スノー・ステーション

クローネンバーグ、エゴヤン…新しい才能が世界へと羽ばたいている注目のカナダ映画界から衝撃の密室パニック・スリラーの傑作、ここにに誕生!
　近年『クラッシュ』『イグジステンス』とタブーな題材に挑み、独自の映像世界にますますの磨きをかけている鬼才デヴイッド・クローネンバーグ。そして『エキゾチカ』『スウィートヒアアフター』とカンヌ映画祭で連続受賞を果たし、昨年『フェリシアの旅』ではメル・ギブソン率いるアイコン・エンターテインメントとパートナーシップを結んだアトム・エゴヤン。…続々と新しい才能が芽生え、その動向が世界中から注目されている近年のカナダ映画界。一昨年前も同じくカナダ映画『CUBE』が密室状態のサスペンスをユニークなアイデアでまとめあげ、日本でもロングラン・ヒットを記録したのが記憶に新しいが今年、その『CUBE』をも凌ぐ緊迫感と閉塞感で見る者に衝撃を与える密室パニック・サスペンスの傑作が誕生した!
　舞台はコロラド州ロッキー山中のあるモーテル。奇しくも町の銀行が強盗にあったその日、大寒波のためハイウェイは封鎖されモーテルは外界との接触が一切閉ざされた”密室”状態となった。そこに閉じ込められたのは偶然居合わせた宿泊客を含む1O人の人間たち。閉鎖的空間の中でお互いの複雑な人間関係が露出し始め、緊迫感が高まってくる。しかも彼らはお互い他人には知られたくない秘密を持ち合わせているようだ。そしてその夜、おびただしい血で染まった客室が新人警官ジェイソンによって発見される。その後一組の男女の死体、そして数十万ドルの入ったバッグが続けて発見される。誰もが疑わしい10人、果たして殺人犯はその中にいるのか?そして大金の入ったバッグの意味することとは?身動きのとれない極限状態の中、事態は次々と発生する惨事に向かって暴走し始める。普段はゆったりと時間が流れる平穏なモーテルの空気の流れが一変して、バランスを崩した恐ろしい惨劇の舞台となる。あたかも雪崩に巻き込まれるかのように…。『ファーゴ』『シンブル・プラン』を彷彿とさせるような雪一色の世界の中でそこにうごめく人間の欲望が狂気に色を染める時、逃げ場のない恐怖があなたを凍らせる!
　キャストは新人警官ジェイソンに『スモーク・シグナルズ』のアダム・ビーチ。彼は『M:I-2』のジョン・ウー監督の新作(「Windta1kers(原題)」共演ニコラス・ケイジ/クリスチャン・スレーター)にも出演が決定し、将来ブレイク間違いなしの注目株。ジェイソンの元恋人で”ワケあり”の女性に『ドゥーム・ジェネレーション』で鬼才グレッグ・アラキ監督に見出され、『スクリーム』『ファントム』等で活躍するローズ・マッゴーワン。ミステリアスな黒髪の女を影のある魅力で演じている。そしてモーテルのオーナー役でユルゲン・プロポノフが出演。ウォルフガング・ぺー夕ーゼン監督の名作『Ｕ・ボート』で密室の中での極限状態を見事に演じ、近年は『エアフォース・ワン』『リプレイスメント・キラー』等で名バイブレーヤーぶりを見せている彼が今回は人生の岐路に差しかかった中年男の哀愁のこもった演技で若手キャストをうまくサポート、作品に厚みをもたせている。
　一寸先が見えないストーリー展開とその衝撃に震憾するラスト…。この作品はスリラー映画の持つ魅力と底力を十分に伝えてくれるはずだ。