ひなたぼっこ
共に生きる、 実像を求めて−−
2000年/日本/カラー/16mm/91分/ 配給:BOX OFFICE 製作・著作:ちぱMDエコネット/記録社
2001年3月10日より4月6日までBOX東中野にてモーニングロードショー公開 2001年3月3日(土)福岡県行橋市 2001年3月17日(土)千葉県佐倉市 2001年3月18日(日)千葉県木更津市 ほか詳しくは、公式ページを参照ください。
公開初日 2001/03/10
公開終了日 2001/04/06
配給会社名 0114
公開日メモ 千葉県に住む「知的障害者」と呼ばれるの若者たちの日々が、「公立の普通高校」を舞台に綴られていく。各人各様の1年半にわたる悲喜こもごもの記録に、畑に育つ草花や野菜が季節の彩りを添える。彼らとその家族を中心に、友人や地域の人々が一緒になり荒地だった遊休農地を緑の畑に変えていこうという活動が、少しずつ実を結んでいく。
解説
映画製作にあたって、監督・桐野直子
彼らと初めて出会った日、私は大いに戸惑った。何せ話通じない。
それでも「ま、いいか」と気を取り直したのは、彼らに好奇心いっぱいの瞳で見つめられたからだ。
あれから]年半、彼らが過ごすそれぞれの場所へ出かけ、同じ時を過ごしてきた。それは、思いもよらず楽しい時間であった。最初の戸惑いがゼ□になったわけではないけれど、「これでいいのかな」と思う。
この楽しかった体験を、一人でも多くの方に知っていただけたらと願っている。
共に生きる社会——異なる個性をもった人びとがお互いを認め合って生きる社会が、私たちの未来に求められています。しかし、共に生きる社会というイメージを、さらには実像を、私たちは確かに描くことができるのでしょうか。
このドキュメンタリー映画で描かれるのは、「知的障害者」といわれる若者たちと「健常者」といわれる人たちが共に生きる姿です。
この映画に登場する若者たちは、小学校も中学校も地域の普通学級で学んできました。そして、友人たちと同じように高校進学を希望し、たくさんの応援を得て普通高校入学という関門をくぐってきました。
彼らは友人たちと机を並べ、共に学び、共に語り、同じ時間を過ごしています。クラブ活動や文化祭など、学校生活ならではの楽しさを満喫しています。自らを飾らず、ありのままに生きる強さと自信にあふれています。友人たちは言います。「彼らといると、やさしくなれる」と。先生たちも、そんな生徒たちの中に共に生きる実像を発見し、見つめ続けています。
そして今春、高校生活を終える若者がいます。
社会に出るための活動が始まりました。時の流れの中で、共に生きる実像は、地域社会にも広がりを見せます。昨春、利用されずに荒れていた300坪の土地に、「知的障害者」といわれる若者たちと「健常者」といわれる人たちが集まり、草花や野菜の種をまきました。農業の経験ゆたかな地域住民、地元の大学生、大学教授も参加して、夏にはヒマワリを咲かせ、秋にはサトイモやケナフを収穫しました。
この場所にも、ゆったりした時間が流れています。それは、彼らが未来への不安におびやかされることなく、「今」という時を豊かに生きているからにほかなりません。
次の世紀を目前にした今、だれもが豊かな時をとりもどしたいと願っています。そのためには、このすばらしい若者たちの力を借りる必要があります。彼らの生き方こそ、閉塞した現在を切りひらき共に生きる社会へと向かわせる原動力ではないでしょうか。
映画は、学校や地域でいきいきと共に生きる人びとの姿を追っていきます。その姿を通して私たちは、かけがえのない「今」を生きることを、そして共に生きる実像を手にします。それなくして私たちは、豊かな心で次の世紀を迎えることはできないのではないでしょうか。
ストーリー
千葉県に住む「知的障害者」と呼ばれるの若者たちの日々が、「公立の普通高校」を舞台に綴られていく。各人各様の1年半にわたる悲喜こもごもの記録に、畑に育つ草花や野菜が季節の彩りを添える。彼らとその家族を中心に、友人や地域の人々が一緒になり荒地だった遊休農地を緑の畑に変えていこうという活動が、少しずつ実を結んでいく。
生まれ育った町で「ふつうに」暮らしてきた若者たちの横顔は、個性的だ。
山田晶生(やまだあきら/20歳)
一浪の末に念願の高校生となった晶生くんは、高校生活最後の1年間をクラブ活動で締めくくった。定時制高校の短い放課後、彼は音楽部でドラムを叩く。
特別扱いはない。が、いつも叱咤を飛ばす顧問の先生は、一方で丁寧な個人指導を繰り返し、クラブの仲間は無言で練習につきあう。
そして迎えた演奏会。晶生くんは胸を張って舞台に登場する。
山本江美子(やまもとえみこ/19歳)
数学の時間、江美ちゃんはノートに漫画を描いている。教師は問いかける。彼女は先生が教えてくれた答えをゆっくりノートに書き込む。秋、文化祭の準備に追われるクラスの中で、江美ちゃんは時々小言を言われたりしながら、みんなと一緒に暗くなるまで作業に参加する。廊下で踊り始めた彼女の姿に級友たちの笑いを誘う。
中邨淳(なかむらじゅん/21歳)
淳くんは、三浪の末に入学した定時制高校を一度も欠席をしたことがない。お気に入りの絵本を教科書に授業を受け、サッカーの時間にはボールを手で受け止め、ゆっくりパス。休みの日は、近所の幼なじみと泊りがけで出かけたり、ガールフレンドとショッピングを楽しむ。彼の周りには、いつも誰かがさりげなくいる。
立石歩(たていしあゆみ/17歳)
欠席も遅刻もほとんどしないが、授業中は寝ている。教師に促されようやく教科書を開くが何を書いてよいのやら。それでも3年生になってやる気が出てきたのか、体育はバトミントンに挑戦。家庭科では黙々とエプロン作りに励む。一歩を踏み出すのに時間はかかるが、教師たちは温かく見守る。
石塚由幸(いしづかよしゆき/15歳)
中学3年生のよっちゃんは、どこへ行っても自分の居場所をしっかり確保する名人。放課後は通学路にある学童クラブで子どもたちと遊び、先生を手伝う。
気分はもちろん「石塚先生」。ボーイスカウト活動でもマイペースで、キャンプに富士登山にと出かけていく。そんな彼もいよいよ高校受験。
果たして新しい居場所を確保することはできるのだろうか。
スタッフ
企画:NPO法人ちばMDエコネット
製作・著作:ちぱMDエコネット/記録社
監督:桐野直子
撮影:中村稔
編集:長田千鶴子
音楽:小田島庄司
ナレーター:平野文
プロデューサー:山田晴子/中村稔
現像:ヨコシネディーアイエー
キャスト
山田晶生
山本江美子
中邨 淳
立石 歩
石塚由幸
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