りに間に合うぎりぎりのタイミングだ。早速アクバルの説得にかかるルーズベ。アクバルもルーズベの情熱に動かされることに。
 帰国しようとする誠とさくらを引き止め、アクバルは総力を挙げて絨毯制作にとりかかる。ルーズベも仲間を集めて、毛糸を乾かす作業に協力する。手伝うさくらの顔にも笑みが広がる。大人も子供も総出で昼夜を問わず作業が続けられる。
 織り子の中には、染料のにおいで糸の色を読む盲目の少女がいた。さくらの顔の輪郭を指でなぞり、ほほ笑む少女に、さくらも言葉を交わす。屈託のないイランの子どもたちとの交流で、さくらの心は少しずつ明るさを取り戻し、ファリバにも笑顔を見せるようになる。
 絨毯は順調に仕上がっていった。だが、絨毯が完成すると、さくらは日本へ帰ってしまう。さくらに淡い想いを寄せるルーズベは複雑だった。絨毯が仕上がる直前、ルーズベとさくらは絨毯にこっそり結び目をつける。ルーズベは青い糸、さくらはピンクの糸で、二人だけにわかる友情の証を刻んだ。
 ついに絨毯が完成し、誠の前で口を開くさくら。再び、飛騨高山。40年に一度のさくら祭りが行われていた。豪華絢爛な伝説の祭屋台が姿を見せると、沿道を埋め尽くした見物客からため息が。その中でもひときわ威光を放つペルシャ絨毯。そこには、イランと日本の子供達、そして大人たち、そして何よりさくらとルーズベの思いが永遠に編み込まれている……。

スタッフ

監督:カマル・タブリーズィー
脚本:モハメッド・ソレイマン
脚本:今井雅子
撮影:ハッサン・プーヤ
撮影:宇井忠幸
編集:ホセイン・ザンドバフ
美術:マジッド・ミルファクレイ
美術:間瀬広伸
音楽:ペイマン・ヤザニアン
衣裳:マジッド・ミルファクレイ
衣裳:西野泰子

エグゼクティブ・プロデューサー:益田祐美子
プロデューサー:アリレザ・ショジャーヌーリ
プロデューサー:山下貴裕
アソシエイト・プロデューサー:工藤夕貴、メヘラン・ハギギ
制作会社:ベネガー/スリー・アローズ・エンターテイメント
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

キャスト

永井さくら:柳生美結
ルーズベ:ファルボー・アフマジュー
アクバル:レザ・キアニアン
永井誠:榎木孝明
永井絹江:工藤夕貴
中田金太:三國連太郎(特別出演)

LINK

□公式サイト
□この作品のインタビューを見る
□この作品に関する情報をもっと探す
http://spe.co.jp/movie
ご覧になるには Media Player が必要となります