今のムスメはジジイを背負って何処へ行く 喜劇の中に人生を謳う現代に描く“姥捨て伝説”

モスクワ国際映画祭グランプリ

1999.01.15初公開

1999年/119分/カラー/ヴィスタ 配給:アスミック・エース エンタテインメント

2001年10月10日DVD発売 2001年5月12日(土)〜5月25日(金)シネマライズにて

公開初日 2001/05/14

公開終了日 2001/05/18

配給会社名 0007

公開日メモ 「新藤兼人からの遺言状」として特集上映 鉄人・新藤兼人監督の創造する映画は独創性に富み、観客を圧倒するエネルギーに満ちている。監督作品は46本、89歳を越えた現在も次回作の構想を練り、週に1本の脚本を書き上げるというタフネスぶりを発揮する監督の過去の作品を堪能できます。

解説

’95年、日本アカデミー賞はじめ数々の映画賞を独占、また社会現象ともなった『午後の遺言状』で“老いの生き方”を提起した新藤兼人監督が、再び喜劇の中に“老いを生きること”_人生を謳いあげる意欲作。姥捨て伝説に伝承されるいわば老人遺棄“お山まいり”を描く時代劇と、高齢化社会にみる老人の現状を描く現代劇と交錯させる世界の中で描く現代の“姥捨て伝説”。新藤脚本特有のユーモラスなセリフのやりとりが、また圧倒的な演技力で信頼出来るキャスト陣が支えた『生きたい』。人生の辛辣をかるく笑い、人を愛し、人生を生き続ける人間たちのための巨匠・新藤監督ならでは優しくあたたかなドラマがここに仕上がりました。
キャストは脚本を書く時から想定していたという三國連太郎、新藤作品でまた新たな演技派の側面をみせる大竹しのぶ、そして榎本明、大谷直子、宮崎淑子といったベテランの面々。プラスして時代劇は主役に吉田日出子、津川雅彦、塩野谷正幸、いずれも達者な役者陣に、舞台版『午後の遺言状』の好演で抜擢された新人の羽村英、中村博美。また風変わりな病院長に『午後の遺言状』が忘れ難い観世榮、“おばすて”駅長の馬場当、長者の側女に渡辺とく子、無表情な看護婦の水野あや、といった幅広いキャスティングの顔ぶれ。その豪華なキャラクターたちが作品の重厚さに貢献、卓越した熟な雰囲気を創りあげています。

ストーリー

70歳の安吉(三國連太郎)は、妻は15年前に他界、40歳になる嫁き遅れの長女・徳子(大竹しのぶ)と暮らしている。長男、次女は家を捨てたも同然で別居。ソウウツ病の徳子だけが、家を出ることも、かといって父を独りにもできずにいる。このところ安吉は、衰えゆくカラダを抱え、崩壊した我が家族と自分を憐憫する毎日。馴染みのバーのママ(大谷直子)にも愛想をつかされたある日“おばすて”に出掛けた彼は疲れもあり酔って失禁し街路に倒れ、ある医師(榎本明)と出会う。
村のオコマは70歳になり、お山まいりの年を迎えた。ふたりの息子クマ(塩野谷正幸)とウシ(羽村英)、そして今年からは嫁オキチ(中里博美)が家族だ。村の長者(津川雅彦)らに祝われてオコマが山に行く日が近づく。複雑な気持ちで母の背負子を組む長男クマ。やがて彼は母を背負い山に入るが…。
医師は特別老人看護ホーム入所を薦める。安吉も決心した。徳子は父をホームに送り込んだものの友人(宮崎淑子)と会っていても心が落ち着かない。やがて徳子は…。
姥捨て伝説は全国で伝承されてきた。役にたたない老人は山に捨てる。文明社会では許されない。現代の老人はいかに生きるべきか。カラス(=死の象徴)が我々を狙っている。そして我々はどうするのか…。

スタッフ

製作:新藤次郎
プロデューサー:平形則安
製作担当:森賢正
監督:新藤兼人
助監督:山本保博
脚色:新藤兼人
原作:新藤兼人
撮影:三宅義行
音楽:林光
美術:重田重盛
録音:武進
照明:山下博
編集:渡辺行夫
製作:近代映画協会
配給:日本ヘラルド映画

キャスト

安吉: 三國連太郎
徳子: 大竹しのぶ
オコマ: 吉田日出子
クマ: 塩野谷正幸
ウシ: 羽村 英
オキチ: 中里博美
烏丸長者: 津川雅彦
側近の女: 渡辺とく子
ママさん: 大谷直子
長太郎医師: 榎本 明
院長: 観世 榮夫
看護婦: 水野あや
姨捨駅長: 馬場 当
トモコ: 宮崎淑子
幸子: 広岡由里子
輝男: 草薙 仁
島津あけみ: 都山 逢
老人ホーム所長: 麿 赤兒
病院の賄婦: 絵沢萌子
気取った男: 高橋長英
坊主頭の男: 六平直政
大学生: 大森南朋
高校生: 菊池百合子
作業所の美青年: 村治 学
作業所の指導者: 前沢保美
作業所の女: 中島陽子
可愛いおばさん: 原ひさ子
スーパーの男店員: 正名僕蔵
スーパーの女店員: 曽我部 あきよ
宅配便の男: 渡辺 徹
マッサージの女: 夏目 玲
じじい: 江角英明
じじい: 須賀不二男
じじい: うえだ 峻
じじい: 北村大造
じじい: 下飯坂菊馬

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