お母さんに、逢える・・・。

2000年/日本映画/製作:松竹・NHKエンタープライズ21・衛星劇場/配給:松竹

2001年1月21日ビデオ発売&レンタル開始 2000年6月17日より全国松竹系にて公開

サブ題名 少女萌の物語

公開初日 2000/06/17

配給会社名 0003

解説

 萌は、母の顔を知らなかった。
 たった一度でいいから、母のむくもりに抱かれてみたかった・・・。

 あのNHK連続テレビ小説「すずらん」が遂に映画化、新しい感動と涙がスクリーンによみがえる! 昨年末、放映終了(平成11年10月2日)の余韻も冷めやらぬまま、大きな反響に応えるかたちで、急遽、映画化が決定した。
 或る吹雪の夜、明日萌<あしもい>駅の待合室に置き去りにされていた萌と、愛情込めて萌を育てる駅長の常盤次郎…健気に生きる少女と、育ての父との強い絆と愛の物語が厳寒の北海道を舞台に展開する注目の感動作品。

 映画『すずらん/少女萌の物語』は、TVで人気の高かった“萌の少女時代”にスポットを当て、TVと同じドラマ設定で構成している。新たに、萌の命を救う過去ある青年・秀次が登場し、萌がほのかに憧れるエピソードも盛り込まれるなど、TVでは見られなかったストーリーで綴られる。

 映画最高の見せ場は、何といっても“萌と母との出逢い”だ。

 萌は、実の子以上に愛してくれる次郎に感謝しながらも、心の何処かでは、いつかはきっと母が迎えに来てくれると信じて、いつも、自分が置き去りにされていた駅のベンチに座っていた。そんな萌に、突然、母との劇的な出逢いの時が訪れる…。

 萌役には、「すずらん」で連続ドラマに初出演した柊瑠美。その愛らしい容貌と明るさ、そして可憐な演技で、今回、映画に初挑戦する。萌を我が子のように愛する父の常盤次郎には、確かな演技力で幅広い役柄を演じ分ける実力派俳優・橋爪功。この他、中村旅館の夫婦を演じる萬田久子と石倉三郎をはじめ、町長役の小野武彦、次郎の姉役の冨士眞奈美、写真館の2代目役のうじきつよし、床屋の女主人役の三原じゅん子など、“すずらん”の世界を支える共演陣が勢揃い。

 さらに今回の映画では、萌の命を救う青年・勝俣秀次役に、池内博之、そして注目の萌の母親役には、今もっとも輝いている女優・黒木瞳が、という映画ならではの豪華ゲストを迎える。

 監督は、テレビでもチーフ・ディレクターを務めた黛りんたろう。キャストとの息の合った演出が大いに期待される。脚本は、平成9年度前期の「あぐり」と今回の「すずらん」で連続テレビ小説を2作手がけている清水有生。音楽もTVに引き続き服部隆之が担当し、がっちりとしたチームワークを披露する。

 尚、NHK連続テレビ小説が映画化されるのは、昭和41年公開の『おはなはん』(※1)、48年公開の『藍より青く』(※2)以来、27年ぶりのことである。

ストーリー

 或る吹雪の夜、北海道留萌線・明日萌駅の待合室に置き去りにされていた赤ん坊。
 1年前に最愛の妻を失った駅長の常盤次郎は、この子が妻の生まれ変わりだと思った。
 その子に、駅の名前から「萌」と名付けた。
 あれから11年、昭和10年の冬。
 常盤次郎(橋爪功)は、今日も汽車の発着と乗客の安全を見守っている。その頃萌(柊瑠美)は、学校の帰り道、幼なじみの竹次郎と雪の線路を歩いていた。トンネルに差しかかった時、萌は一瞬躊躇した。「山越えてたら、日が暮れるべ」竹次郎に急かされるまま、一歩踏み出した萌は、突然、鈍い音を立てて雪に埋まってしまった。「萌!」竹次郎が慌てて萌の体をひっぱる。だが、萌の足は線路に引っかかって動かない。トンネルの中からは汽笛が鳴る。猛然と迫ってくる汽車。「竹ちゃん逃げて!」 死を覚悟した萌。その時、何処からともなく一人の青年が飛び出し、間一髪、萌を救い出した。

 勝俣秀次(池内博之)と名乗るその青年は、この時、足に怪我をして、しばらく竹次郎の両親が経営する中村旅館で療養することになった。だが、この救出劇で町の英雄であるはずの秀次には、何やら不審な陰があった。数日後、町の警察がやってきて、秀次は“父親殺し”の指名手配犯だという。「お兄ちゃんはそんな人じゃない。おとうさん、お兄ちゃんを助けてあげて」 萌の必死の願いに、次郎は「鰊番屋に行けば、追われている者を匿ってくれるらしい…」と、秀次に告げる。

 事件は一段落したものの、次郎には誰にも言えない悩みがあった。数日前に届いた一つの小包。“川本フキ”(黒木瞳)、萌の母からだった。中身は赤いマフラーだったが、次郎はどうしてもそれを萌に渡す気にはなれない。あれは2年前、一目、萌に逢いたいと言いながら、約束の日に、最終列車まで萌を待たせたまま、とうとうやってこなかった母親…2度までも萌を捨て、傷つけた女を、次郎は決して許すことは出来なかった。「萌は、母親に逢わせない方がいい」と、中村旅館の夫婦、松吉(石倉三郎)と幸子(萬田久子)に打ち明ける次郎。だが、襖の向こうには、寝ているはずの萌がいた。その耳に、優しい父の、哀しい決意が聞こえていた。

 それから2週間後、秀次のいた部屋から、竹次郎が木彫りの人形を見つけた。もうすぐ嫁に行く妹のためにと秀次が彫っていたものだ。早く秀次に届けなければと、大人たちの反対を振り切って、萌と竹次郎は雪深い小平の鰊番屋に向かった。元気に働く秀次に逢えた萌と竹次郎は、無事に人形も手渡し、秀次も喜んでくれた。束の間の再会に、父の哀しい言葉も忘れていた萌。しかし、帰り際に見た番屋の名札に、萌は意外な名前を見た。“川本フキ”…。わたしを捨てたお母さんの名前! 心ない運命は、またもや萌の小さな心を激しく揺さぶった…。

スタッフ

製作総指揮:大谷信義/酒井治盛
エグゼクティブプロデューサー:田中浩三/高橋康夫
チーフプロデューサー:野村芳樹/田代勝四郎
プロデューサー:田沢連二/吉岡和彦/坂 美佐子
ラインプロデューサー:貝原正行
撮影:中堀正夫
照明:丸山文雄
美術:中澤克巳
録音:北村峰晴
編集:奥原好幸
記録:牧野千恵子
美術制作:橋口修侍
助監督:佐々部清
製作担当:芳川 透
脚本:清水有生
音楽:岩代太郎
監督:黛りんたろう
製作:松竹株式会社
    株式会社NHKエンタープライズ21
    衛星劇場
配給:松竹株式会社

キャスト

橋爪 功
柊 瑠美
萬田久子
石倉三郎
小野武彦/
冨士眞奈美
うじきつよし
三原じゅん子
池内博之
黒木 瞳

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