原題:La Villa Santo Sospir

詩人は死んで蘇る。

1952年/カラー/38分/16mm/コダクローム/ 製作:レ・フィルム・デュ・カプ 配給:ケイブルホーグ

2001年4月7日よりユーロスペースにて公開

公開初日 2001/04/07

配給会社名 0029

解説

この映画は、詩、小説、映画、美術と、芸術のあらゆるジャンルを駆け巡ったジャン・コクトーが、自らの生涯を語り、これまで彼がインタビューに答えた言葉や映像を中心に、写真、ドキュメンタリー映像、絵画や詩、そして『オルフェの遺言』『詩人の血』など彼の監督した映画をコラージュして構成された<コクトーの全て>が語られる、貴重なドキュメンタリーである。
コクトーの制作現場からの生の声が伝わる、コクトー芸術の魅力が解き明かされる作品で、コクトーの生きた時代、彼の素晴らしい友人関係、彼が愛した美しい男たちも見逃せない。
コクトーをもっと知りたい人必見の映画である!

ストーリー

絵を文章の別の表現方法と見なしラインの生命にこだわった詩人ジャン・コクトー。そのジャン・コクトーにとって、デッサンや絵画は璽要な表現分野であり、キャンバスから壁画まで多くの作品を残している。なかでも壁画はヴィルフランシュのサン・ピエール礼拝堂やマントンの結婚式場、またミ・ラ・フォーレのサン・ブレーズ・デ・サンプル礼拝堂が知られる。
この映画はそうした壁画が描かれたサント・ソスピール荘を撮ったドキュメンタリー映画である。南仏サン=ジャン・カプ=フェラにあるこの別荘はジャン・コクトーの良き理解者で後援者であったアレック・ウェスウェレル夫人フランシーヌの持ち物で、コクトー自身もしばしば滞在していた。そしてコクトーは1950年から翌年にかけてこの別荘の部屋や廊下の壁などに絵を描いた。この映画ではそうした別荘の壁画がひとつひとつコクトー自身による説明によって見せられていく。
広い庭園と別荘の全景。その中を歩くジャン・コクトー。部屋や廊下の壁、ドアの上に描かれた絵。コクトー自身が各部屋を紹介しながら自分で描いた絵を説明していく。古代ギリシャ・ローマの神話から取られた題材。アポロン、メルキュール、バッカスの巫女たち、あるいはディオニソスの絵。庭園の木立や海岸の岩場にもタブローが飾られ、コクトーと共に見せられる。それはコクトーによるコクトー論といえる。
その一方、建築中のコクトーのアトリエ、庭園の木馬やライオン像と戯れるコクトー、フランシーヌ夫人所有のヨット”オルフェ2世号”に乗るコクトー、そして当のフランシーヌ夫人なども撮られており、コクトーによるプライヴェート・フィルムの感もある。もちろん『詩人の血』以来コクトーの好む映画的レトリックにも溢れている。なかでも逆回転の手法によって描かれた絵のラインを消したり粉々になった花を復元したりと、いわゆるフェニクソロジ「(不死鳥術)はここでも健在である。
この映画は16ミリで撮られたジャン・コクトーのプライヴェート・フィルムともいえるが、撮影助手のフレデリック・ロシフは1960年から『マドリッドに死す』(62年、ジャン・ヴィゴ賞)といったモンタージュ映画や『動物たち』(63年)などドキュメンタリー映画で知られる映画監督である。この映画はフランスでも当時は公開されなかった。

スタッフ

監督・解脱:ジャン・コクトー
撮影:W・イワノフ
撮影助手:フレデリック・ロシフ
音楽:J・S・バッハ/ヴィヴァルディ
演奏指揮:J・メタン

キャスト

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