原題:Joint Security Area 共同警備区域JSA

1999年10月28日午前2時16分。11発の銃声。2つの死体。 共同警備区域(JSA)で何が起こったのか?

2001年ベルリン国際映画祭コンペ部門出品

2000年11月9日韓国公開

2000年/韓国/110分/ドルビーデジタル/シネマスコープ/字幕翻訳:根本理恵 提供:シネカノン/アミューズピクチャーズ/TOSHIBA/日本テレビ/衛星劇場/中央映画貿易/ 配給:シネカノン/アミューズピクチャーズ

2001年11月22日DVD発売/2001年11月22日ビデオ発売&レンタル開始 2001年6月30日より日比谷映画ほか全国東宝洋画系にてロードショー公開 2001年5月26日より日比谷スカラ座系にて公開

公開初日 2001/05/26

公開終了日 2001/06/29

配給会社名 0008/0034

公開日メモ 韓国で全国600万人を動員。 『シュリ』を越えた、韓国英が史上空前の記録的メガヒット。 一触即発・ヒューマン・ポリティリカル・サスペンス、上陸!

解説



韓国映画の持つ可能性を押し広げることに成功し、日本での大ヒットも記憶に新しい『シュリ』。その余韻も醒めやらぬまま、2000年夏、韓国映画界はあるスーパープロジェクトの噂で持ちきりとなっていた。「総製作費は『シュリ』を上回る45億円以上。半年かけて撮影所に板門店のオープンセットを作っていて、その費用だけで1億円。しかも内容は、板門店で起きた事件を真正面から取り扱ったものらしい…」ついにそのヴェールを脱いだ公開初日(2000.9/9)…各メディアはその圧倒的な完成度の高さと深みに満ちた内容に惜しみない賞賛を送り、劇場は老若男女、全ての層で埋め尽くされた。そして公開から約4ヶ月後、『シュリ』の持つ観客動員記録を塗り替え、歴代興行収入No.1という輝かしい金字塔を打ち立てる。全てにおいて規格外の傑作、その名は『JSA』…『シュリ』以降、日本でもにわかに巻き起こった韓国映画ブームにとどめを刺す究極の大本命作品が、ついにその全貌を明らかにする!

南北分断の象徴である38度線上の共同警備区域(JSA)で起こった射殺事件。生き残った南北の兵士たちは何故か互いに全く異なる陳述を繰り返した。両国家の合意のもと、中立国監督委員会は責任捜査官として韓国系スイス人である女性将校ソフィーを派遣。彼女は事件の当事者たちと面会を重ねながら徐々に事件の真相に迫っていく。そこには全く予想外の「真実」が隠されていた…
『JSA』…これは『シュリ』ではない。ともに”南北分断”という深いテーマを根底に置きながら、アクション×ラブストーリーであった『シュリ』に対して、『JSA』は極めて完成度の高いサスペンスxヒューマンドラマを入口として、観客をより深い感動の渦へじっくりと巻き込んでいく。「真実」を隠さなければならなかった男たちの、追い込まれた状況と切ない心情…南北分断という世界で唯一のヘヴィーな素材に真っ向から挑み、国境を越えた人間同士の「心の交歓」をエンタテインメントとして完壁に描き切った映画『JSA』、これぞ「アジア新世紀」を占う一大傑作である!!

ストーリー



南北朝鮮分断の象徴的空間、板門店/共同警備区域(JSA)。ある晩、北朝鮮側歩哨所から激しい銃声が響き渡った。南北両兵士が関わった殺人事件の解明は、些細な事でも緊迫の度を深める両国家の合意のもと、スイスとスウェーデンからなる中立国監督委員会に委ねられた。捜査にあたったのは韓国籍の父を持つ、スイス軍女性将校ソフィーであった。
南の主張は、北側が軍事境界線を越え、南の兵を拉致・監禁、自力で逃げ帰ったが、脱出時にやむなく北朝鮮軍を2名射殺したというもので、北朝鮮の挑発行為と決めつけた。その逃げ帰ったスヒョク兵長の陳述書も、夜間外で用をたしていた時いきなり連れ去られたというものだった。その後、歩哨所の異常に気付いた韓国軍は、逃げ帰るスヒョクを援護し双方で銃撃戦となった、というのが両側による事件の経緯であった。
北の主張は、右肩を撃たれたギョンピル士官の陳述書が明らかにするとおり、南の兵1人が国境を越え歩哨所に侵入し、上尉と兵士を殺害した奇襲テロ攻撃であると韓国を非難するものであった。
ソフィーは北朝鮮兵の遺体を検死した。結果、ウジン兵士は8発の弾痕から衝動的に撃たれたものだが、上尉のものは2発の銃弾で冷静に殺害されたと判断された。同じ殺害現場に居合わせながら、この差は一体何を物語る?
彼女は、国の思惑が絡んだ相反する双方の陳述書とは別に、事件の当事者である北の士官ギョンピルと南の兵長スヒョクの取調べを始めたが、2人は陳述書以上の内容を語らない。事件当日スヒョクと一緒に南側の歩哨所に勤務していたソンシク一等兵や、スヒョクを知る者たちに聞いても、決定的な証言は掴めない。
彼女は現場に残された物的証拠によって解決の糸口を探ろうとする。ギョンピルの撃たれた傷跡を含めて、北の兵に対して撃たれた弾丸の痕はl1発。スヒョクが撃ったとされる銃には、15発の弾が装填されていたから、銃に残された弾は4発のはずだが、実際は5発。誰か別の人聞が北の兵士に向けて発砲したのだろうか?それに10発の弾丸は現場で発見されたが、もう1発の弾丸は、一体どこに消えてしまったのだろうか?

ソフィーが推理を重ねるなか、スヒョクは国家を揺るがす大事件の発端となった”偶然の出会い”に思いを巡らせた。
ある日、スヒョクが所属する韓国軍部隊が誤って38度線を越えてしまった。慌てて引き返す部隊と音信が途絶え一人取り残されてしまった彼は、葦の生い茂る非武装地帯で地雷を踏み、身動きできずにいた。そんな折、子犬を追って茂みにやってきた北の兵士ウジンとギョンピル士官は偶然、立ち往生している彼に出会うことになる。
どんな状況下でも言葉をかけることすら禁じられている北と南の兵士。だが、スヒョクは立ち去ろうとする2人に思わず泣いて助けを求める。そんな哀れなスヒョクを見て、ギョンピルは危険も顧みず助けの手を差し伸べる。誰にも語ることの出来ない北と南の偶然の出会いは、お互いの胸の内に秘めて終わるはずだった。
雪の降るなかで南北の小隊同士は、またしても偶然出会う。その中には、あの時の北の2人と南の1人。無言で顔を見合す男たち。そして、3度目の出会いは板門店の警備の任務についた時。38度線を挟んで向き合う緊迫した警備に就きながら、思わず苦笑いが漏れてしまう…。
運命の隅然は、神のいたずらか、板門店から離れた38度線沿いの「帰らざる橋」のたもとの歩哨所へと続いた。誰にも言えない秘密であるからこそ、彼らの心の中には既に奇妙な信頼関係が生まれ始めていた。南北を分ける川を越えて、石を吊した手紙が何通もやり取りされた。そして、ある日ふと手紙の誘いに乗り、スヒョクは38度線を越え北の歩哨所を訪れる。突然の来訪に驚きながらも、彼を暖かく迎えるギョンピルとウジン。さらに自らの除隊を3ヶ月後に控えたスヒョクは、寂しがる弟分のソンシクにも言う「俺の親友、紹介しようか?」
それは本来あってはならない敵同士の交流だった。だが彼らの間に芽生えた友情には、国境など関係なかった。北朝鮮の歩哨所で、韓国の歌手キム・グァンソクの曲を一緒に聴きながら宴会をし、時に子供のようにじゃれ合う4人の男たち。しかし、その友情関係は、皮肉にもスヒョクが除隊する時には失われ、その後彼らが再び出会うことはおそらく永遠にない。ウジンの誕生日、プレゼントを持参したスヒョクは皆で記念写真を撮ろうと言う。これが最後の出会いになることを知っていた仲間たちは、いつまでも別れがたくその場を離れることが出来ない。外では激しい雨が降る深夜3時、その時突然、歩哨所の扉が開かれたのだった…。

ソフィーは、事件当日スヒョクと南側の歩哨所にいたというソンシクを取り調べ始めた。彼女の目には、純朴でスヒョクを兄のように慕う彼が事件の真相を隠しているのは、落ち着かない態度からも明らかにみえた。だが拳銃を証拠に追い詰められたソンシクは突然、取調室の窓を破り身を投げてしまう。
事件の決着をみようと、ソフィーは事件の生存者スヒョクとギョンピルを板門店で引き会わせ、南北軍幹部が見守るなか最終尋問を試みる。事件の経緯がソフィーから説明され、ソンシクが投身自殺を図った際のビデオも提出された。「秘密」を守るために自らの身を投じた彼の姿を見て動転したスヒョクは、遂に事件の真相について口を開きはじめようとする。だがその時ギョンピルは突然叫び出し、スヒョクに飛びかかる。場の緊張が一気に高まるなか、尋問は中止にならざるを得なかった。
最終的な解決を見ないまま、事件は曖昧になることを望む両国の思惑の中で、もみ消されようとしていた。「君はまだ板門店を知らない。事実を隠してこそ、平和が保たれる」…中立国監督委員会はソフィーに解任通告と同時に、彼女の父親もまた南北分断の歴史に翻弄された一人であったことを告げる。ソフィーは過去に父が背負った民族の歴史と、現在の自分の選択すべき道を自らに問いかける。中立国の人道主義とは一体なんだろう?そして中立でないのなら、人はどちらかの立場をどうしても選択しなくてはならないのだろうか?
彼女が証拠を積み上げた末にたどり着いた結論…親しかった4人の男たち・・・。この報告書を提出すれば、スヒョクもギョンピルも重罪扱いだろう。あの夜、北朝鮮側の歩哨所で本当は何があったのか?ソフィーは解任となる前日の晩、スヒョクがもし全ての真実を語ってくれれば、後任者には何も証拠を残さず、ギョンピルの身の安全を保障すると約束する。そしてスヒョクは、遂にあの夜の真相を語り始めた。だが、その先にはさらなる悲劇が待ちうけていたのだった。

スタッフ

監督:パク・チャヌク
制作:イ・ウン/シム・ジェミョン
原作:パク・サンヨン
脚本:キム・ヒョンソク/チョン・ソンサン/イ・ムヨン/パク・チャヌク
撮影:キム・ソンボク
製作:ミョン・フィルム/CJエンタテインメント/KTBネットワーク/

キャスト

オ・ギョンピル士官:ソン・ガンホ
イ・スヒョク兵長:イ・ビョンホン
ソフィー・チャン:イ・ヨンエ
ナム・ソンシク一等兵:キム・テウ
チョン・ウジン兵士:シン・ハギュン

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