★1997年 第50回カンヌ国際映画祭公式出品

1997年/アメリカ映画/100分/マーク・デーモン・プロダクション作品

98年9月4日ビデオレンタル開始 98年4月28日俳優座トーキーナイトほかにてロードショウ公開

公開初日 1998/04/28

配給会社名 0007

解説

「THE BLACK OUT」は、真実を探し求める狂気を描いたサイコ・スリラーである。狂気の人生を送る人間がその極限に挑戦する時に受けるダメージを描いたストーリーである。フェラーラの映画には高級芸術と真の勇気とが混在しており、現題生活における心の傷を堂々と正面から描いている。

 フェラーラは10代の頃ニューヨークで8mm映画を作り始めた。最初の作品は下らないスプラッター映画「The Driller Killer」で、彼自身がタイトル・ロールを演じてい。クリストファー・ウォーケンが縄張りを取り戻そうとする刑務所帰りの極道のボスを演じた「キング・オブ・ニューヨーク」で、アメリカ屈指の挑戦的な芸術家として認められるようになった。92年にはハーヴィ・カイテルが暴力、麻薬、腐敗が渦巻くニューヨークの警官を演じた「バッド・リュテナント 刑事とドラッグとキリスト」で高く評価された。
 フェラーラは本作の脚本も担当したが、このプロジェクトは他の作品とは異なる経験だったと言う。「脚本はとても集中力のいる作業だから、書いているときに実生活で起きたこともすべてスクリプトの一部になってしまう。誰かと話をするときなんか、自分の作ったキャラクターと話してる様な気がして・・なにもかも混同してしまうんだ。」

 共同製作のピエール・カルフォンと製作総指揮のマーク・デイモンとは古くからの仲間である。ふたりが初めて全世界的に発表した映画は「The Choir Boys」で、カルフォンがフランスでリリースしたものである。ふたりはそれ以後「コットン・クラブ」から「フューネラル」まで少なくとも20本以上コンビを組んできた。実は本作の企画をデイモンの目に留めさせたのはカルフォンでカルフォンはそのまま共同製作としてミシェル・シャンバと共に加わった。この3人は制作そのものだけでなく、国際的・国内的PRをも全面からコーディネートした。共同製作のカルフォンがフェラーラに会ったのは、カルフォンがドーヴィル映画祭にエントリーされた「China Girl」を購入したときで、フェラーラの作品では「The Blackout」のほかに「Dangerous Game」と「フューネル」の2本を購入した。

 ファッションショーのシーンの撮影中、”エンターテインメント・トゥナイト”がロケに来ていた。この国際色豊かな撮影では、フランスの通信社や世界中の配給会社がセットを訪れていた。セットをコーディネートしたのはカルフォンとデイモンで、彼らは協力して、二人のスタークラウディア・シファーとベアトリス・ダルのいる熱気あるセットを管理した。フェラーラ監督にとって、マイアミの焼けるような暑さの中で撮影することは非常に大切なことだった。この街の「何が起きるか分からない、エキゾチックな雰囲気」は映画の根底にあるテーマを反映するだろうと強く感じたのである。マイアミのロケ地に選んだことについてこう言っている。「撮影するには素晴らしい所だよ。日没、光と陰・・僕らは登場人物のことを理解しようとするの同じように、光と建築の事を理解しようとしているよ」

 ジョナサン・デミ監督の「Married To The Mob」、ロバート・オルトマン監督の「ショート・カッツ」に続いて、モディン複雑なキャラクターを演ずることになった。「マティはこの役を喜んで引き受けてくれたよ」フェラーラは言う。モディンの役は、狂気の人生を送りコントロールを失い、激しく堕落していくキャラクターだと言えよう。つまり、ドラッグとアルコールの助けが無ければ生きることも愛する事もできない、非常に情熱的な男の役だ。フェラーリは、この映画が本来持っている妄想的テーマが、モディンの素晴らしい演技によって十分引き出されたと言っている。モディンは監督を「今まで一緒にやった中でも指折りの情熱的なフィルムメイカーだ。自分を心から分かってくれた人」と賞賛している。モディンと共演するデニス・ホッパーの役どころは、エキセントリックなビデオメイカーでナイトクラブのオーナーであるミッキーである。ホッパーはフェラーラーが「バッド・リュテナント 刑事とドラッグとキリスト」の監督をした頃からのファンであった。ミッキーの役作りに当たって、こう言っている。「エイベルの特徴を少し盗ませてもらったよ。エイベルのすごいところは、まったくの混沌とした空間を作りながら、その混沌の中に自分が実際に作りたいと思うものを何でも作れる余地がある事だ。ある程度の自由があるんだよ。こんなふうに自発的に何かを作れる空間こそ、俳優が本当に身を置きたいところなんだ。」

 ホッパーが「The Black out」の製作に参加した理由には、60年代から続くマーク・デイモンとの長いつきあいがあった。当時は二人とも俳優だった。ホッパーの映画デビューは「Rebel Without aCause」と「ジャイアンツ」の2本のクラシック映画。その後、西部劇に数本出演したが、スターの座を獲得したのは自ら監督も手掛けた「イージー・ライダー」であった。記憶に残る映画には「地獄の黙示録」、「ブルー・ベルベット」、「Hoosiers」がある。40年のキャリアで80本以上の映画に出演している。

 スーパーモデルのクラウディア・シファーが出演している。ファラーラが彼女を選んだ理由は、彼女ならスーザン役に必要だと思われる優しさと純粋さを表現できると考えたからである。シファーは数ある出演依頼の中から本作を女優として始めての作品に選んだ。「スクリプトがとても気にいったし、エイベル・フェラーラと仕事をしてみたいと思っていたの。それに、スーザンのこと、かなり理解出来るの」
 内に秘めたセクシーな魅力が人気のフランスの女優ベアトリス・ダルが国際的な名声を得たのは、「ベティ・ブルー」で魅力的な人の心をかき乱すタイトル・ロールを演じてからだった。この映画は長年ヨーロッパで支持されている。フェラーラは、ダルがアニーの役に必要なエロティシズムと官能性を表現してくれるだろうと、彼女を選んだ。

 「THE BLACK OUT」は1997年のカンヌ映画祭の公式出品作品である。カンヌでの上映が世界初公開となる。

ストーリー

映画スターのマティは、カメラとファンに取り巻かれる日々を酒とドラッグに逃避している。心の支えは恋人のアニーだったが、彼女の秘密を知った時、彼はその関係を終わらせる。さらにドラッグにはまる彼はナイトクラブで意識を失い闇の世界に沈んでいく・・。18ヶ月後、酒もドラッグ断ったマティは美しい女性スーザンと幸せな日々を送っていた。しかし、そんな時、不思議なイメージが彼を襲う。浮かび上がる記憶の中でマティはアニーを殺している。再びドラッグに手を出すマティ。ブラックアウトに浮かび上がったイメージは真実なのだろうか?

 「キング・オブ・ニューヨーク」「バッド・ルーテナント」「フューネラル」とユニークな映像世界を作り出し、センセーショナルな話題を投げかけるエイベル・フェラーラが豪華キャストで贈る話題作。人間の深奥をえぐるサイコ・サスペンス・スリラー。(1998年公開予定)

スタッフ

監督:エイベル・フェラーラ
製作:エドワード・プレスマン
共同製作:ピエール・カルフォン、ミシェル・シャンバ
製作総指揮:マーク・デイモン

キャスト

マティ:マシュー・モディン
ミッキー:デニス・ホッパー
アニー1:ベアトリス・ダル
スーザン:クラウディア・シファー
アニー2:セイラ・ラセズ

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