原題:CHOODALANI UNDI !

謎に包まれていたテルグ語マサラムービーの日本初上映

☆東京国際ファンタスティック映画祭'99出展作品::http://www.nifty.ne.jp/fanta/tokyo/index.htm

1998年インド映画/148分/カラー/シネマスコープ/ドルビーステレオ/配給:シナールシネマ

公開未定

解説

『バブーをさがせ!』は、典型的なテルグ映画です。主演のチランジービはテルグ映画界のナンパーワン男優で、タミル映画のラジーニ、ヒンディー映画のアミターブ・パッチャンとともに「メガスター」と呼ぱれ、1978年のデビュー以来およそ130本に主演してきました。役柄は殆どがブルーカラーで、例えぱリキシャ引き、自動車整備工、青果市場のリーダー、鍾乳洞のガイドなどです。他のインド映画に有りがちな、貴種流離(「ムトゥ」)やお金持ち(「DDLJ」)といった設定は殆どありません。金はないけど結構生真面目で腕っ節だけは滅法強い男という、テルグ人の理想を具現しています。
ヒロインはサウンダリヤ。もともとはテルグ映画がホームグラウンドながら、最近『アルナチャラム 踊るスーパースター』でラジー二と共演。現在アミターブ・バッチャンとの映画が公開をひかえています。「メガスター」3人と共演したのは彼女だけかもしれません。今インド映画界の女王に登り詰めようとしています。ただし、テルグ映画では、はすっぱな、威勢の良い役が多く、テルグ女性の強さを見事に演じています。
もう一人のヒロイン、アンジヤーラ・ジヤーペリは『愛と憎しみのデカン高原』でデビュー以来、出演する映画が全てヒットしているため、「ラッキーガール」といわれています。出身は北インド。コメディアンのブラフマナンダムは人が良くて小心者の家賃取立屋として登場してます。彼の出演本数はギネス級で、とにかくどの映画にも出でいます。テルグ映画の顔と言ってよいでしょう。
製作のアスワニ・ダットは大プロデューサー。チランジービ、シュリデヴィ、アムリーシュ・プリ出演の『ジャガデーカ・ヴィールドゥ・アティロカ・スンダリ』はテルグ人誰もが知る代表作。公開は98年9月4日、記録破りの大ヒットでした。

テルグ語映画について

テルグ語は主に南インドのアーンドラ・プラデーシュ州で話される言葉で、インド国内ではヒンディー語に次いで話者の多い言語である(国外を含めればベンガル語のほうが多い)。アーンドラ・プラデーシュ州はタミルナドゥ州の北、カルナータカ州、マハーラーシュトラ州の東に位置し、ベンガル湾に臨むインドの東海岸のおよそ半分はアーンドラ・プラデーシュ州に属している。州都はハイダラーバードで、もちろんテルグ語映画の中心でもある。
北インドのマサラムービーがほぼヒンディー語で作られるのに対し、南インド(ドラヴィダ語を話すインド南部4州すなわちアーンドラ・プラデーシュ州、カルナータカ州、タミルナドゥ州、ケーララ州)のマサラムービーはそれぞれ独自の言語(テルグ語、タミル語、カンナダ語、マラヤーラム語)で作られている。本数的に言えば、テルグ語、タミル語、ヒンディー語という順位は毎年かわらず、この3言語でインド全体のおよそ3分の2をしめている。
テルグ語映画は、インドにトーキーが登場した1931年すでに製作されており、ヒンディー語映画と同じく古い歴史をもっている。49年にはクリシュナ神を当たり役とし、のちに州首相となるNTラーマラオがデビューしている。
ヒンディー語映画の中心地ムンバイが第三世界のハリウッドといわれたり、タミル語映画が東南アジアに広くマーケットをもっているのに対し、テルグ語映画はこれまで殆ど国外に出ることはなく、わずかにアメリカで3本公開されたにすぎない(98年1月まで)。日本では85年と97年に非劇場上映として、ビシュワナート監督作品『シャンカラーバラナム』(文芸音楽映画)が公開されたのみである。量のみならず質的にも決してヒンディー語映画、タミル語映画、ベンガル語映画などにひけはとらないはずなのに、あまりに片寄があるといわねばならない。
テルグ語映画の特徴を一言で言えば、リアルな設定ということだろう。他のインド映画にありがちな、貴種流離(『ムトゥ踊るマハラジャ』)お金持ち(『シャールクカーンのDDLJラブゲット大作戦』)といった設定はあまりなく。もっぱら等身大の、となりに住んでいそうな人が主人公になっている。各々の民族がもつ潜在願望が表われているようで興味深い。また、女性が強いということも特徴かもしれない。トップ女優のヴィジャヤシャンティはインド映画界において唯一、アクションをこなす女優である。
最近、テルグ映画界は、ハイダラーバードの郊外に世界最大級のスタジオ、ラモジフィルムシティーが完成し、国内外の注目を浴びるようになってきている。作品的にもレベルが上がってきており、ハイダラーバードの映画館街ナラヤナグダは今インドで最も面白い映画を見れる通りになっている。

ストーリー

ラーマクリシュナはひとり親戚も縁者もいないカルカッタにやってきた。街で偶然知り合った人の紹介でテルグ人(おもにアーンドラ・プラデーシュ州にすむテルグ語を話す人違)が多く住むアパートを借り、そこでパドマパティ(サウンダリヤ)と出会う。そのアパートの大家は土地の暴力団で、ひどい取立に住民は怯えていたが、ラーマクリシュナは彼等を翻弄し追っ払ってしまう。加勢を得て暴カ団は仕返しにやってきたが、ラーマクリシュナはそこに旧知の男スルヤを認め、つかまえようと追いかける。スルヤは思わぬところでラーマクリシュナに会い、驚いて逃げた。祭の日、群衆に紛れて狙うスルヤにラーマクリシュナは刺され、死地をさまよう。薄れゆく意識に、ハイタラーバードでの記憶が蘇る…。腕の良い自動車整備工のラーマクリシナは、母を迎えに駅にゆくが、そこでプリヤ(アンジャーラ・ジャーベリ)に出会い一目で恋に落ちる。ブリヤは外国に行かされ、望まぬ結婚をさせられそうだとラーマクリシュナに訴え、連れて逃げてくれと頼む。二人は追手を振り切り、森で生活し始める。愛に落ちた生活をおくるうち、子供パブーも生まれ、3年が経とうとした頃、プリヤの父マヘンドラがヘリで訪れ、プリヤを強引に連れて帰る。マヘンドラは表向きは大きな仕事を手懸けるグループの総帥だが、その実裏の世界を牛耳るマフィアだった。ラーマクリシュナはバブーを連れて、プリヤを取り返そうとマヘンドラのもとへ乗り込むが、騒ぎの中プリヤは凶弾に倒れ、帰らぬ人となった。マヘンドラは嘆き、自分の血を引くバプーを跡継ぎにしようと、留置所に入っているラーマクリシュナからバブーを奪った。ラーマクリシュナはバブーを取り戻すためカルカッタに向かう。
瀕死の状態から回復したラーマクリシュナは再ぴバブーを探しに、カルカツタの街に出る。マヘンドラの手下スルヤを追い詰め、バブーの行方を問い詰めると、パブーはアメリカに連れて行かれようとしているところだった。マヘンドラをつかまえパプーの居所を問い詰めるが、隙をついて逃げられてしまう。カルカッタ最大の祭カーリープージャの日、混雑する空港への道でラーマクリシュナはパドマパティらとマヘンドラの車を待ち伏せる。やっとパブーを見つけたものの、またしてもマヘンドラが連れ去ろうとする。追いかけるラーマクリシュナ。派手なカーチェイスが繰り広げられる…。

スタッフ

製作:アスワニダット
監督・脚本:グナシェカール
音楽:チョタK.ナイド、マニシャルマ

キャスト

チランジーヴィ
サウンダリヤー
アンジャラ・ジャベーリ

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