バロウズの妻
原題:Beat
なぜ、バロウズの妻は愛する夫に射殺されたのか?
2000年サンダンス国際映画祭出品 2000年ロサンゼルスインディペンドフィルムフェスティバル
2000年/アメリカ/93分/35mm/カラー/ビスタ/ステレオ/ 日本語字幕翻訳:松浦美奈/字幕制作:日本シネアーツ社 配給:M3エンタテインメント 提供:丸紅株式会社
2001年12月21日DVD発売&レンタル開始 2001年12月21日ビデオ発売&レンタル開始 2001年6月23日よりユーロスペースにて公開
公開初日 2001/06/23
配給会社名 0024
公開日メモ 1951年、のちに『裸のランチ』の作者として知られるようになる作家ウィルアム・S・バロウズは、妻のジョーンズを射殺する。メキシコシティで妻とその娘ジュリアと貧しい生活をおくっている最中の出来事だった。
解説
1951年、のちに『裸のランチ』の作者として知られるようになる作家ウィルアム・S・バロウズは、妻のジョーンズを射殺する。メキシコシティで妻とその娘ジュリアと貧しい生活をおくっている最中の出来事だった。
なぜ、バロウズの妻は愛する夫に射殺されたのか。
同性愛に走った夫と昔の恋人との愛の狭間に苦しむ、人妻の運命は……
伝説のカルト作家ウィリアム・S・バロウズの妻ジョーンに初めて光をあてた知られざる愛の実話。
第2次世界大戦後の米ソ冷戦下、アメリカ社会に反抗的な若者たちの文学運動(ビート・ジェネレーション)に圧倒的な影響を与えたBlG・3(三大文学者)ウィリアム・S・バロウズ(『裸のランチ』)、アレン・ギンズバーグ(『吠える』)、ジャック・ケルアック(『路上』)。本作は、3人の人生に暗い影を落とした2つの殺人事件、中でもバロウズが愛する妻ジョーンを射殺してしまうというショッキングな事件を、実話に基づいて初めてありのままに描いた映画である。
映画界に衝撃を与えた『裸のランチ』、(91年/監督:デビッド・クローネンバーグ)の原作者であり、日本でも圧倒的な人気を誇りながら惜しくも97年8月3日にこの世を去った伝説のカルト作家ウィリアム・S・バロウズとその妻の私生活を描いた問題作なのだ!脚本を書くに当たって、監督のゲイリー・ウォルコウは入手可能なあらゆる書籍を読破、コロンビア大学のRare Book Library(稀覯図書館)の資料も調べ尽くした。ウォルコウはウィリアム・バロウズが亡くなる前に、実際に本人に会って話もしている。またウィリアム・バロウズにヘロインを体験させ、テキサスでウィリアムとジョーンと同居してた人物、ハーバート・ハンクにもインタビューするなど入念なリサーチを行った。
主演は、妻ジョーンに今は亡き”ニルバーナ”カート・コバーンの妻であり、自らもホールのボーカリストであるコートニー・ラヴ(『ラリー・フリント』『200本のたばこ』『マン・オン・ザ・ムーン』)、バロウズとケルアック、ギンズバーグを結びつけたジャーナリスト・ルシアン・カーをノーマン・リーダス(『ミミック』『8mm』『処刑人』)、バロウズをキーファー・サザーランド(『ダークシティ』『評決のとき』)。アレン・ギンズバーグをロイ・リビングストン(『スウィンガーズ』『ストレート・トーク/こちらハートのラジオ局』)が演じている。監督は、1987年アメリカ・サンダンス映画祭(ドラマ部門)グランプリ受賞作『ディックの奇妙な日々』のゲイリー・ウォルコウ。
監督は、1951年にルシアンとジョーンとアレンが実際に訪れた場所をはじめとするメキシコ・シティで撮影。本作で50年代〜60年代の雰囲気ある音楽を作り出したアーネスト・トルーストとともに、1950年代のアメリカ・メキシコの風景の中に『裸のランチ』の原型とも言うべきバロウズとジョーンの苦悩を美しいものとして結晶させた。
ストーリー
《”Beat”は実話である。一部の端役のみ、名前を変更した。》
1944年、ニューヨーク。数人のコロンビア大生がジョーン・ヴォルマー(コートニ・ラヴ)のアパートに集まって酒を飲み、麻薬を吸い、様々なクスリを試している。ジョーンは色仕掛けで地元の薬剤師(スティーブ・ヘデン)から、処方箋の必要な薬剤を入手していたのである。彼女とサディ(リサ・シェリダン)が、若きアレン・ギンズバーグ(ロン・リビングストン)とべンゼドリン入りのコーヒーを飲んでると、サディの恋人ジャック・ケルアック(ダニエル・マルティネス)とルシアン・カー(ノーマン・リーダス)が現れる。2人は商船に乗り込めず、解放前のパリへ行く計画はしばし延期となる。
ルシアンが大酒を飲んで泥酔しているところへ、彼より年上であか抜けたウィリアム・S・バロウズ(キーファー・サザーランド)と、人の集まる場所に物欲しげに出入りする陽気なデーブ・カマラー(カイル・セコー)が登場。いつ船に乗れるかはっきりしないルシアンは、暇つぶしにジョーンとイチャつき、言い寄ってくるデーブにつれなくする。
バロウズはルシアンに、デーブに論文を書かせてさっさとパリへ逃げれば、彼と関係をもたずに済むと、秘かに入れ知恵する。ルシアンはデーブと仲直りすると約束する。間もなくルシアンとギンズバーグがドライブに出かけようと言い出したので、デーブもついて行こうとする。だがギンズバーグに電話がかかってきたため、ルシアンはデーブと2人で出かける。しばらくしてルシアンは血まみれになって戻り、デーブに口説かれてカッとなり、彼を殺して死体を川に捨てたと告白する。バロウズは弁護士を呼んで自首するように説得、ルシアンは部屋を飛び出して行った……。
1951年、メキシコ市。歳月は流れ、バロウズとジョーンは結婚して子供を1人もうけた。麻薬で逮捕されてアメリカを離れざるを得なかったバロウズは、メキシコ市内のスラム街で、ビル・ジュニア(ルネ・ルビオ)と、ジョーンが最初の結婚で産んだ娘ジュリア(ジョージアナ・サーブ)と暮らし、セックスレスな困窮生活を送っている。バロウズがリー(サム・トラメル)という若い男とグアテマラ旅行に行くので、ジョーンは腹を立てる。アレンとルシアンがバロウズに会いにくるからだ。それでもバロウズは出発する。
ルシアンはデーブ殺しで2年服役した後、UPI記者となった。ギンズバーグは詩人になったが、わずかな収入と同性愛に悩んでいた。
ルシアンとギンズバーグはメキシコ市に着くが、バロウズが留守なので、ジョーンに町の案内を頼む。ジョーンとルシアンが地元のバーで飲んでいると、祖国を追われた店の経営者ハード(アレック・フォン・バーゲン)とドワイト(トミー・パーナ)に誘われ、ハードのアパートに招かれる。そこで彼らは近くの火山が爆発しそうだと知る。スリルに飢えていた3人は、溶岩を見に車を東へ走らせる。
彼らは野宿をしながら旅をする。時々、奇行を演じることはあっても、3人は道中、話をしながら自分自身を見つめ直す。ルシアンはバロウズを裏切って、ジョーンとよりを戻そうかどうか迷う。ジョーンはたとえ不幸せでも、ルシアンと不倫する気はなく、彼の気持ちをもてあそぶ。
若くて精力的なルシアンはついに、ジョーンの体をものにするが、彼女の心をつかむことはできない。彼は半ばあきらめながら、2人の子供を連れ七日分と一緒にニューヨークヘ戻ってくれと彼女に頼む。同性愛者のバロウズと暮らし、肉体的に満たされないうえに生活も苦しいジョーンは、真剣に考える。
一方、グアテマラではバロウズも満たされぬ思いに悩まされる。リーは「契約」以外のことは一切拒み、セックスも週2回以上はお断り。バロウズはリーを抱いてる時でさえ、自分の体が男性を求めていても、内心はジョーンを愛してることに気づく。
ジョーンたちはメキシコ市に戻ると、アレンも彼女にニューヨークに戻ってくれと頼むが、彼女はバロウズと一緒にメキシコに残る決心をする。ルシアンは仕事の都合で、バロウズが戻る前にアレンと共に帰国する。
グアテマラでさんざん浪費し帰ってきたバロウズは、家賃を工面するために拳銃を売ることにする。
ハートのアパートで拳銃の買い手を待つジョーンは、グアテマラ旅行のことで、リーに辛らつな嫌味を浴びせるのに飽き飽きすると、今度は退屈だと嘆く。バロウズは「ウィリアム・テルごっご」をやろうと言いだす。
今まで何度もやってきたように、ジョーンは頭の上にグラスをのせ、バロウズは発砲する。そして誤ってジョーンを殺してしまう。
1951年、ニューヨーク。通信社で働くルシアンのもとに、ジョーンの訃報が届いた……。バロウズとギンズバーグは1997年に亡くなるまで、小説・詩・エッセイなど様々な作品を残し、「ビート・ジェネレーション」の代弁者として不朽の名声を得た。「バロウズとギンズバーグとケルアックの作品にしばしば登場するルシアン・カーは、UPIを引退。ジョーン・バロウズの書いたものは、数通の手紙しか残っていない。
スタッフ
監督:ゲイリー・ウォルコウ
製作:ドナルド・ザッカーマン、アンドリュー・フェッファー、
アラン・シルバー
製作総指揮:アヴィ・ラーナー、ウィリー・ベアー、
ダニー・ディムボート、トレバー・ショート
脚本:ゲイリー・ウォルコウ
撮影:サイロ・カペーロ
音楽:アーネスト・トルースト
編集:スティーヴ・ヴァンス、ピーター・B.エリス
キャスト
ジョーン・ヴォルマー(バロウズ):コートニー・ラヴ
ルシアン・カー:ノーマン・リーダス
アレン・ギンズバーグ:ロン・リビングストン
ウィリアム・S・バロウズ:キーファー・サザーランド
デイヴ・カマラー:カイル・セコール
リー:サム・トラメル
サディ:リサ・シェリダン
ビル.Jr:レネ・ルビオ
ジュリー:ジョージアナ・シルブ
ドゥワイト:トミー・ペルナ
ヘルド:アレック・ヴォン・バーゲン
LINK
□公式サイト□IMDb
□この作品のインタビューを見る
□この作品に関する情報をもっと探す