☆東京国際映画祭'99ニッポン・シネマ・ナウ出展作品::http://www.tokyo-filmfest.or.jp/index.html

1999年日本映画/105分/カラー/35mm/配給:大映

2008年02月06日よりDVDリリース 2004年08月27日よりDVDレンタル開始 2000年11月25日から12月1日までテアトル新宿にて特別限定レイトロードショー公開 1999年11月27日より 東京・中野武蔵野ホール、大阪・千日前国際(レイトショー)にて公開

三池監督インタビュー::http://www.nifty.ne.jp/rforum/fcinema/topics/9911/17.htm

公開初日 1999/11/25

公開終了日 1999/12/01

配給会社名 0004

解説

日本映画界の核弾頭・三池崇史監督が無類の爆裂映画を完成させた。
映画デビューを飾った「新宿黒社会」(1995年大映)は今やカルト的な人気を博している。続く「不動」(1996年GAGA)はバンクーパー映画祭などで絶賛された。近年では、全編中国ロケのファンタジー「中国の鳥人」(1998年ホネフィルム・丸紅)、スーパーアイドルSPEED主演の青春映画「アンドロメデイア」(1998年松竹)、大阪の不良達を鮮烈に描いた「岸和田少年愚連隊望郷」(1998年松竹)等が記憶に新しい。まさにジャンルを超えた作風にいつも度肝を抜かされる。
そして、昨年あたりから、「監督・三池崇史」に世界が注目し始めている。
98年のバンクーバー映画祭で三池監督特集が開催され、好評を博し、同年のアメリカの有カ誌「TlME」で、期待される非ハリウツド系監督としてアッパス・キアロスタミ、ジャツク・ドワイヨン、ジョン・ウーと並び10位に選出されている。ちなみに日本人監督では三池崇史のみ。『Shall weダンス?』を全米配給してヒットさせたミラマックス社が次に注目している日本の監督でもある。日本映画はヨーロッパで評価される機会は比較的多かった。しかし、三池監督はアメリカで注目されている数少ない日本人監督の一人なのである。

今回三池監督は、BlG2哀川翔と竹内力という素材を使い、2人をスクリーンの中で思う存分暴れさせた。主演の二人は、二人ともアウトロー役を得意としてはいるが、それぞれ全く違った個性を持ち、ビデオの世界で頂点を極めていることは周知の事実だろう。
監督・三池崇史は二人の個性を明確に分け、際立たせている。
本作の中で衷川翔扮する城島は、正義感溢れる刑事。しかし、正義感に燃えるがゆえに一課からは浮いてしまっているようにみえる。最後には汚職に手を汚し、復讐の鬼と化してしまうのだが、それも彼が真面目であるがゆえの行動なのだ。正義感溢れるアウトロー。決して本当の悪党では無いのだ。
反対に竹内カ扮する龍一は、彼自身の中の欲望に忠実に従い行動する。自分の野望を邪魔するものに対しては、たとえ仲間であっても容赦はしない、本物のダーティヒーローである。

共演陣も豪華な面々が集まった。
寺島進(「HANABl」)、大杉漣(「HANA-Bl」)、ダンカン(脚本作品「生きない」)、鶴見辰吾(「鮫肌男と桃尻女」)、石橋蓮司(「中国の鳥人」)、本田博太郎(「北京原人 who are you?」)、小沢仁志(「SCORE2」)、田ロトモロヲ(「御法度」)等。注目の強カ個性派俳優陣が勢揃い。
そして、彼らをスクリーンに映し、ド迫カの映像を導き出したのは、撮影の山本英夫。
主な三池監督作品でコンビを組み、絶大な信頼関係で結ばれている。「HANA-BI」「中国の鳥人」等で1998年の日本アカデミー賞、毎日映画コンクール等で撮影賞を受賞した彼は、今、日本映画界で最も期待され、最も忙しい撮影技師の一人である。
本作では、手持ち撮影や、構図の工夫などで観る者を圧倒するような画面作りに成功している。特に、衷川翔扮する城島が横浜の中華街に歩くシーンなどは、さながら迷宮に入り込むような不安感を感じさせ、効果を高めている。

凝ったロケーションとアイデア豊富な演出、一見脚本を無視しているかのような現場の進め方は、.そのまま、ダイナミツクでそれでいて情感溢れる映像に反映されているようだ。
本作もまた、今までのどの作品とも異なるホットな映画に仕上がった。

ストーリー

新宿署捜査一係の刑事、城島猛(哀川翔)は、ある日、歌舞伎町の裏路地にある中国料理店で起った、チャイニーズ・マフィアと日本のヤクザの抗争現場に遭遇する。血まみれの店内では既に警察たちが現場検証を行っていた。翌日から城島たちは新宿の中国系マフィア達に聞きこみを関始する。城島は、強面で口も悪いが、部下に檄を飛ばし、日和見の上司にいやみを言うくらいの気概はある、真面目な刑事だった。ただ、中学生の娘・ミナ(倉沢桃子)が心臓を患っており、早急にアメリカで移植手術を受けなければ命が危ぷまれていた。費用は最低でも2干万はかかるという…。つらい現状を忘れようと、前以上に仕事に没頭する城島だったが、そのために妻・タ子(杉田かおる)との間がギクシャクし、家族はパラパラになりつつあった。 中国残留孤児3世として生を受けた・本上龍一(竹内カ)は、アメリカに留学している弟・冬二(柏谷みちすけ)を迎えるために、羽田空港にいた。その夜は、冬二の帰国祝いで仲間達とおおいに盛り上がった。翌日、龍一は、冬二を含めた仲間5人で、銀行の現金輸送車を襲う。何も知らされていなかった冬二は、彼らと兄の行為を軽蔑した。そして何よりも信頼していた兄に裏切られ、自分の学費もアメリカでの生活費も全て汚い金で賄われていたという事実に、戸惑わずにはいられなかった。仲間の一人・佐竹(小沢仁志)は言った。「金を掴むこと、カを掴むこと、それが全てだ」。龍一の野望は、強大なカを持つ台湾マフィアをバックにつけて、ゆくゆくは新宿を我が物に出来るような組織を作り上げることだった。その組織の中核を担うはずの冬二に自分を否定されてしまう…。しかし龍一には落胆している暇は無かった。 一方、マフィア同士の抗争事件にタダならぬ臭いを感じた城島は、情報屋・田中(ダンカン)を使って、徹底的に事件を洗い始めた。そして捜査線上に浮上したのが、本上龍一。

別件逮捕で取調べを行うが、なかなか尻尾を出さない本上に、城島は苛立ちを隠せない。 結局釈放され、自由の身になった龍一は、まず現在新宿を仕切っている桜井組を壊滅しようとする。その前に、もう一度冬二を説得するために彼が通う大学へ会いにゆく。しかし、真面目に勉強をしている冬二を見ると、龍一は何も言うことが出来き居くなってしまう。 そのころ城島は痛気の娘の手術費二干万を作る為に、やむなく桜井組の若頭・青木(石橋蓮司)を脅し、金を借りることに…。
それぞれの思惑や目的とは関係なく、お互いを呼び寄せてしまう城島と本上。 2つの凶器がぷつかり合う……。

スタッフ

製作:黒澤満、土川勉
企画:武内健、藤井瑛市、㈱RIKIプロジェクト
プロデューサー:小野克己、岡田真、木村俊樹
ラインプロデューサー:南雅史
脚本:龍一朗
監督:三池崇史
撮影:山本英夫
照明:高屋斉
録音:沼田和夫
美術:石毛朗
編集:島村泰司
音楽:遠藤浩二
制作協カ:エクセレントフィルム
製作:大映株式会社、東映ビデオ株式会社

キャスト

城島猛:哀川翔
本上龍一:竹内カ
本上冬二:柏谷みちすけ
佐竹誠二:小沢仁志
星山仁:山口祥行
松島等:やべきょうすけ
マリコ:甲賀瑞穂
城島タ子:杉田かおる
城島ミナ:倉沢桃子
井上明:寺島進
田中修:ダンカン
桜井:塩田時敏
青木誠:石橋蓮司
警察署長:平泉成
奥山:本田博太郎
陳:霞見辰吾
龍一の幼なじみ:田口トモロヲ
ヤン:大杉漣

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