原題:Enemy at the Gates

2001年ベルリン国際映画祭オープニング作品

2001年2月23日全米公開

2001年アメリカ・ドイツ・英国・アイルランド合作/カラー/2時間12分/7巻3598m/スコープ・サイズ/ ドルビーSRD/日本語字幕:戸田奈津子/ノベライゼーション:角川文庫/ オリジナル・サントラ盤:ソニークラシカル/提供:日本ヘラルド映画・ポニーキャニオン 特別協力:読売新聞社 配給:日本ヘラルド映画

2001年4月14日より日比谷スカラ座1ほかにてロードショー公開

ジャン=ジャック・アノー監督来日::http://cinema.fan.to/topics/topics.php?number=106&tosi=2001&tuki=04

公開初日 2001/04/14

公開終了日 2001/06/08

配給会社名 0058

公開日メモ 第2次大戦のスターリングラード戦を舞台に、実在したスナイパーを描いた戦争ドラマ。

解説


第2次大戦のスターリングラード戦を舞台に、実在したスナイパーを描いた戦争ドラマ。

400人殺した。命を指先に感じながら——
第二次世界大戦で最も激烈な闘いと言われた、ドイツとソ連のスターリングラード戦。世界の行方を決めたのは、25歳のスナイパーだった。

「セブン・イヤーズ・イン・チベット」で実在の登山家の波乱に満ちた運命を描き、ブラッド・ピットの人気を不動のものとした名匠ジャン=ジャック・アノー監督か新世紀に贈る問題作「スターリングラード」が遂に完成した。実在した伝説的スナイパー、ヴァシリ・サイツェフの極限下の愛と生を空前のスケールで描いた本作の舞台は、第二次世界大戦で最も悲惨な末路を辿ったスターリングラード戦。ドイツ、ロシア両軍合せて100万人もの命を散らした180日間にも及ぶこの死闘の中で、生きるために、愛する者を守るために一撃必殺(one shot one kill)の正確さで次々とドイツ兵を殺し、自らの意志とは裏腹に英雄に仕立て上げられてしまった若き天才スナイパー、ヴァシリ・ザイツェフ。

《ナチス・ドイツを破滅に導いた伝説の男”ヴァシリ・ザイツェフ”とは一体誰か…?!》
主人公ヴァシリ・ザイツェフは殺した人間の数は400とも言われる実在の伝説的スナイパー。ウラル山奥の羊飼いの家に生まれた彼は、幼い頃から祖父に射撃を仕込まれその腕は群を抜いていた。彼を巡る伝説はあまりに多岐にわたり、どこまでが真実かは分からない。しかしヴァシリ・ザイツェフは戦後60年以上たった今でも、国家的ヒーローであり、スターリングラード(現ボルゴグラード)の英雄記念碑には彼の巨大なレリーフが飾られ、ライフルは市の歴史博物館に保存、戦利品である望遠鏡はモスクワの軍事博物館に展示されている。だが、伝説に包まれ、弱冠25歳でロシアのカリスマとなった彼の本当の苦悩を知る人はいない。

総製作費8500万ドルの巨費を投じて製作された本作は、先頃行われた第51回ベルリン映画祭のオープニングを飾り、冒頭15分間にも及ぶ息を呑む戦闘シーンは「プライベート・ライアン」をも超える迫力と哀しみに満ちていると絶賛され、アノー旋風を巻起こし、ジュード・ロウの類い希な美しさとカリスマ牲、そして哀しみを抑えた演技には賞賛の声が寄せられた。
歴史小説『エネミー・アット・ザ・ゲイト』(原題)を元にジャン=ジャック・アノーとアラン・ゴダール(「薔薇の名前」)によって書かれた。
モノトーンに徹する事で、そこで繰り広げられる極限下の若者たちの熱く燃える愛と生の痛ましさを際立たせる事に成功した。

ストーリー



1942年9月。一ヶ月にわたりナチス・ドイツの猛攻にさらされてきたスターリングラードは、もはや陥落寸前。市街は瓦礫の山、ボルガ河は血の海と化していた。”スターリン”の名を冠した街であるという理由から司令部は徹底抗戦を指示するが、武器はすでに底を尽き、送られる援軍は新兵ばかり。日々衰える志気のなかで死者だけが増えていく——まさに泥沼の最激戦地だった。

ヴァシリ・ザイツェフも、補充部隊として赴任した新兵の一人だった。上陸直後の降り注ぐ砲弾を生き延び、広場に累々と重なる死体に紛れて反撃の機を待っていヴァシリは、同じように身を潜めていた青年政治将校ダニロフと出会う。やみくもに撃って出ようとするダニロフを制したヴァシリは、手にしたライフルで離れた場所にいるドイツ軍士官を次々に仕留めて行く。一撃必殺の正確さ、しかもこちらの居場所を悟られずに一切を成し遂げた冷静さに、ダニロフはただただ驚嘆する。ヴァシリはウラルの羊飼いの家に育ち、祖父に射撃を仕込まれたのだった。毛皮を損なわないためには、一発で目を撃ち抜かなけれはならない——先の天才スナイパーと同一人物とは思えないほど控えめに話す純朴なヴァシリに、ダニロフは好感を抱く。一方のヴァシリも、教養にあふれ、共産党のエリート将校として理想を熱っぽく語るダニロフに、無条件の信頼を寄せる。翌日、ダニロフが発行する党機関紙プラウダ〈赤い星〉にヴァシリの名が踊った。

「同志スターリンの呼び掛けに応じてやって来た若きヴァシリ・ザイツェフ。ライフルのみを武器にして、一人、また一人とドイツ兵を倒していく。苦しみを数えてはいけない。ただ、殺したドイツ兵の数のみを数えるのだ!」

ダニロフはスターリングラードの守備を立て直すため赴任してきたフルシチョフ司令官に、次のような提言を行った。「我々に必要なのは英雄です。同胞に希望とプライドと戦闘意欲を取り戻させるために…。適任者か一人います。」

その時からヴァシリのスナイパーとしての任務か始まった。一人、また一人と標的のドイツ人士官を倒していく彼の活躍は、ダニロフの記事を通して新聞、ラシオで大々的に報じられ、ダニロフの思惑通り、反響は瞬く間に全国に広まい、各地から激励や感謝の手紙が国民的英雄ヴァシリのもとに届くようになる。自らの危険を顧みず任務を遂行するだけでなく、それらの手紙にも不慣れな筆致で誠実に返事を書くヴァシリを、ダニロフは兄のような面もちで暖かく見守るのだった。そんなヴァシリを見守っている人間がもう一人いた。レジスタンスの女兵士ターニャだ。美しいターニャに対し、ヴァシリもダニロフも一目で恋心を抱くが、互いに遠慮して言い出せない。ターニャは、心優しいヴァシリに次第に惹かれ始めるか、ダニロフはそんな彼女の心を知ってか知らずか、ドイツ語のできる彼女を自分のいる司令本部に強引に転属させてしまった。

ヴァシリの活躍でソ連軍の志気がやや盛り返したとはいえ、戦況は相変わらす一進一退を繰り返していた。とりわけドイツにまでヴァシリの勇名か轟いた結果、その暗殺を目的にドイツ軍きっての狙撃の名手ケーニッヒ少佐か送り込まれてからは、再び暗雲がたれ込めるようになる。狙撃手としての腕も、冷静に相手をつけ狙う執拗さでも互角以上の強敵の出現に、ヴァシリの自信は初めて揺らぎ始める。さらに狡狙さで一歩上を行くケ一二ッヒ少佐は、ターニャが弟のように可愛がっている少年サーシャを言葉巧みに抱き込み、ヴァシリをおびき出す卑劣な策を目論んでいた。
ヴァシリに危険が迫っていることを知り、彼を愛していることをもはや隠せなくなったターニャはダニロフの部隊を離れ、ヴァシリのいる防空壕へと走った。ダニロフによって英雄に祭り上げられていることを重荷に感じるようになっていたヴァシリは、一纏の罪悪感を抱きつつもターニャを受けいれる。一方、すべての所有権を廃す共産主義の理想と愛する人を独占したいという自らの欲望に引き裂かれたダニロフは、ある作戦の遂行を告げる。それは友であるヴァシリを見殺しにしかねない非情な作戦だった・・・…。

1942年11月スターリングラードの街と、そこで極限の生を強いられてきた若者たちの運命を決する戦闘の火蓋か、まさに切って落とされようとしていた・・・…。

スタッフ

監督・製作:ジャン=ジャック・アノー
脚本:ジャン=ジャック・アノー/アラン・ゴダール
製作:ジョン・D・スコフィールド
製作総指揮:アラン・ゴダール/アリサ・テイガー
撮影監督:ロバート・フレイズ
プロダクション・デザイナー:ウォルフ・クレーガー
編集:ノエル・ボワソン/ハンフリー・ディクソン
コスチューム・デザイナー:ジャンティ・イエーツ
音楽:ジェームズ・ホーナー
スタント・コーディネーター:ジム・ダウドール

キャスト

ヴァシリ・ザイツェフ:ジュード・ロウ
ダニロフ第二級政治将校:ジョセフ・ファインズ
ターニャ:レイチェル・ワイズ
ニキータ・フルシチョフ:ボブ・ホスキンス
ケーニッヒ少佐:エド・ハリス
クリコフ:ロン・パールマン
サーシャ:ガプリエル・マーシャル=トムソン
ミセス・フィリポフ:エヴァ・マッテス
パウルス将軍:マティアス`ハービッヒ

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