踊る吸血鬼
原題:THE BLOODSUCKER LEADS THE DANCE
伯爵家に伝わる呪われた系譜 絶海の孤島で連続殺人鬼の黙示録が発見される
1975年/イタリア映画/89min 発売・販売/日本コロムビア(DVD税抜3,800/ビデオ税抜:16,000)
2001年8月18日DVD発売/2001年8月18日ビデオ発売&レンタル開始
解説
監督は俳優出身のアルフレード・リッツォ。1960年代にアルフレッド・ライスの芸名でいくつかのホラー映画に出演している。『惨劇の古城』の出演後、監督に転身。この作品は彼の4作目となる長編映画である。当時イタリアで数多く製作され、人気を博した猟奇殺人をテーマにしている。当時のこうしたイタリア作品は、美しい上流階級の女性が全裸で猟奇殺人鬼の餌食になっていく、といった低俗な内容ののものばかりで、なかには、上映禁止、ビデオ発売も禁止された作品もある。この作品もその例に漏れず、低俗で下劣なもの。
【チェック・ポイント!】
ローランの次は、再び国内未紹介作家の作品の紹介と、バランスのよさを感じさせてくれる“REDEMPTION”レーベルの8月リリース分は、20世紀初頭の古城を舞台にした猟奇殺人ミステリー。吸血鬼映画ではありません。ある劇団の俳優たちが、マーナック伯爵と名乗る紳士の招待を受けかれの居城にやってくる。一行のうちのイヴリンは、伯爵の家でした夫人によく似ていて、彼に見初められたのだ。同行したのは男がいなくては過ごせない好色なコーラとレズビアンのカップル(ストーリー欄の写真)、そしてイヴリン以外からは馬鹿にされている雑用係の男サミュエルといった面々だ。ところが女たちは一人また一人と、首を短刀で何者かにより切断され死んでいく。伯爵の父親、祖父はそれぞれ妻の裏切りを知り、探検で妻の首を刎ねた後それぞれ自殺したという。また、イヴリンやレズ・カップルは、因習深く保守的な城の使用人や島民から反感を買っていた。果たして、事件は館に伝わる地の呪いなのか?淫らなものに対する罰なのか?それとも…?
レズやSEX描写は確かにあるし、そうじゃないとは言えないけれど、上記の解説部分で触れられているように“低俗で下劣な作品”を期待すると、実は観た印象はかなり大人しめだ。時代や場所の設定も手伝ってイタリア製猟奇殺人劇(=“ジャロ”)ものというよりは、かなり古風な怪奇映画といった感触か。最も、超自然要素は一切登場しないのだが、マルチェロ・ジョンビーニによるメロドラマチックな音楽にのせて、愛と背中併せの死へのドラマが展開し、首を刎ねる凶行もその瞬間は描写せず、切り離された生首を見せる程度の描写に終始している。まぁ、実際のところ公開当時多くが低俗な作品として認識されていた“REDEMPTION”レーベルの作品は、現在の目で観るとムーディーな印象のものが多かったりする。その後のスラッシャー表現や、作品の陰惨さを追求するものに関して言えば、当時の低俗作品からさえ豊さをも感じさせるくらいにまで、突き進んでしまったと言えるのかも。
本作を監督したアルフレード・リッツォは、『グラマーと吸血鬼』などで俳優として活躍後監督に転進、その監督作品は日本では1本も公開されていず、ビデオ・リリースもこれが初めて。所謂サイコ・スリラーとしては、キャラクターの描かれ方が不足気味で謎解きも唐突で深みはないが、やはり欧州で撮られたこの時期の作品らしい古風な風景や佇まいは味わえます。
(殿井君人)
ストーリー
1902年、あるイタリアの伯爵がアイルランドを訪れる。そこで劇団の女優達を自分の城のある地中海の島へ招待すると持ちかけた。豪華な休暇が過ごせると思った彼女達は喜んで島へと赴くが、そこは絶海の孤島で、城は不気味な雰囲気に包まれていた。そして、その伯爵の祖父、父とも不貞を犯した妻の首をはねたという事実が知らされる。彼女達は伯爵の獲物なのか。
スタッフ
監督・脚本:アルフレード・リッツォ
音楽:マルチェロ・ジョンビーニ
撮影:アルド・グレーチ
製作:トロ・シマトグラフィカs.r.i.
キャスト
フェミ・ベヌッシ
ジャコモ=ロッシ・スチュワート
クリスタ・ネル
LINK
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