ダブル・ジョパディー

罪にならない殺人があることをあなたは知っていますか？

　アメリカ合衆国憲法修正第５条、”誰もが同一の犯罪で二度有罪にはならない”という法律。この誰もが予想できない斬新なテーマを、エンターテインメントな映画としてハリウッドに衝撃を与えたのが、この『ダブル・ジョパディー』である。99年9月に全米で公開されるや、３週連続No.1の座に輝き、僅か６週間で１億ドルを突破する大ヒットを記録した。世界中の法律として認められている”ダブル・ジョパディー(二重処罰の禁止)”という法律を題材にしたこの作品は、全く新しいサスペンス・スリラーのジャンルを開拓し得た作品として、全米を凍りつかせた。それは、ハリソン・フォード主演の『逃亡者』を彷彿させる、今までの追跡ドラマの優れた要素だけではなく、ヒロインの息子を思う母性愛の強さに共感させられた、観客と批評家たちの賞賛があったからと言えるだろう。そしていよいよ2000年新春日本で公開される！
　シアトル郊外に住む平凡な主婦リビー。彼女は実業家でハンサムな夫ニックと、２人の最愛なる、息子マティと一緒に幸せな生活を送っていた。しかしある日突然夫殺しの罪を着せられ、幼い息子を親友のアシジーに預けたリビーは、刑務所での長い生活を余儀なくされる。しかしそのアンジーとマティの行方がわからなくなってしまう。ようやく探し当てたリビーは、その時、衝撃の事実を知る。それは死んだはずの夫が生きていたことを…
　愕然とするリビー。そんな時、女囚の一人の言葉が彼女を奮い立たせた。”『ダブル・ジョパディー』って知ってる？夫殺しで二度有罪にはならないのよ”と。その後の彼女は体を鍛え、一日も早く刑期を終えて出所できる日をひたすら待ち望むしかなかった。そんな彼女が心の中で誓った事とは、無実の罪をきせた夫を捜し出し復讐をするために、そして最愛の息子マティに会うために…
　そして６年後いよいよその時がやって来た。仮釈放で刑務所を出ることになったリビーは、仮釈放中の身柄となっている人達が集まるアパートヘ行くことに。そこに居たのは、保護監察官のトラヴィスだった。そこで彼女は、仮釈放中のルールを聞かされるが、リビーの頭の中には夫とマティを捜し出すことしか考えられなかった。
　果たしてリビーは夫を捜し当て復讐をすることができるのか？そして無事マティに会うことができるのか？

　無実の罪をきせられる主人公リビーを身を粉にする大熱演で新境地を開拓したのは、『ヒート』『コレクター』のアシュレイ・ジャット。夫に対する憎しみを抱く強い女性像と、息子を思う母親像を見事に演じた彼女の演技は、観客を引き付けるのはもちろん、批評家に絶賛されるとともに、彼女の美貌もこの作品で遺憾なく発揮されている。そしてリビーを容赦なく追跡する保護監察官トラヴィスを安定感ある堂々たる演技を見せてくれるのは、『逃亡者』『メン・イン・プラック』のトミー・リー・ジョーンズ。奇しくも『逃亡者』『追跡者』に続いて三度、追い詰める役を演じた彼は、今回も重厚な演技を披露し、この映画に深みを与えている。リッチでハンサムなリビーの夫ニックを演じるのは『エキゾチカ』のブルース・グリーンウッド。リビーの息子マティを預かり、その後姿を消す親友のアンシーを演じたのは、『ワイアット・アープ』『ニクソン』のアナベス・ギッシュ、リビーが刑務所で知り合うマーガレットを『コレクター』『イレイザー』のローマ・マフィアが、同じくイブリンを『グロリア』『ランダム・ハーツ』のデヴェニア・マクワアデンといった俳優たちが脇を固めている。
　そして、監督には、正攻法の演出で波乱に満ちた逃亡と追跡のドラマの中に、たくましい女性の母性愛を描き出し、観客に共感を与えたのは、『ドライビング・ミス・デイジー』で作品賞を含む４つのオスカーに輝いた、ブルース・ベレスフォード。彼は、自身初めてのジャンルとなるサスペンス・スリラーを、新しいタイプの映画として完成させ、観客を圧倒させている。製作は、元20世紀フォックス・フィルムズの社長で、『ダイ・ハード』『ビッグ』『ワーキング・ガール』といった大ヒット作を手掛けたレオナルド・ゴールドハーグと共同製作を『トゥルーマン・ショー』のリチャード・ルーク・ロスチャイルドが担当している。また、全米の女性のかつてない共滅と感動を集めたこの作品のオリジナル脚本を、大ヒット・アクション『ザ・ロック』を手掛けたデビッド・ワイスバーグとダグラス・S・クックが書き下ろし、主人公リビーの逃亡をシアトルからニューオリンズヘと見事にとらえた撮影を『ドライビング・ミス・デイジー』『マイ・ライフ』のビーター・ジェームズが担当した。さらにプロタクション・デザイナーを『レインメーカー』『ユージュアル・サスペクツ』のハワード・カミングス、衣装デザインを『八月の鯨』『L.A.ストーリー』のルビー・ディロン、編集を『ドライビング・ミス・デイジー』『コクーン２』のマーク・ワーナー、音楽を『アサインメント』のノルマンド・コーベイルがそれぞれ担当し、作品に一段と磨きをかけている。