原題:MUSIC FROM ANOTHER ROOM

(初公開:オーストラリア1998年11月12日公開)

1998年/アメリカ映画/1時間45分/カラー/ヴィスタサイズ/ドルビーSRD/日本語字幕:古田由紀子 提供:丸紅+コムストック カペラ・インターナショナル提供 オライオン・ピクチャーズ協力 プラッド・クレヴォイ&スティーヴ・ステイブラー・プロダクション 配給:コムストック

2001年2月25日DVD発売/2001年2月23日ビデオ発売&レンタル開始 2000年10月28日より銀座シネパトス、渋谷シネパレスにて公開

公開初日 2000/10/28

配給会社名 0028

解説

今、最も光り輝いている俳優ジュード・ロウ。生まれ持ったノーブルな美しさと、これまで演じた役の強烈な印象、そして『リプリー』での圧倒的存在感によるアカデミー賞助演男優賞ノミネートで、その独特の魅力はすでに多くの注目の的となっている。そのジュードが、今まで出演したどの作品でも見せたことのない。
明るくさわやかでキュートな表情を見せ、まるでおとぎ話のようにハッピーでスウィートな物語の主人公を演じて、王子様的魅力をたっぷり披露してくれるのが、このロマンティック・ファンタジー『ミュージック・フロム・アナザー・ルーム』である。ジュード本人も「(この作品の)ダニ一役が、一番素の自分に近いかも」と発言しているように、外見的な印象とは違う、陽気で親しみやすい素顔のジュードが、初めてスクリーンに登場する。今後も続々と大作に出演予定なので、こんなにもキュートなジュードを見ることができるのは、おそらくこの作品だけに違いない。

「ぼく、大きくなったらこの子と結婚する!」…5歳のときにスワン家の末娘アンナの誕生に立ち会って誓った幼い日の初恋を、運命的な出会いと信じ、一途に”運命の恋人”アンナに情熱をぶつけるダニー。そのまっすぐで純粋な思いが、家族への責任をひとりで背負い込んで、頑なにダニーの愛を拒み、そして自分の情熱をも封じ込めようとしていたアンナの心を変え、またスワン家の人々をも変えて行く。盲目であるために心を閉ざしがちだったアンナの姉二一ナも、ダニーによって、外の世界を知り、愛を知るようになる。恋人だけでなく、彼とかかわるすべての人に、自分の気持ちに素直になることを教え、愛と幸せ、勇気と希望をもたらして行くダ二一。こんな、身近にいそうでなかないない、女性なら誰でも一度は夢に見る、おとぎ話の王子様のようなキャラクターを違和感なく自然に演じられるのは、映画界広しといえどもジュード・ロウしかいないだろう。

タイトルの『ミュージック・フロム・アナザー・ルーム』は、ダニーがスワン家の人々、とりわけアンナに向けて、恋について語るセリフから取られている。「恋って、隣の部屋からふと聞こえて来た音楽を、いつの間にか一緒に口ずさんでしまうようなものなんだ」。何気ない日常の中、ある日突然、ふとした瞬間に運命的な出会いが訪れ、それは、無意識の内に、自分に大きな影響を与えている。恋とは、そういう運命的なものなのだという、ダニーのロマンティックな恋愛観は、そのままアンナヘの愛の告白になる。
運命に呼ばれるとき、それはまるで隣の部屋から聞こえてくる音楽のように、誰にでも訪れる特別な瞬間なのだ。ダニーがこの言葉を口にしたとき、一見無関心な様子をしていたアンナも、ダニーの情熱的な愛に、次第に心動かされて行く。
★★★★★
全編にわたって甘くロマンティックな雰囲気を盛り上げるのは、日本でも人気のサヴェージ・ガーデンの大ヒット曲「TRULY MADLY DEEPLY」と、ジョン・レノンの息子ジュリアン・レノンのラブ・ソング「DAY AFTERDAY」。特にジュリアン・レノンは、自身のレーベル名を「MUSIC FROM ANOTHER ROOM」にしたほど、この物語に惚れ込んだという。
★★★★★
ジュード扮するダニーの率直で一途な情熱に影響を受けて変わって行くスワン家の人々にも、個性的な顔触れが並ぶ。風変わりな家族の世話を一身に背負おうと、頑なにダニーの愛に応えようとしないアンナに『セレブリティ』『ラウンダーズ』のグレッチェン・モル。ダニーによって外の世界を知る盲目の姉ニーナに『ブロードウェイと銃弾』『バウンド』のジェニファー・ティリー。皮肉屋の姉カレンに『ビューティフル・ガールズ』のマーサ・プリンプトン。そして、子供たちに魔法のようにエキサイティングなことが起こることを願い、ダニーとアンナが結ばれることを願う母親グレースに『秘密と嘘』『リトル・ヴォイス』のブレンダ・ブレッシン。神経症気味の兄ビルにジェレミー・ピヴェン、その情緒不安定な妻アイリーンに『ハピネス』のジェーン・アダムス、またアンナの完壁な婚約者エリックに『ウィズアウト・ユー』のジョン・テニーが扮している。
★★★★★
監督・脚本はチャーリー・ピーターズ。自身の人生が反映されているという5年かけて書き上げた脚本には、脚本家や舞台演出家としてキャリアを積んできた彼の、この作品にかけるエネルギーと情熱があふれていて、それが周囲の人々のベストな面を引き出したという。その情熱が、まだハリウッドに見出される前のジュード・ロウを発掘し、ゴールデン・グローブ主演女優賞を受賞したブレンダ・ブレッシンに、「何よりも明るくて楽しい脚本がいい」と出演を決心させた。

ストーリー

感謝祭の日、5歳のダニー少年は、医師である父とスワン家のディナーに招かれていた。
亡き母の友人のグレース(ブレンダ・ブレッシン)が臨月のお腹を抱えながらも、温かく2人を迎えてくれた。だが、そこで急に彼女の陣痛が始まってしまう。
ひよんなことから父と共に出産を手伝うこととなったダニー。
そして、無事に誕生した女の子アンナを見つめながら、ダニーは大胆にも将来この子と結婚する、と宣言するのだった。月日が流れ、モザイク・アーティストとなったダニー(ジュード・ロゥ)はモザイク修復の仕事のために故郷に戻ってきた。
だが、一緒に住むはずだった恋人には捨てられ、すぐに仕事にもつけなかった彼はパン屋の1室を間借りし、ケーキ配達の仕事をすることになる。そして、その配達の仕事が彼を、かつて感謝祭を一緒に過ごした家族のもとへと導いた。
ダニーは美しく成長したアンナ(グレッチェン・モル)と運命的な再会を果たす。
ダニーはアンナを女性として意識し、抗い難い運命の力を感じるのだった。
だが、彼女は手の届かない存在になっていた。
アンナはすでにエリック(ジョン・テニー)と婚約していたのだ。
頭がよくてハンサムで、裕福なエリックは彼女にとって完壁な相手。
それでも情熱的にアンナを追い求めるうち、ダニーはスワン家の家族の1人1人と深く関わり始めていく。
盲目で自閉的な姉二一ナ(ジェニファー・ティリー)、皮肉屋の姉カレン(マーサ・プリンプトン)、家族にドラマチックな展開がおこることを誰よりも望みながらも病に伏せる母グレース…。
明るくユーモアのあるダニーは、持ち前のまっすぐな心で、家族のみんなを少しずつ変化させていく力を持っていた。
そんなダニーに次第に惹かれてはいるものの、家族の面倒をみるのは自分しかいないと頑なに責任を背負い込んで婚約者から離れられないアンナ。
そのために、自分の気持ちになかなか素直になれない。
果たしてダニーの願いはかなうのか…。

スタッフ

監督・脚本:チャーリー・ピーターズ
撮影:リチャード・クルード
音楽:リチャード・ギブス
編集:C・ティモシー・オミエラ
美術:チャールズ・ブリーン
衣裳:メアリー・クレア・ハナン
製作総指揮:ジェフリー・D・アイヴァーズ
製作:ブラッド・クレヴォイ
スティーヴ・ステイブラー
ジョン・ベルトッリ
ブラッドリー・トーマス
共同プロデューサー:マーク・S・フィッシャー
ジェームズ・B・ロジャーズ

キャスト

ダニー:ジュード・ロウ
ニーナ:ジェニファー・ティリー
アンナ:グレッチェン・モル
カレン:マーサ・プリンプトン
グレース:ブレンダ・ブレッシン
エリック:ジョン・テニー
ビリー:ジェレミー・ピヴェン
ジーザス:ヴィンセント・ラレスカ
アイリーン:ジェーン・アダムズ

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