原題:NORA

全裸<ハダカ>のふたりがここにいる——。 20世紀三大文豪のひとり、ジェイムズ・ジョイスとその妻ノーラ。 アイルランド文学史上もっともスキャンダラスな真実の物語。

2000年4月21日アイルランド初公開

2000年/アイルランド・イギリス・イタリア・ドイツ合作/ カラー/107min/ヴィスタサイズ/SRD 配給:ケイエスエス

2004年10月22日よりDVD発売開始 2002年4月12日ビデオレンタル開始 2001年11月3日より渋谷bunkamuraル・シネマにて《激愛》ロードショー

公開初日 2001/11/03

公開終了日 2001/12/14

配給会社名 0027

公開日メモ 今、話題のジュード・ロウ、そしてユアン・マクレガーらが設立したプロダクション会社”ナチュラル・ナイロン社”の第一回製作作品『ノーラ・ジョイス或る小説家の妻』が今秋より渋谷bunkamuraル・シネマで公開が決定した。プロデューサーとして始めて主演作に名をクレジットすることになった、同作品で、プロモーションの来日の噂もあり、秋公開される作品としては、気になる1本。作品の内容は、20世紀の文豪・ジョイムズ・ジョイスとその妻ノーラのもっともスキャンダラスな話。主人公・ジェイムズをユアンが演じる。

解説


20世紀初頭ダブリン、ある男と女が運命的な出逢いを果たした。男の名は“ジェイムス・ジョイス”。常識や既成の価値観に反旗を翻し、のちに大作家として歴史にその名を刻むことになる放蕩な若者。女の名は“ノーラ・ハーナクル”。イプセンの小説『人形の家』の主人公と同じ名を持つ彼女もまた、古い因習の束縛を拒み、自由を求めていた。ふたりは湧き上がる感情に抗うことなく恋におちるが、それは痛々しいまてに屈折した清愛と波乱に満ちた日々の始まりを意味していた…。
20世紀三大文豪のひとりてあるアイルランド人作家、ジェイムス・ジョイス。この類稀なる才能を支え続けたひとりの女性に焦点をあて、ふたりの出会いからジョイスが『ダブリンの市民』を書き上げるまでの激動の数年間を、情感豊かに描いた文芸大作がこの『ノーラ・ジョイス 或る小説家の妻』である。
なかなか世間に認められず、次第に創造の苦しみと妻への猜疑心に苛まれていく若き小悦家と、そんな彼を常にユーモアと純朴な愛情で包み込み、ときには感情の赴くままに怒りを爆発させる女。愛するが故に苦悩し、互いに傷つけ合い、そして情念を極限までさらけ出すことで成長していくふたり。嫉妬と裏切り、真実と嘘、希望と絶望に彩られた日々。この物語はそんな複雑な愛のかたちを赤裸々に描きながら、ラヴストーリーの枠を超え、信じることの尊さや、気高く生きることの難しさを丹念に紡ぎ出していく。そして葛藤の果てに辿りついた許しあうう心を通し、真実のみが持ちうる感動へと我々を誘うのてある。
主演のノーラに『フィオナの海』『ウェイクアップ!ネッド』などインディペンデノト系の作品で際だった個性を発揮してきたスーザン・リンチ。偏執な作家を見守るたくましい母性と、子供のような無邪気さをあわせもった難役を可憐に演じている。ジェイムズ・ジョイスには『普通じゃない』『エピソード1 ファントム・メナス』のユアン・マクレガー。一世を風靡した『トレイン・スポッティング』以来、破竹の勢いでスター街道を駆け上った彼が、ここでは苦悩する若き作家に扮し、今までにない重厚な演技を披露、新しい魅力を見せている。また今回ユアンは、共同プロデューサーにも名を連ねており、本作に対して並々ならぬ熱意を注ぎ込んでいることが分かる。監督・脚本は主にドキュメンタリー作品で高い評価を得てきた新鋭、パット・マーフィー。本作で複雑に絡み合う思惑と愛憎を、繊細かつダイナミックに映像化して絶賛された彼女は、アイルランドか誇る女流監督として今後の活躍か約束されている。また、撮影には『ベティ・ブルー』『IP5 愛を探す旅人たち』などジャン=ジャック・ベネックス監督とのコラボレーションで名を馳せたジャン・フランシス・ロビン。光と影を絶妙に操り、登場人物の心理のひだまて浮かひ上がらせる卓越した映像美が堪能できる。他にも『愛の悪魔 フランシス・ベイコンの歪んだ肖像』のアラン・マクドナルドがプロダクション・デザイナー、『ジキル&ハイド』のコンソラータ・ボイルが衣装デザインを担当するなど才気あふれるスタッフが大挙して参加、この格調荷い愛の物語を盛り上げている。また、本作はユアン・マクレガー、ジョニー・リー・ミラー、ジュード・ロウらが良質な作品を自らの手でティストリビュートする趣旨で設置されたナチュラル・ナイロン社によって製作されている。

ストーリー

1904年、ダブリン。漆里の衣装を身にまとったノーラ・バーナクル(スーザン・リンチ)は、このアイルラント随一の都市に降り立った。過剰なまでに感性豊かで情動的な性格故、家族や、恋人と別れてまで新しい生活を始めようとしていた彼女は、自由を求めて田舎町ゴルウェーを飛ひ出したのだ。そんなノーラに繁華街である男(ユアン・マクレガー)が声をかける。タブリン案内を申し出るこの男の誘いを一旦は断ったノーラだったが、男は強引に後日会う約束をして名前を告げた。「僕の名はジェイムズ・ジョイス」。それはふたりの波乱に充ちた人生の幕開けだった。

待ち合わせの当日、ホテルのメイドとなったノーラは仕事を抜けることができず約束をすっぽかしてしまう。しかしジェイムズから手紙が届き、その真剣な言葉に胸をうたれた彼女は、改めて彼と会う約束をする。再会の日、ふたりは運命の糸が惹かれあうかのように夕闇の中で激しく口づけを交わした。
かねてからアイルランドの閉鎖性を嘆き、高い理想を文学に昇華させようとしていたジェイムズは、彼女とともにダブリンを旅立つ。向かった先はイタリアのトリエステ。外国語学校、ベルリッツ学院で教職を得たジョイスだったが、ノーラは彼がいないと何もできない自分に不安を抱かざるを得なかった。異国の地での慣れない生活に苦悩しながらも、ノーラは今後ジェイムズの支えになることを決心する。ところが彼は、執筆活動がうまくいかない焦燥感からか、ノーラに対し偏執的な言葉や冷淡な態度か目立つようになってくる。そんな中、ジェイムズとノーラはジョイスの弟、スタニー(ピーター・マクドナルド)をトリエステに呼び寄せた。長男のジョルジオを出産、徐々に自分の責任に目覚め始めたノーラとは裏腹に、ジェイムズは次第に酒浸りの日々を送るようになっていた。経済約にも困窮を極め、ジェイムズとの諍いが多くなってきたノーラに、スタ二一はそれでも兄の才能を信じるように説いた。

3年後、ノーラと長女のルチアはトリエステで暮らしていたが、ジェイムズはジョルジオを連れてダブリンに戻り、映画館を経営していた。久々にスタニーがノーラのもとを訪れた日、ジェイムズからの手紙で長男は他の男との子供ではないかと噂されていることを知る。根も葉もない噂に動揺すると同時に、そんなでたらめを信じてしまうジェイムズにショックを受けた彼女の生活は、すさんだものとなっていく。
一方相変わらずダブリンで無為な日々を過ごすジェイムズは、ふとノーラが以前働いていたホテルに足を運び、彼女が生活していた屋根裏の部屋に入れてもらう。出会った頃の純粋な気持ちが甦り、失いつつあるものの重要性にはじめて気づいた彼はノーラに手紙を書き、噂が事実ではなかったと伝える。疑念が解けて歓喜するノーラ。その後のふたりの手紙はエロティックなまでに愛の歓びを謳歌したものになり、お互い触れられないことへのもどかしさがあからさまに綴られるようになっていく。

1909年、ジェイムズはノーラの元に戻った。聖パトリック祭を祝いパーティーを開き、楽しいときを過ごすふたり。しかし、来客のフレチオーソとノーラが親しげに話している様子を見た彼は、またもやノーラヘの猜疑心を描く。その後何度もノーラと接触しようとするフレチオーソに、誘惑をけしかけるような態度をとるジェイムズ。戸惑いを隠せないノーラに対し、嫉妬に苛まれたジェイムズはしつこく他の男との関係を追及する。怒り頂戸に達したノーラは激しくジェイムズを責め、興奮した彼は書き終えたばかりの原稿を暖炉に放り投げてしまう。急いで原稿についた炎を消すノーラだったが、ふたりの関係は修復できないまでに壊れてしまったことを悟る。ついにノーラは、ゾェイムズが全身全霊をかけて完成させた『ダプリンの市民』を携え、子供たちを連れてアイルランドへ帰ることを決めるのだった。

スタッフ

衣装デザイン:コンソラータ・ボイル
プロダクション・デザイナー:アラン・マクドナルド
音楽:ロバート・ボイル
編集:ピア・ディ・チャウラ
撮影監督:ジャン・フランシス・ロビン
共同製作:ウーリッチ・フェルスバーグ、ジェームス・フリン、ジェラルド・バグリエーリ、ユアン・マクレガー
製作:ブラッドリー・アダムス、デーモン・ブライアント、トレイシー・ウォード
監督:パット・マーフィー

キャスト

ジェイムズ・ジョイス:ユアン・マクレガー
ノーラ・バーナクル:スーザン・リンチ
スタニー・ジョイス:ピーター・マクドナルド
エヴァ・ジョイス:エディン・モロニー

LINK

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