原題:Mortal Transfer

ベネックス・ブルーに彩られた匂い立つ官能とサスペンス。 8年の沈黙を破りジャン=ジャック・ベネックス入魂の新作が、 遂にそのベールを脱ぐ!

第9回フランス映画祭横浜2001出品作品::http://www.nifty.ne.jp/fanta/france2001/

2001年1月10日フランス公開

2000年/フランス,ドイツ/122分/DTS / Dolby Digital / Dolby SR/ 配給:アミューズ・ピクチャーズ

2002年06月28日よりビデオ発売&レンタル開始 2001年12月22日よりお正月、シネスイツチ銀座にてロードショー決定!

公開初日 2001/12/22

配給会社名 0008

公開日メモ ベネックス・ブルーに彩られた匂い立つ官能とサスペンス。8年の沈黙を破りジャン=ジャック・ベネックス入魂の新作が、遂にそのベールを脱ぐ!

解説


待ちこがれたジャン=ジャック・ベネックス監督最新作

『ディーバ』『ベティ・ブルー 愛と激情の日々』で世界を席巻し、フランス映画界きっての映像作家に上りつめたジャン=ジャック・ベネックス。日本でも歌姫、小柳ゆきを「ディーバ」系と呼ぶなどその影響力は計り知れない。独自の映像美学を持ち、現代のカリスマとなった彼が8年間の沈黙の後、遂に待望の新作『青い夢の女』を完成させた。これはジャン=ピエール・ガノニョーの原作を基にした、不穏な空気の中での官能とサスペンスの物語である。幼い頃に見た両親のセックスがトラウマとなってしまった精神分析医ミッシェルが、扇情的な人妻オルガに惹かれたことから起こるミステリアスな出来事の数々をベースに、人間の奥底に潜む情火と滑稽さをアイロニー豊かに描き出した。そして物語と相まって全編を覆う「ベネックス・ブルー」と呼ばれる透明な青の世界、横たわる美しい死体、青いハイヒール、黄色いポルシェ、鮮やかな絵画、降り注ぐ白い雪などのおびただしくも鮮明な色使いのショットが、洪水のようにスクリーンー杯に展開される。本作は空白の8年間が、深い熟成としなやかな息づかいを与えたことを明示した、ベネックスの新しい始まりでもあるのだ。原題に使われた「トランスファー」は、文字通り「(死体の)移動」とともに、精神分析治療の過程で、患者が幼児期に両親に向けていた感情などを分析者に向けること、感情移転というダブルミーニングがある。

目の前に横たわる美しい死体。ミッシェルがとった行動とは?

精神分析医ミッシェル・デュランは、患者であるオルガ・キュブレールに惹かれていた。オルガは、窃盗癖とマゾヒスティックな性癖を持つ魅惑的な人妻だ。ある日、彼の診察室にやってきたオルガは、いつものようにソファーに横たわって、夫の暴力を受ける快感を語り始める。話に身を委ねながらミッシェルは次第に深い眠りへと落ちてしまう。そして目が覚めた彼の前に横たわっていたのは、オルガの死体。なぜ死んでいるのか?昏睡状態の自分が殺してしまったのか?ドアの外では次の患者が待っている。困惑するミッシェルは、とりあえずソファーの下に死体を押し込むが、それは悪夢と自分自身への覚醒の始まりだった…。

フランス映画界を代表する実力派俳優、ジャン=ユーグ・アンダラードと
期待の新星エレーヌ・ド・フジュロール。話題のキャスティングが実現。

ベネックス作品に同じ俳優は二度出演することはなかったが、1986年『ベティ・ブルー愛と激情の日々』に出演以来、実に16年ぶりにべネックス作品へ再登場となったのは、実力派俳優ジャン=ユーグ・アンダラード。アングラードに対する監督の信頼は厚く「彼は以前は上手い俳優だった。しかし今は偉大な俳優という方がふさわしい」と言わしめる程、繊細な男を演じさせたら右に出るものがいない、華と知性を併せ持つ俳優として知られている。本作では、幼児期のトラウマを持つセンシティブな精神分析医ミッシェルを、人間の持つ滑稽さと共に深遠な演技でみせている。対する小悪魔的かつマゾヒスティックな人妻オルガを演じたエレーヌ・ド・フジュロールは、1992年のデビュー以来、J・リヴェット、C・クラピンシュ、M・カソヴィッツら、蒼々たる監督の作品に多数出演しているフランス映画界を担う期待の新星。オルガ役を演じることが出来ないと一度はオファーを断った彼女だったが、監督の期待を上回るその凄艶な姿に大型女優の誕生を印象づけた。また『黒猫、白猫』のミキ・マノイロヴィッチ、新進女優ヴァレンティナ・ソーカら個性豊かな俳優たちが脇を固めている。

ストーリー




それは1本の電話からはじまった。
いや、もっと昔。幼かった頃、両親の愛の営みを偶然目撃してしまった時から、彼の運命は変わってしまったのかもしれない——。
若さも情熱も失った40歳の精神分析医ミッシェル・デュラン(ジャン=ユーグ・アングラード)は、妻と別れてから一人暮らすパリのアパルトマン兼クリニックで、今日も心に闇を抱える孤独な人間たちの告白に聞くともなく耳を傾けていた。歪んだ女性観を持つ性的不能の男、聞き分けの悪い生徒たちに煩わされる欲求不満の女教師。そして、蠱惑的な人妻オルガ・キュブレール(エレーヌ・ド・フジュロール)も彼の患者の1人であった。盗みと暴力的な痛みでしか悦びを得られない女オルガ。毎夜、裏社会のフィクサーである夫マックスからの凌辱を享受し、週に一度、クリニックの診察ソファーで、ミッシェルを挑発するかのようにマゾヒスティックな愛と倒錯的なセックスの告白をする妖婦。
彼の深層心理を掻き乱すかのようなアブノーマルで扇情的な彼女の魅力に、強い反発を覚えながらも抗えきれないミッシェルは、自らも初老の精神科医の元へ通い、心を癒す日々を送っていた。そんな平凡な毎日も、30年来の友人である警視シャピローからの電話により狂いはじめる。警察に駆けつけた彼を待っていたのは、宝石を盗み、悠然と微笑むオルガだった。犯行時のアリバイを偽証し、オルガを救ったミッシェル。一見、二人の心の距離は縮んだかのように見えた。
ある雪の降り積もる日、いつものように夫の暴力を受ける快感について身悶えながら語る彼女の話を聞くうちに、いつしかミッシェルは深い眠りに落ちてしまう。夢のなかで、オルガに跨り首を締めるミッシェル。そして歓喜の喘ぎをあげ、やがて息絶えるオルガ。診察終了の時計の音で目が醒めると、ミッシェルの眼前にはオルガの冷たくなった死体が横たわっていた。果たして自分が彼女を殺したのか、それとも!?診察室のドアの向うでは次の患者が待っている。焦り困惑するミッシェルは、とりあえず死体をソファーの下に押し込み、隠すのだった。翌日には、シャピロー警視が行方不明になったオルガの捜査に乗り出し、夫マックスは、妻を、そして彼女と一緒に忽然と消えた70万フランの行方を血眼になって探し始める。このままでは捕まるのは時間の問題。焦るミッシェルは、やがて常軌を逸した行動へと駆りたてられていく。ギャラリーで偶然出会った美しき画家エレーヌ、謎めいたホームレス、老精神科医、墓地の男、青いキリン…。そして、ミッシェルも夢と現の境界線を踏み越え、悪夢と倒錯の世界へと足を踏み入れていく。オルガを殺したのは?消えた70万フランは?そして、自分は殺人犯なのか?事件の鍵は一体誰が握っているのか?一ついに迷宮の扉は開かれた。出口を求めてミッシェルは紡纏い続ける。

スタッフ

監督・脚本:ジャン=ジャック・ベネックス
撮影監督:ブノワ・デロム
美術:フィリップ・シッフル
衣装:ファビエンヌ・カタニ
音響:ピエール・ベフヴァ、ミカエル・クランツ、パトリス・グリゾレ
編集:イヴ・デシャン
音楽:ラインハルト・ワグナー
プロダクション・マネージャー:クリスティーヌ・ド・ジェケル、ホルスト・ホフマン
アソシエート・プロデューサー:オリビエ・ユズリ、ケイ・メイ
プロデューサー:ジャン=ジャック・ベネックス(カーゴ・フィルムズ)
        ラインハルト・クロス(オデオン・ピクチャーズ)

キャスト

ミシェル・デュラン:ジャンーユーグ・アングラート
オルガ・キュプレール:エレーヌ・ドゥ・フジュロール
ヘラストラトス(路上生活者):ミキ・マノイロヴィッチ
エレーヌ・メイヤー(デュランの恋人):ヴァレンティナ・ソーカ
アーマンド・ズリボヴィッチ(老精神科医):ロベール・イシュル
マックス・キュブレール(オルガの夫):イヴ・レニエ
数学教師(デュランの患者):カトリーヌ・ムシェ
シャピロー(警視):ドゥニ・ポダリデス
ジャック・プレスコ(デュランの患者):ジャン=ピエール・ベッケル
DJ(墓場の男):リトン・リブマン

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