クライシス・ジ・アース

『フォー・ウェディング』のＮ・ウォーカー主演によるＳＦサバイバルドラマ。天災による冷凍睡眠から目覚めた11人の男女は、文明壊滅後の世界で猛獣と戦うハメに！彼らに安住の地はあるのか？次々と襲うパニックの連続、一瞬も目を離せないスリリングなストーリー展開と迫力の映像。壮大なるスペクタクルとアクションで贈る衝撃のパニック・アクション超大作。

【チェック・ポイント！】

　英国といえば、やはり破滅ＳＦの国なのである。ざっと思いつく作品をあげてみると、古くは『人類ＳＯＳ』として映画化され視力を失った人間を襲う三本足の食肉植物がＳＦ少年の心を捉えた『トリフィド時代』や『海竜めざめる』のジョン・ウィンダム。ニュー・ウェーブ系では『結晶世界』他のＪ・Ｇ・バラードや『地球の長い午後』のブライアン・オールデス。核危機＆核戦争を描いた映像作品では『戦慄の七日間』、『戦争ゲーム』、『ＳＦ核戦争後の未来／スレッズ』。同じ災厄後の世界を描いてみても、アクション方向に流れがちなアメリカ作品とは一味違いどちらかというと静かに淡々と破滅後の世界を描いているものが多い。
　隕石の直撃で滅び去った地球、災厄の瞬間にたまたま乗り合わせた列車がトンネルに入り、また乗客の一人ハリエットが持ち込んでいた冷凍ガス（じゃ本当はないんだけど）の１種により瞬時に絶対零度に凍結させられ難を逃れた年齢も職業もバラバラの11人が40年後に覚醒、様々な脅威から逃れつつ安住の地“アーク”を求め旅する姿を、愛情・嫉妬・憎しみ・信頼など様々なドラマを盛り込んで丁寧に描いた英国製ＴＶミニ・シリーズ。いや、ホント結構トンデモ奇想天外な冒頭の設定は兎も角、荒廃した世界で生きてきたグループとの確執と接触、そしてそれぞれの存在の本質についてなど極限状態での地味ながらも力強い展開で飽きさせない。実際このビデオ自体堂々2時間半の長尺ではあるが、元は1時間枠6本構成とのことで、これでもオリジナルの半分位の長さに再編集されたものなのだ。それゆえ、若干物語が唐突に飛んでしまうところもなくはないので、機会があればじっくり完全版で観てみたい感じもする。ＤＶＤは完全版…とか出しませんかね？＞メーカー様。
　冒頭の隕石落下は直接画面では描かれないなど派手な特撮場面はほとんどないが、廃墟を描いたマット・アートや荒廃した基地のセット、そしてヨーロッパらしい寒々しく陰鬱な空の下に広がる荒涼たる大地が崩壊した世界に説得力を感じさせなかなか悪くないヴィジュアルだ。
（殿井君人）