原題:The Autumn Heart

大嫌いで大好きなあなたへ 心のコリをとってくれたのも、 人生のトゲを抜いてくれたのも、 かけがえのない、あの人たちだった。

1999年サンダンス映画祭正式出品作品

1998年/アメリカ映画/109min/6巻/2,987m/アメリカン・ビスタ ドルビーSR/字幕:松浦美奈 提供:パイオニアLDC、パルコ/配給:パルコ

2001年9月21日DVD発売&レンタル開始 2001年9月21日ビデオ発売&レンタル開始 2000年9月2日よりシネスイッチ銀座にて初秋・感動ののロードショー

公開初日 2000/09/02

配給会社名 0077

公開日メモ 大嫌いで大好きなあなたへ 心のコリをとってくれたのも、人生のトゲを抜いてくれたのも、 かけがえのない、あの人たちだった。

解説

雑踏の中、不意にこぼれる涙——。大勢の人に囲まれているのに、なぜか寂しい。同じ時間、同じ車輌の通勤電車。
流れる窓の風景が、今日に限ってふとあの町に見える。

揺れるブランコ、耳がとれたぬいぐるみ、みんなでぶら下がった父の大きな腕、夕暮れ時、母の呼ぶ声がすると、たちまち暗くなる空……

そうだ、うちへ帰ろう、私にはあの人たちがいる。

人が最後までとっておく涙、それは自分のためだけに流す涙。人には見せない内緒の涙をそっと流してください。

最近泣いた映画はなんですか?切ないラヴ・ストーリー?それとも歴史の真実に迫るトゥルー・ストーリー?その感動は確かに素晴らしいけれど、あまりにも自分の人生とかけ離れていて、一晩眠ればいつもの日常の中に、流した涙も埋もれてしまいませんか?

そんなお仕着せの物語に疲れたあなたに贈る映画、それが『うちへ帰ろう』。これは、自分のために思いっ切り泣いて、怒って、笑える映画。なぜなら、普遍的な家族の日常と、突然起こる「一大事」を追いかけるうちに、誰もがスクリーンの中に自分を、それも「懐かしい自分」を見つけてしまらから。

エンド・クレジットが流れる時、胸の奥があったかい。そしてこの〈あったかさ〉を大切な人と分けあいたい。

最近、大声で怒鳴り合うほどの喧嘩をしましたか?友達や恋人との些細な行き違いはあっても、相手を失うことが怖くて、喉まで出かかった言葉を呑み込んでしまう。その一ことが言えたなら、もっと分かり合えるかもしれないのに……。気がついたら自分で薄めた人間関係の中で、波風立てないように気を張り詰めて疲れてる。悩んでいたのは、体のコリではなく、心のコリだった……。

『うちへ帰ろう』は、観た後に心の芯まで暖まる映画。主役の三人姉妹と弟、その父と母は感情を開放することを恐れない。相手のひとことに傷つき、ひとことに慰められ、どんなにぶつかってもいつか許し合う。そして、そんな関係は家族にしかあり得ないことに気づいていく。家族って安心して憎み合える関係かもしれない。その向こうにきっと愛があるから。

観終わった時、離れていてもそばにいても、すぐに両親や兄弟と話したくなる、自分の中の一番キレイな気持ちが素直に溢れだす、『うちへ帰ろう』はそんな映画です。

オーソドックス——
それは長い旅の果てに心が最後に帰るところ。
そろそろ肩の重い荷物をおろしませんか?

デヴ、ドナ、ダイアンの三人姉妹は、20年前に別れた弟ダニエルを探す。母が病気で倒れ、どうしても息子に会いたいと言いだしたのだ。バラバラになっていた家族が再開、様々な心の葛藤を経て、本当の意味で家族になる。今までに何度も映画化されてきた家族の再生のテーマに敢えて挑んだ脚本家は、俳優としても活躍しているデヴィッド・リー・ウィルソン。自分の家族をモデルに脚本を書き上げ、自らダニエルに扮している。

刺激を求めた90年代、人々はより強い刺激と、それに傷ついた心を癒すことに走った。映画界をにぎわした犯罪映画、サスペンス、ホラーのブームを経て、今、敢えて「普通」の人々の「普通」の生活を見つめ、「普通でない」大きな感動をもたらす作品が注目されている。あのデヴィッド・リンチ監督が、『ストレイト・ストーリー』で観客を驚かせたように、オーソドックスを見直しているのが興味深い。

そのような動きは映画界だけにはとどまらない。先頃大ベストセラーとなった『葉っぱのフレディ』や、若者へのエールを口語体の文章とポップなイラストで描き、彼らの心をつかんでいる326(中村ミツル)などがそうだ。また音楽業界でも、インストゥルメンタルがヒットチャートのトップをキープするという、かってない現象を起こした坂本龍一の『ウラBTTB』、ゴスペルのヒットなどが挙げられる。2000年に入ってからもCD売上げのロングセールスを記録したのは、久しぶりに得意のバラードを発表したサザン・オール・スターズ(『TUNAMI』)や今井美樹(『Goodbye Yesterday』)など、心に染み入るメロディだ。この傾向はエンタテインメントだけに留まらず、食品会社のキャッチフレーズ“スローフードに帰ろう”など、生活全般にも浸透し始めた。

そんな“オーソドックスに帰ろう”という気持ちにさせてくれる映画、まさにそれが『うちへ帰ろう』である。大人になって、心の痛みを経験して、初めてそのよさがわかる映画なのだ。

ストーリー

「そして20年が経ち、急に気づくのだ。失われたもの、心の空白に…。これは僕の家族の物語だ」僕たちはみんな、両親と同じ道を歩いているのかもしれない…

◆結婚をひかえた幸せな毎日
僕の名はダニエル(デヴィッド・リー・ウィルソン)、ハーバード大学の大学院生だ。恋人のリア(ジャック・デヴィッドソン)との結婚を間近に控え、幸せな毎日を送っている。リアはフランス文学の修士で、美しくかつ聡明な女性。結婚式の準備に追われる中、リアが招待状一つまでママの言いなりになるのが、少し気にかかる。

◆20年ぶりに3人の姉さんと再会
その日、僕は授業に遅刻してしまった。慌てて入った教室で、教授から女の人を「お姉さんだ」と紹介された!?確かに僕には3人の姉がいるけれど、20年前に別れて以来音信不通、顔すら覚えていない。僕はショックのあまり気絶してしまった。
少し落ち着いた僕は、姉さんたちを家に招待した。ドナ(マーセリン・ヒューゴ)とダイアン(マーラ・スカレッツァ)は喜んでくれたけど、一番上の姉デヴ(アリー・シーディ)が渋い顔をしたような気がして、少々心配だ。

◆姉さんたちと父さんの前途多難なご対面
僕は家に帰り、父さんに姉さんたちのことを説明しようとした。ところが父さんは「姉さんたち」という単語を聞くなり、気が動転してしまう。タイミング悪く、そこに姉さんたちが到着、約束の時間までまだ1時間もあるのに!ぎこちない空気の中、父さんは母さんのことを尋ねた。そしたら母さんはスクールバスの運転のストレスのせいで倒れて入院したって言うじゃないか!どうやら僕に会いたがっている母さんのために、姉さんたちは現れたらしい。
母さんの話になったら、デヴが急に怒り出した。父さんが見るからに裕福なのも気に入らないようだ。「あんたは3人の子供を捨て、お気楽人生よね。母さんは苦労したわ!」突然の展開に唖然としながらも、僕は出ていく3人を追いかけた。父さんが妻子を捨てたなんて初耳だ。混乱する僕を、3人は無理矢理車に押し込んだ。着いた先は賑やかなバー。飲んで、歌って、踊って、こんなにハメを外したのは初めてだ。

◆リアと姉さんたちの波乱のご対面
その晩はみんなでドナの家に泊った。翌朝、リアとの朝食の約束に送れそうな僕をダイアンが車で送ってくれた。ところが、彼女を見たリアが誤解して怒りだした。ダイアンはちっとも焦らず、半ば強引にリアと打ち解け、リアは姉さんたちをプレゼント・パーティに招待してくれた。僕は嬉しかったけれど、リアのママが驚くだろうな。
その後、プレゼント・パーティでの“事件”はリアから聞いた。リアの親戚は上流階級の人間ばかりで、姉さんたちは、はっきり言って浮いていたらしい。そして、ダイアンのプレゼントでパーティはメチャクチャに!なんと彼女のプレゼントは、二人組の男性ストリッパーの訪問サービスだったのだ!

◆とうとう母さんに会えた!でも……
病院のベッドの横たわる母さんを見て、僕は言葉に詰まってしまった。とても具合が悪そうで、黙って僕を見つめている。姉さんたちが言うとおり、父さんは母さんを捨てたのだろうか?
でも父さんは離婚を決めたのは母さんだといっていた。一体どちらを信じれば言い?こんなこと、母さんには聞けやしない。まるで心が二つに割れてしまった気分だ。

◆住む世界が違いすぎる姉さんたちとリディアだけど…
リアのママは姉さんたちを結婚式に呼びたくないと言いだした!でも、リアは姉さんたちをブライダル・メイドにすることを了承し、3人と衣装の打ち合わせをしてくれた。前もって決めておかないと、ダイアンはヒョウガラノミニスカートで現れかねないからね。何よりも嬉しいのは、その打ち合わせで3人の姉さんとリアは本音を語り合い、ホントウの友達になれたことだ。

◆大混乱!結婚式のリハーサルで僕はキレタ!
結婚式のリハーサルの日、僕は改めて父さんに離婚の原因と姉さんたちに会わなかった理由を尋ねた。母さんが面会禁止命令を請求したのだと話す父さん。僕はますます混乱してきた。リハーサルは終了、その後のパーティで、姉さんたちは歌を歌ってくれた。とても素敵な歌声に、みんなはうっとり聞きほれた。ぜひ式で歌って欲しい、みんなもそう思ったはずなのに、リアのママが式次第にないからダメだという。人から穏やかだといわれる僕が、ついにキレた!こんなに興奮したのは生まれて初めてだ。僕がリアのママを罵ったら、父さんまで彼女に「クソ女」と言い放ち、とうとうリアは泣き出してしまった。
パーティは台無し、あの紳士的な父さんが泥酔、支えるドナとダイアンに何度も何度も謝っていた。二人が父さんをベッドに寝かせた時、サイドテーブルから箱がこぼれ落ちた。そこに入っていたのは、娘たちのスナップ写真と、封を切らずに送り返された手紙だった……。

◆僕を包んでくれた大きな母さんの愛。なのに…
一方僕はといえば、気がついたら母さんの病院に勝手に忍び込んでいた。母さんに結婚への不安を話したら、母さんはキッパリと「結婚は二人がすること。彼女を愛しているなら誰もジャマできない」と言ってくれた。今まで知らなかった。母親の愛って、なんて大きくあたたかいんだろう。僕はそのまま母さんの側で眠ってしまった。
翌朝、僕が外の空気を吸いにでると姉さんたちが現れた。母さんの前に子供たちが揃う、そんなことが妙にうれしくてたまらない4人は、母さんの病室へ向かった……。

1970年9月、三人の娘を持つアンとリーのトーマス夫妻に4人目の子ども、ダニエルが生まれた…その6年後、彼らは離婚した。父親は息子を、母親は3人の娘たちを引き取った。それから20年の歳月が流れた—–。

スタッフ

監督:スティーヴン・メイラー
脚本:デヴィッド・リー・ウィルソン
エグゼクティブ・プロデューサー:マーク・シャボット、リサ・マリー・シラー
プロデューサー:ケリー・マクマホン
キャスティング:スーザン・ウィレット
音楽:シェルコン・ミロウィッツ
編集:ジョエル・ヒルシュ
プロダクション・デザイナー:スーザン・ジーマン・ロジャース

キャスト

デヴ:アリー・シーディ
ダニエル:デヴィッド・リー・ウィルソン
リー:ジャック・デヴィッドソン
ダイアン:マーラ・スカレッツァ
ドナ:マーセリン・ヒューゴ
リア:リサ・ケラー
アン:タイン・デイリー

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