原題:FUCKING AMAL

ちょっと大人になるための勇気を綴ったジャスト・ワン・プッシュ・ムービー

1998年/スウェーデン映画/89分/アメリカン・ヴェスタ/ドルビーSR

2000年5月27日よりBunkamura ル・シネマにて公開 2000年11月24日よりビデオ・DVD 同時発売/レンタル開始!

公開初日 2000/05/27

配給会社名 0589

解説

 『ショー・ミー・ラヴ』は、スウェーデンの小さな町アマルに住んでいる思春期を迎えた若者たちの大人への憧れ、そして迷いをストレートに表現した誰もが元気になれる青春映画です。

本作品は、本国スウェーデンで、『タイタニック』の記録を超える85万人の観客を動員し、観客動員数でナンバーワンとなった。1998年のベルリン国際映画祭ではパノラマ部門・国際芸術映画連盟賞を受賞している。その他、スウェーデン映画祭、カルロヴィヴァリ国際映画祭、ノルウェー国際映画祭、バレンシア国際ヤング映画祭他で多くの賞に輝いた。

 30歳の新人監督、ルーカス・ムーディソンは、もともと詩人として成功を収めていた。その後、スウェーデンの国立映画学校で学び、何本かの短編を制作している。本作品ではティーン・エイジャーの誰もが感じる痛みや戸惑いといった問題をリアルに描き、周囲の人々に溶け込むことや自分自身でいることの困難さを素直に表現している。多くの青春映画で”大人から見た想像上の若者像”が描かれがちな中、「青春映画とは、思春期の若者のためにその時代を描くもの」とムーディソン自身が語っているように、「ある限定された現実を切り取り、そこに生きる若者たちの個人的な絶望感や不満を、大掛かりなセットは使わずに、ドキュメンタリーを思わせるクローズアップや粒子の粗い映像」をうまく使いながらリアリティーのある作品に仕上げている。

 お酒落でかわいいエリンの学校での会話といえば“パーティ”と“ファッション”と”いまイケてるコト”。デートの相手にも困らない、何不自由ない楽しい生活を送っているように見える。でも、多くのティーン・エイジャー同様、変わり映えのしない平凡な毎日にうんざりしていた。原題の”ファッキング・アマル”にもはっきりと表されているように自分の人生や小さな田舎町アマルすべてに不満を抱いている。一方、しつけの厳しい家庭で育ったアグネスは、周囲に合わせて生きる環境に嫌気がさしている。しかし、学校で未だに友達を作れない自分にも自己嫌悪を感じていた。本作品で表現されている厭世観や疎外感は、微妙に揺れ動いている思春期の少女たち独特の不安定さによって描かれている。まるで、いつもちょうど良い濃さに出来ないココアのようだ。この誰もが一度は経験したことのある切ない痛みには懐かしさを覚える。同時に、小さな自分から抜け出そうと思うがままに行助していくエリンとアグネスを目にした時の爽快感はたまらな<気持ちいい。それは、「李当の私はこんなんじやない!!」という想いが、決して過去のものではなく、今でも新しい環境や人と関る度に感じることがあるから。そんな時に、この『ショー・ミー・ラヴ』は今よりもちょっとだけ素敵な自分になりたい人に、一歩を踏み出すための勇気と元気を与えてくれる映画なのであり、だからこそ、どんな人でも、どんな恋をしていても、見ていて楽しい釦持ちにさせてくれる映画なのだ。

ストーリー

 14歳の少女、エリンはスウェーデンの小さな町アマルに、母と姉のジェシカと住んでいる。勉強は退屈でも、デートの相手には困らない一見楽しい生活を送っていた。しかしエリンは、この変わり映えのしないアマルとなんの知性も感じられない友達に、そして自分の生活にもウンザリしているのだった。
 一方、16歳の誕生日を迎えようとしているアグネスは、しつけの厳しい家庭に育ち、作家になる夢を胸に平穏な生活を送っている。しかし、彼女もまた、周囲に合わせて生きる環境に嫌気がさしていた。学校では嫌われ者扱いされ、自分の誕生日パーティーに招待する友違はなく、社会的に成功した両親からの暗黙のプレッシャーを感じながら、未だに友達を作れない自分に自己嫌悪さえ感じていた。
 ある夜、退屈していたエリンは昼間食堂で耳にしたアグネスの誕生日パーティーを思い出す。他の町から引っ越してきた彼女のパーティーならばイケてる男の子がいるかもしれないと、姉のジェシカと二人でアグネスの家に向かった。しかし、パーティーに招待客は一人もいなかった。暇を持て余した、エリンとジェシカはからかい半分に「アグネスにキスをしたら20クラウン払う」という賭けをする。エリンはアグネスにキスをするが、帰り道、自分の行動に後悔し、アグネスに謝りに戻る。そこでエリンはアグネスと初めて話をすることにより、今までの友達にはない彼女の感性に触れ、自分の中の何かが動き始めているのを感じていた。また、ずっと前から自分にない美しさ、快活さをもっているエリンに魅かれていたアグネスは、このアマルに来て初めて自分の夢を語ることができたのだった。「すべては、この田舎町・クソアマルのせい!!」二人は、自分達の夢を乗せてストックホルムヘヒッチハイクの旅へと出発した。しかし、すぐにヒッチハイクに失敗した二人は、また連絡を取り合う事を約束し、それぞれの家へ帰っていった。その夜、エリンはベットに横たわりながら一人で考えるうちに、嫌われ者のアグネスに魅かれているという事実に気付き、戸惑うのであった。
 その後、エリンは本当の自分を見つけるために戸惑いながらも思った通りに行動してみるが、結局今までの自分と何も変わっていないことに気付く。悩んだ挙句、エリンは勇気を振り絞って自分の気持ちに正直になるため、ある決断をする。この小さな町アマルでエリンは本当の自分を見つけ始めるのだった。

スタッフ

監督・脚本:ルーカス・ムーディソン
プロデューサー:ラーズ・ヨーンゾン
撮影監督:ウルフ・ブラントオース
編集:ミヒヤル・レジュロヴスキー、ぺーナルド・ヴィンクラー
美術監督:リーナ・ストラット、ハイディ・サイコネン
音楽:ニルス・ニルソン

キャスト

エリン:アレクサンドラ・ダールストレム
アグネス:レベッカ・リリエペリ
ジェシカ:エリーカ・カールソン
ヨハン:マティーアス・ルスト

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