原題:PRIME TIME MURDER

喝采を切り裂く鮮血のステージ

2000年/イタリア映画/91min 発売:彩プロ・販売:シネマファスト(税抜:16,000)

2001年12月7日ビデオ発売&レンタル開始

EURO TRASH MOVIES 研究サイト-YELLOW-::http://www2.plala.or.jp/MORIYAKEIJI/YELLOWindex.html

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解説


はさみで殺す…血塗られたはさみの怨念がが炸裂する。

サスペンスホラーの鬼才、ダリオ・アルジェント監督に迫る残酷美学!

モデル業界の「きらびやかな」残酷世界—知られざる裏事情

モデルの華やかなステージが精神異常者—PTSD(外的障害後ストレス症候群)をクリエイトする。愛と欲望渦巻く、その華麗で残酷な世界を描く。

『サイコ』を超える衝撃のクライマックス!

『サイコ』『アメリカン・サイコ』に続き、現実と非現実の精神世界を描くサイコ・サスペンス超大作!!あなたのIQが試される推理ゲーム—謎を解くことができるのか??

【チェック・ポイント!】

 『サイコ』、『アメリカン・サイコ』に続くとサイコ・スリラーの最新作…というより、これは日本で久々にリリースされたジャーロ映画の最新作である。ジャーロとは黄色という意味で、イタリアで推理小説のカバーが黄色だったことから、本来は推理・ミステリー系作品全般をさす言葉だったようだが、ジャーロ映画と言えば、専ら残忍な手口で次々と犠牲者が血祭りにあげられるイタリア製猟奇殺人映画ということになるのだ。M・バーヴァの『モデル連続殺人!』(64)前後を始祖として、有名どころではメーカーさんの解説にも出てくるD・アルジェントの諸作や『陰なき陰獣』(73)、『アクエリアス』(85…はよりスラッシャー的要素の方が強い気もしますが)などなど。正体不明の殺人鬼が、犠牲者を切り裂き、浴槽で溺死させ、その死体をバラスなど様々な凶行を繰り広げていたのだった。そして、このジャーロ映画には先にあげた『モデル連続殺人!』以外でも、『ドレスの下はからっぽ』(85)、『華麗なる殺人:死ぬには美しすぎて』(89)など、モデル業界を舞台にした作品が多々ありまして、黒手袋で正体不明の殺人鬼という意匠ともども実にジャーロの基本に忠実な映画だと言えそう。
 シャロン・ストーンが主演した同タイトル(但し、“氷の誘惑”−笑−のサブタイトル付)のサイコ・サスペンスもありましたが、こちらはモデルの姉ちゃん達がアメリカン・スプラッター『バーニング』(81)も真っ青の、大ぶりの剪定ハサミで殺されていく。このハサミを犯人が振りかざす場面なんかもかなり『バーニング』な感じで嬉しいが、それでも指が、腕がシュパッ!と飛ぶ『バーニング』とは異なり、専ら刺す・切る描写が中心で首が切断される場面も直接は映さないあたりが、いかにもジャーロ指数が高い感じです。監督のアレッサンドロ・カポネは、懐かしのヘラルド・ベスト・アクション・シリーズとして公開された『若妻の匂い』(86)の脚本、ビデオ・スルーの魔女ものホラー『ウィッチ・ストーリー』の脚本・監督を担当している。ブルーや黄色の照明や、もっともらしいようでイマイチよくわからんトラウマな物語などオヤクソクなつくりで、ジャーロ映画ファン、ユーロ・ホラー・ファンはまず押さえておくべき作品でしょう。
 因みに、キャストもユーロ系ファンは要チェック。ヒロイン役のサスチャ・ゼイチャリアス(ザカリアス)はこの映画で初めてその名前を聞いたんだけど、なんと“Young Emmanuelle”こと『シビルの部屋』(76)でポルノ小説を書こうとあの手この手の体験をしようとするシビルことアン・ザカリアスの娘さんだとのこと。確かに猫系のムードは共通な気がする…といっても、『シビルの部屋』って大昔に観たすっぱい思い出(またかい!)なんで、本当に似てるかはよく覚えてないけど。また、ルカ・ヴェナンティニの方は『地獄の門』(80)でジョバンニ・ランバルト・ラディスの頭をドリルでグリグリと貫通させたオヤヂを演じたヴェナンティーノ・ヴェナンティーニの息子で、同作ではジョンジョン少年役で出演してました。すっかり、成長した姿を見て当時と中身が何も変わってない自分はちょっとショック(苦笑)。因みに、このキャストの情報は、あの思いっきり濃くていつも色々御世話になってます…なEURO TRASH MOVIE研究サイト-YELLOW-を主催する山崎氏からご教授いただきました。ここで、海より深い感謝を捧げておきたいと思います。なお、ジャーロという言葉をここで初めて聞いたって方は、YELLOWの方に詳細な解説が掲載されておりあすので、そちらもどうぞ。なお、この要チェック2世俳優以外でも、ヒロインの母親を演じたマリサ・ベレンソンは、下記キャスト欄に記された真っ当(笑)な作品以外にアンソニー・ドーソン監督の『キラー・フィッシュ』に出てるあたりが、非常に親近感を覚えます。また、レイ・“悪魔の墓場”・ラブロックが同じく父親役で出ているのもお見逃し無く。
(殿井君人)

ストーリー


暗闇に鳴り響くケ一夕イ電話の呼び出し音、スピーカーから聞こえてくる不気味な殺人予告。
そして、次の瞬間、鋭利な刃物がすばやく、一直線に振り下ろされる!
逃げ場を失い、恐怖に目を見開いたまま絶命する美しいモデルたち。むごたらしい殺人を繰り返す犯人は、ファッション業界全体を震え上がらせながら、さらに新たな被害者を求め、恐るべき凶行を重ねていく。
モデルースクールに通うフランチェスカは、かつて業界に身を置いた母との確執に悩みながらもエージェンシーと契約、飛躍のチャンスをつかむ。しかし、彼女の周辺にもジワジワと殺人鬼の影は是ぴ寄っていた。検死官と協力しながら捜査を進める敏腕刑事や、プロファイリングにも通じたフランチェスカのルーム・メートによって、真犯人追求の推理は徐々に絞り込まれていくかに思えたが、それをあざ笑うかのように、なおも残忍な殺人は繰り返されるのだった。

スタッフ

プロデューサー:チロ・ダミッコ、アンセルモ・パリネロ『レディホ一ク』、ステファノ・ダミッコ
監督・脚本:アレッサンドロ・カポネ
原作:チロ・ダミッコ、アレッサンドロ・カポネ
編集:ロバート・シルビー『リバイアサン』『殺人魚フライングキラー』『カサンドラ・クロス』
            『トゥームストーン』『アイガー・サンクション』

キャスト

サスチャ・ゼイチャリアス
ルカ・ヴェナンティニ『地獄の門』
マリサ・ベレンソン『パリーリンドン』『裸足のトンカ』『ベニスに死す』『ホワイトハンター ブラック八一ト』

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