原題:buta no mukui

すべては、豚の出現から始まった。 豚小屋生まれの男とめげない女たち、三泊四日の厄払い珍道中。

1999年/カラー/118分/ビスタサイズ/製作:サンセントシネマワークス/製作協力:タキコーポレーション 配給:ビターズ・エンド、サンセントシネマワークス

1999年7月10日よりテアトル新宿にてロードショー

初日舞台挨拶の模様::http://www.nifty.ne.jp/rforum/fcinema/topics/9907/10.htm

公開初日 1999/07/10

配給会社名 0071/0095

解説

神の島<真樹島>の豚小屋で生まれた正吉は、19才の大学生。心に癒せない傷を持つスナックのネーネー(お姉さん)たち、ミヨ、暢子、和歌子。店にいた彼らの元に、ある日突然、豚が飛び込んできた。豚に襲われた和歌子は、マブイ(魂)を落として(気を失った状態になって)しまう。正吉は、和歌子のマブイ込めのために、真謝島のウタキ(神が降りてくる神聖な場所)へ行き、ウガン(祈りを捧げること)をしようとネーネーたちに持ちかける。そして、四人の神の島への旅が始まった。この物語は、すべてが豚によって導いられ、ユーモアとエネルギーに満ち溢れれ幻想謂です。
「死んだ人が神様になる」といわれていろ沖縄では、神は人々の暮らしと密接な関係て結びついています。それは、宗教的な観念というよりも、深く生活のなかに根付いたものです。。まれ、豚はお祝い事、普段の食事で必ずといっていいほどよく登場する、食卓に欠いせない存在であると同時に、神聖なものとして崇められてもいます。この物語の舞台<真謝島>は、聖なろものと俗なるものとが混じり合い、神と豚と人間とが同居する島として描かれています。実際には存在しない架空の島ですが、沖縄で最初に神様が降りてきた島として名高い<久高島>がモデルとなっています。この島は、古代信仰が各島々に色濃く残っている沖縄の中でも、特に厳粛で神秘的を島として知られています。本作に登場する島のシーンは、すべて実際に<久高島>でロケーション撮影されています。
原作は、沖縄という固有の風土て生きる人々の力強さ、陽気さ、ひたむきさを描き、98年に芥川賞を受賞した又吉栄喜の同名小説。この原作の世界に、崔洋一が得意とするユーモアや猥雑さをも兼ね備えた演出で挑んでいます。過去に『共よ、静かに瞑れ』『Aサインデイズ』など、沖縄を舞台にした作品を発表してきた崔監督の、沖縄への熱い思いの集大成といえます。
主人公の正吉には、映画初主演の小澤征悦(父親は世界的指揮者の小澤征爾)。新人とは思えない圧倒的な存在感で、大人になろうとする青年の心の機敏を見事に演じきっています。彼を翻弄するネーネーたちには、沖縄出身の早坂好恵、あめくみちこ、沖縄で活躍する上田真弓がそれぞれ扮し、沖縄のバイタリテイ溢れる女性をのびやかに表現しています。また岸部一徳が島の医者役をひょうひょうと演じる他、吉田妙子、平良進、仲嶺真永、島正廣ら、沖縄芝居のベテラン、若手が脇を固めています。

ストーリー

神の島<真樹島>の豚小屋で生まれた正吉は、19才の大学生。心に癒せない傷を持つスナックのネーネー(お姉さん)たち、ミヨ、暢子、和歌子。店にいた彼らの元に、ある日突然、豚が飛び込んできた。豚に襲われた和歌子は、マブイ(魂)を落として(気を失った状態になって)しまう。正吉は、和歌子のマブイ込めのために、真謝島のウタキ(神が降りてくる神聖な場所)へ行き、ウガン(祈りを捧げること)をしようとネーネーたちに持ちかける。そして、四人の神の島への旅が始まった。正吉は、12年前に海で死に、島の風習で風葬されている父の骨と拾おうと考えていた。島に着いた正吉は、風葬地を探して回り、遠い記憶の彼方にある父の存在ら確めようとする。そうとは知らないネーネーたちは、酔って騒ぎ、まるで豚のように豪快に食べ、挙げ句の果ては豚の肝に当たって寝込んでしまう。しかし、そんなネーネーたちにも、過去の過ちをウガンで削ぎ落とし、救われたいという想いがあった。正吉は、お騒せなネーネーたちに振り回されつつも、元気に逞しく生きている彼女たちの心のうちを知ることで、生きることの尊さを学していく。また、ネーネーたちも、正吉に過去を語ることで心が軽くなっていく。この旅が、皆を次第に、家族にも似た不思議を連帯感で結んでいくのだった。

スタッフ

プロデューサー: 仙頭武則
協力プロデューサー: 甲斐真樹
原作: 又吉栄喜「豚の報い」(文藝春秋 刊)
監督: 崔洋一
脚本: 鄭義信、崔洋一
撮影: 佐々木原保志
照明: 金沢正夫
録音: 細井正次
美術: 磯見俊裕

キャスト

小澤征悦、早坂好恵、あめくみちこ、上田真弓、岸部一徳  ほか

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