武士——その哀しき生き様。 山田洋次初の時代劇×藤沢周平初の映画化

平成14年度文化庁映画芸術振興事業

2002年/カラー/ヴィスタサイズ/ドルビーデジタル/2時間9分/ 配給:松竹

2008年01月30日よりDVDリリース 2005年04月28日よりDVDリリース 2003年04月25日よりビデオ発売&レンタル開始 2003年05月24日よりDVD発売開始 2002年11月23日から丸の内プラゼールほか全国松竹・東急系にてロードショー 2002年11月2日から22日まで丸の内ピカデリー1ほか全国松竹・東急系にてロードショー

(C)2002 松竹/日本テレビ/住友商事/博報堂/日販/衛星劇場

公開初日 2002/11/02

配給会社名 0003

公開日メモ 『男はつらいよ』『学校』シリーズの巨匠、山田洋次監督が初めての試みとして本格時代劇に挑戦。幕末に生きた名もない下級武上とその家族の姿を描く。

解説



構想10年——。巨匠・山田洋次が満を持して挑んだ渾身の一作!!

『男はつらいよ』『幸福の黄色いハンカチ』『学校』など、数々の心に残る傑作を生み出してきた日本映画界の巨匠・山田洋次監督が初めて挑んだ本格時代劇、それが『たそがれ清兵衛』である。監督生活41年、77作目を迎える本作品は、構想に10年以上を費やし、リアリティーを追求するため時代考証に1年以上をかけて、山田洋次が満を持して挑んだ渾身の一作である!原作は、文庫本の総発行部数が2300万部を超え、今もなお圧倒的な人気を誇る時代小説の第1人者・藤沢周平。市井に生きる人々の葛藤と哀歓、そして郷愁をさそう美しい自然描写。今まで誰も映画化しえなかった藤沢作品独特の世界が、山田洋次の手によって初めてスクリーンに映し出される。
本作品は、藤沢周平の数ある名作の中から、特に高名な短編「たそがれ清兵衛」「竹光始末」「祝い人助八」を原作に、誰かを大切に思う心、目立つことのない本当の勇気や誇りなど、現代の日本人に失われてしまった“心”を描いている。幕末に生きた名もない下級武士とその家族の絆を通して、山田洋次と藤沢周平が問いかける“本当の幸せとは何か”というメッセージに、胸に沁み入る感動を覚えるに違いない。

今までの歴史をぬりかえる、新しい時代劇が遂に見参!!

山田洋次は、従来の時代劇の約束事を踏襲せず、細部にわたり徹底的にリアリティーを追求した。実際に江戸時代末期の人々の暮らしがどのようなものだったのか?衣装、生活、喋り方、食事の内容などを徹底的にリサーチし、人々の一日の暮らしを可能な限り綿密に描くことで、等身大の人間像を浮き彫りにし、新たな時代劇のスタイルを作り上げようと試みた。本作品が全貌を現した時、今までの時代劇の歴史をぬりかえる、全く新しい時代劇に出会うことになる!

これぞ映画の醍醐味!これぞ映画の面白さ!本当の斬り合いを描く、度肝を抜く殺陣!!

本作品ではもうひとつ、今までの時代劇の常識を覆すことがある。それは、殺陣である。山田洋次は並々ならぬ決意で、最大の見せ場であるクライマックスシーンの殺陣に挑んだ。山田洋次が目指したもの、それは偽ものではない本当の斬り合いであった。格好良くも華麗でもない、殺気漂う命を賭けた本物の恐怖をスクリーンに映し出そうとしたのだ。そのため殺陣師に加えて剣術師範(小太刀指導)を招き入れ、一週間以上かけて奇麗事ではないリアリティに充ちた殺陣シーンの撮影を行った。今までの“チャンバラ時代劇”と呼ばれる殺陣とは全く違う、未だ嘗て見たことのない殺陣を生み出したのだ!

圧倒的な存在感をみせる、演技派キャストの競演!

主演は、アクションからシリアスな役柄まで、その確かな演技力には定評のある日本を代表する演技派俳優・真田広之。殺陣を知り尽くした真田の存在なくして本作品は成立しえなかった。幼なじみのヒロインに、香港映画「遊園驚夢 華の愛」で第23回モスクワ国際映画祭最優秀女優賞に輝き、女優としての活躍がめざましい宮沢りえ。二人は91年のNHK大河ドラマ「太平記」以来の共演となる。「十五才—学校・」に続いて山田作品は2本目となる日本映画界の重鎮・丹波哲郎。かつて「男はつらいよ 私の寅さん」でマドンナを演じ、昨年公開の「かあちゃん」で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞した岸惠子。「学校・」「十五才—学校・」で今や山田作品には欠かせない存在となった小林稔侍。さらには世界的な舞踊家である田中泯が、清兵衛の敵役として息を呑む迫力ある演技を披露し、銀幕デビューを果たす!

超一流スタッフ、ここに集結!

スタッフには、「男はつらいよ」「学校」シリーズの朝間義隆(山田洋次との共同脚本)、長沼六男(撮影)、出川三男(美術)ら練達の“山田組”スタッフに加え、大映京都で「地獄門」「炎上」等、数々の傑作で知られる映画美術の第一人者・西岡善信が美術監修として参加。同じく、大映京都で宮川一夫カメラマンとともに名作を担った映像京都の重鎮・中岡源権が照明を担当。衣裳には、故・黒澤明の長女であり、「夢」以降の黒沢作品を担当した黒澤和子。音楽は世界的なシンセサイザー奏者で「学校」シリーズの冨田勲。主題歌は「少年時代」以来、12年ぶり2度目の映画主題歌となる井上陽水。ピアノを生かしたバラード調の甘く切ない歌声が、エンディングを飾る。

ストーリー



親子のふれあい、幼なじみとの秘めた恋、そして命を賭けた壮絶な果たし合い!!

幕末の庄内、海坂藩。井口清兵衛は、御蔵役五十石の平侍である。

妻を労咳で亡くし、家には二人の娘(萱野と以登)、そして老母がいる。そのため生活は苦しく、下城の太鼓がなると同僚の付き合いなどを一切断って帰り、毎日家事と内職に励んでいる。
同僚たちはそんな清兵衛をからかって、陰で“たそがれ清兵衛”と呼んでいた。

清兵衛は友人の飯沼倫之丞と久しぶりに再会し、倫之丞の妹・朋江について聞く。朋江は、嫁ぎ先の婿・豊太郎が酒乱で横暴が過ぎるため、離縁をしてもらい実家に戻っているというのだ。翌日、その朋江が久しぶりに清兵衛の家を訪れた。

清兵衛と朋江は思い出話に花を咲かせる。ところがその夜、朋江を送った清兵衛は、酔って飯沼家に怒鳴り込んでいた豊太郎と鉢合わせになり、剣が苦手な倫之丞の代わりに決闘することになった。

翌日、清兵衛は刀を抜いた豊太郎に対し木刀で軽々とあしらい、打ち負かしてしまう。その噂はたちまち城中を駆け巡った。

朋江は清兵衛の家に頻繁に来るようになり、萱野と以登もすっかりなついている。そんなある日、倫之蛯ゥら朋江との縁談を勧められるが、貧しさを理由に断ってしまう。以来、朋江はぷっつりと姿を見せなくなった。

その頃、長らくもめていた藩主の後継ぎが決まり、清兵衛に反対派の一人馬廻り役・余吾善右衛門を討てという思いがけぬ藩命が下る。清兵衛は辞退を申し出るが「藩命すなわち藩主の命令であるぞ!」と迫られ、やむなく承知する。

翌朝、清兵衛は朋江に急ぎ来てくれるよう使いを出した。訪ねてきた朋江に清兵衛は事情を打ち明け、身支度を整える手伝いを頼む。
迎えが来るまであとわずか。清兵衛は緊張の中、朋江への秘めていた想いを打ち明ける。

「幼い頃からあなたを嫁にすることは私の夢でした。私は果たし合いに参ります。必ず打ち勝って戻ってきます。そのとき、あなたに嫁になって頂くようにお願いしたら、受けていただけるでしょうか」朋江に頭を下げた清兵衛は、愛する家族に背を向け、命を賭けた果たし合いに向かった……。

スタッフ

松竹株式会社
日本テレビ放送網株式会社
住友商事株式会社
株式会社博報堂
日本出版販売株式会社
株式会社衛星劇場
提携作品

監督:山田洋次
プロデューサー:中川滋弘、深澤宏、山本一郎
原作:藤沢周平「たそがれ清兵衛」「竹光始末」「祝い人助八」(新潮文庫)
脚本:山田洋次、朝間義隆
撮影:長沼六男
美術:出川三男
照明:中岡源権
録音:岸田和美
編集:石井巌
衣裳デザイン:黒澤和子
音楽プロデューサー:小野寺重之
ラインプロデューサー:斉藤朋彦
スチール:金田正
監督助手:花輪金一
製作主任:相場貴和
製作担当:峰順一
美術監修:西岡善信
製作協力:松竹京都映画株式会社、映像京都株式会社

キャスト

真田広之
宮沢りえ
小林稔侍
大杉漣
吹越満
深浦加奈子
神戸浩
伊藤未希
橋口恵莉奈
草村礼子
嵐圭史
中村梅雀
赤塚真人
佐藤正宏
桜井センリ
北山雅康
尾美としのり
中村信二郎
田中泯
岸惠子
丹波哲郎

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