原題:SHOUJYO=AN ADOLESCENT

みんな自分のコトしか考えていない・・・

AFI映画祭(AFI FILM FEST2002) インターナショナル・フィーチャー・フィルム部門グランプリ(Grand Jury Prize)受賞 第17回パリ映画祭グランプリ・最優秀主演女優賞受賞 第7回ロシア国際映画祭“Faces of love”最優秀主演女優賞受賞 第42回テサロニキ国際映画祭 最優秀主演女優賞受賞 第5回バミューダ国際映画祭 審査員特別賞受賞 第58回ヴェネチア国際映画祭「国際批評家週間」正式出品作品 モントリオール国際映画祭「ニュー・シネマ・トゥモロー」正式出品作品 第26回湯布院映画祭特別試写作品

2001年/日本/132分/カラー/ 配給:プログレッシブピクチャーズ

2006年11月03日よりDVDリリース 2002年12月13日よりDVDレンタル開始 2001年10月13日よりシネマスコーレにて公開(名古屋) 2001年10月6日よりシチネチッタ川崎にて公開(川崎) 2001年9月29日よりシアターイメージフォーラムにて公開(東京) 2001年9月22日より大阪OS劇場CAPにて公開(大阪)

公開初日 2001/09/29

公開終了日 2001/11/09

配給会社名 0233

公開日メモ ”クセ者”、”無頓着”、”役者バカ”として知られる俳優・奥田瑛二が、 ついにメガフォンを取った。

解説



”クセ者”、”無頓着”、”役者バカ”として知られる俳優・奥田瑛二が、 ついにメガフォンを取った。
原作に選んだのは、連城三紀彦原作の短編小説「少女」。それは約 16年前、少女とおっさんの純愛に共感した奥田が、最も尊敬する監督・ 神代辰巳氏と共に映画化することを切望した思い入れの深い作品である。
しかし1995年に神代監督が他界し、その夢は幻に・・・。今回の英断は、 神代監督へのレクイエムであり、男・奥田瑛二の新たな挑戦でもある。
情緒溢れる町並みが、どこか時代から取り残された感のする愛知県瀬戸市。 人のウワサがあっという間に広がりそうな片田舎で、43歳の警察官・友川と、 15歳の中学生・陽子が恋に落ちた。警官でありながら拳銃をぶっ放して遊び、 寂しい主婦と”ヨロシク”やってしまう破天荒なおっさんだったが、知的障害を 持つ陽子の兄・助政や、一人暮らしの老人・トヨといった社会から疎外された 人々に優しい目を向ける。そんなおっさんの自由だが一本筋の通った 生き方が、胸に小さな傷を抱えた少女の心に安らぎを与え、寂しさという 心の穴を埋めている。
だが、二人の仲が周囲に知れてしまうある事件が起こってしまう。
突きつけられた現実を前に、二人の愛はどう変化していくのだろうか?
撮影現場から夜の部外活動まで、そこで得た幅広い人脈を持つ奥田 らしく、キャスト・スタッフには、ユニークな人々が集まった。ヒロイン・ 陽子を演じるのは、奥田が出演・監督を務めた九州限定のCMに出演 していた新人・小沢まゆ。天才画家・山下清風の容貌が微笑ましい、 陽子の兄・助政役には、総合格闘技”PRIDE”シリーズの人気格闘家・ 小路晃。共に今回が、映画初出演となる。
二人の脇を固める、陽子の祖父・昌三役に室田日出男、陽子の母・ 幸枝役に夏木マリが。作家の島田雅彦が教師役で、美術監督も努めた アーティストの日比野克彦が、友川のチンチロリン仲間として、友情出演 しているのも見逃せない。そしてアウトローな主人公・友川を演じるのは 奥田瑛二。
スタッフは、奥田の戦友・望月六郎監督率いる”望月組”の面々が 中心。脚本は『恋極道』(望月監督)の成島出と『スリ』(黒木和雄監督)の 真辺克彦という、日本映画界気鋭の若手の共同集筆。画家でもある奥田の イメージを、見事映像で切り取ったのは『皆月』(望月監督)の石井浩一。
音楽は、『不夜城』(リー・チーガイ監督)の梅林茂だ。
この愛すべき仲間たちと、約1ヶ月の瀬戸市ロケを終えた時、 奥田瑛二は自身たっぷりにこう言い放った。
「今まで自分の好きな職業は俳優だと思っていたけど、やっと本当に 楽しいものが見つかった。それが監督だった」と。
これは、新たな道を歩み始めた奥田瑛二の序章的作品である。

ストーリー



瓦屋根の古い家屋が建ち並ぶ瀬戸の町を、汗で背中をびっしょり濡らしながら 自転車で疾走する男がいる。窪垣町交番に勤務する警官・友川(奥田瑛二)だ。
大事件などさほど怒らないこの町で、警官の仕事といってもたかがしれている。
知的障害を持つ助政(小路晃)の遊び相手をするか、会報『交番からの便り』を 制作するか。だが、仕事熱心(?)な友川はそれだけでは足りず、暇を持て余して いる熟女の飼い犬を狙っては、自作自演で迷子犬に仕立て上げ、発見したお礼に 飼い主のカラダを頂戴する。およそ、聖職者とは思えぬ職務をこなしていた。
夜勤明けに。喫茶店で居眠りしていると、愛らしい顔立ちの少女が声をかけてきた。

「ねぇ、おじさん。SEXしない?」

年の頃17、18歳。透けるような白い肌と美しい眉を持つ少女を、友川は「眉子」と 名付けた。幼さの中に、小悪魔的な挑発を見せる彼女に、さすがの友川も戸惑い を隠せない。
ホテルの一室で、恋人同士のように絡み合う二人。だが、友川が目を覚ました時、 すでに彼女の姿はなく、テーブルには渡したはずの二万円とメモが残されている だけだった。

「やっぱりタダでいいです。眉子」

名も告げずに別れたはずの友川は、職権を乱用して売春を働いている女子高生 を召集。「眉子」を探すが、見つからない。そんな時だった。友川の顔なじみで、 売春の元締め・リョウが事故で死亡した。友川が警察病院の霊安室に駆け付けると、 リョウに死に化粧を施す「眉子」がいた。

彼女の名前は陽子。まだ15歳の中学生だったため、名前も名乗らず友川の元を 去ったのだという。彼女はつい最近まで母・幸枝(夏木マリ)と共に暮らしていたが、 事情があって祖父と兄の住む瀬戸へ戻ってきた。兄とは、友川の遊び相手で ある助政。そして祖父は、葬儀屋でもあり、警官になったばかりの友川の背中に 「比翼の鳥」を彫り込んだ刺青師・昌三(室田日出男)だった。
”比翼の鳥”とは、各一目、一翼を持った雄と雌の極楽鳥が、常に一体となって 飛ぶという中国に伝わる伝説の鳥。その昔、友川にはこの鳥を一緒に入れる ことを誓った女性がいたが、結局彼女は雌を描く前に友川の元を去った。だから、 友川の雄鳥は一生大空を舞うことが出来ないという。
その話を聞いた陽子は、友川にたずねた。

「もし私が雌を入れたら二人で飛べるようになる?そしたらずっといてくれる?」

「ああ、大人になったらな」

友川の部屋でじゃれ合うように体を重ね合う二人。その様子を、たずねてきた 助政に見られてしまった。幼い頃、母親が男と戯れる姿を見てしまった助政は、 絡み合う男女を見ると激しい発作に見舞われてしまうのだ。まして、かわいい 妹と、大好きな友川が交わる姿を見てしまったショックは大きい。翌朝、助政は煙突に上り、騒ぎを起こしてしまう–。

スタッフ

監督:奥田瑛二
企画/製作:奥田瑛二
原作:連城三紀彦
脚本:成島出、真鍋克彦
プロデューサー:山本勉
美術監督:日比野克彦
音楽:梅林茂
撮影監督:石井浩一
照明:櫻井雅章
録音:橋本文雄、柴山申広
編集:奥原茂
監督補:中村和彦
オリジナル・サウンド・トラック『少女』(ポリスター)
協賛・協力:
株式会社ニッポンムービー大阪
株式会社ニビック
株式会社ポニック
Aprica
株式会社ミドルウェイ・GSH
株式会社ピュア
O.F.S
撮影協力:
日活撮影所、PDN、Kodak、IMAGICAウェスト、IMAGICA

キャスト

友川:奥田瑛二
陽子:小沢まゆ
助政(陽子の兄):小路晃
幸枝(陽子の母):夏木マリ
昌三(陽子の祖父):室田日出男
金山一彦
日比野克彦
なすび
笹野高史
浦里晴美
吉村明宏
金守珍
そのまんま東
島田雅彦
濱本康輔
濱田のり子
安藤和津

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