星降る夜のリストランテ
原題:la Cena
★★★★★五つ星のお席空いてます
1999年モントリオール国際映画祭特別グランプリ受賞 1999年ナストリ・ダルジェント賞(イタリア映画記者組合選出) 最優秀助演女優賞(ステファニア・サンドレッリ) 最優秀助演男優賞(全男性キャスト)
98年11月27日イタリア初公開
1998年/イタリア=フランス合作/l08分/35mm/カラー/シネマスコープ/ドルビーデジタル 字幕翻択:吉岡芳子 配給:アルシネテラン
2001年9月21日DVD発売/2001年9月21日ビデオ発売&レンタル開始 2001年3月17日よりシネマカリテにて独占ロードショー
公開初日 2001/03/17
公開終了日 2001/04/27
配給会社名 0013
公開日メモ ★★★★★五つ星のお席空いてます おいしい料理にくつろぎのひととき、普段着の場所リストランテ
解説
おいしい料理にくつろぎのひととき、普段着の場所リストランテ
日が暮れて、店先に明かりがともる時刻になると、今日も賑やかなリストランテの夜が始まる。「アルトゥーロの店」はローマにある町のイタリアンレストラン。美しいフローラが客たちを迎え入れ、彼女の夫で主人のアルトゥーロは、いつもテーブル席から店内の様子を見守っている。やって来る客たちは十人十色常連の老詩人もいれば、親子や恋人たち、不倫中のカップル、そして時には、客目当てにやって来る絵描きや魔術師の姿も。人々は食事の並べられたテーブルを前に、1日の疲れをとろうとリラックスムードだったり、議論を白熱させていたり、愛を語りあったり、あるいは誘惑してみたり…。ここはイタリア人にとって普段着の場所。おいしいイタリア料理に舌鼓を打ちながら、心と体を解き放って、自由なひとときを過ごす。人々が集い、そこにワインと料理があれば、それぞれが抱える夢や希望、悩み、欲望、秘密が浮かび上がってくる…。
イタリア庶民の温かさを描き続ける名匠エットレ・スコーラの最新作
『BARに灯ともる頃』(89)では、久しぶりの再会に戸惑い素直に気持ちを伝えられない父と息子の1日を綴ったイタリアの名匠エットレ・スコーラ監督。
イタリア人に馴染みの深いBARで過ごす2人のエピソードを印象的に用いて、父と息子の情愛を描き出した。そのスコーラ監督が新作の舞台に選んだのは、やはりイタリア人の生活に密着したローマのリストランテ。
湯気の立ち上る厨房で作られる、本物の食材を、ふんだんに用いた本格イタリア料理の数々がテーブルに運ばれ、客たちはそれらを前に本音をさらけ出していく。
シェフや給仕、店主、客たちが繰り広げる一晩の物語が、温かさとユーモアを交えた視線で映し出されている。
小さな町の映画館を守ろうとする人々を描いた『スプレンドール』(89)や『BARに灯ともる頃』、ある家族の3世代にわたる人間模様を心優しく見つめた『ラ・ファミリア』(87)など、スコーラ監督が一貫して追い続けているイタリア庶民の温かさが、本作にも詰まっている。
フランスの人気女優とイタリアのベテラン俳優らの多彩な競演
「アルトゥーロの店」の花フローラ役に扮するのは、『隣の女』(81)などのフランソワ・トリュフォー作品やパトリス・ルコントの『リディキュール』(96)などでもおなじみのファニー・アルダン。親しみやすさと憂いを併せ持つ女主人を生き生きと演じている。
哲学教授と不倫中の女子学生を小悪魔的な魅力で演じるのは、『ラスト・ハーレム』(99)での熱演も記憶に新しい、フランスの人気若手女優マリー・ジラン。
その他、スコーラ監督デビュー作『もしお許し願えれば女について話しましょう』(64)に主演し、アルダンとも『ラ・ファミリア』で共演している国際派俳優としても活躍した故ヴィットリオ・ガスマンや、スコーラ監督の『ジェラシー』(70)にも出演し、ルキノ・ヴィスコンティの遺作『イノセント』(75)の主演で印象を残したイタリアの演技派ジャンカルロ・ジャンニーニ、ベルナルド・ベルトルッチの『暗殺の森』(70)や『1900』(76)、『あんなに愛しあったのに』(74)などのスコーラ作品でもおなじみのステファニア・サンドレッリなど、スコーラ監督の常連が一同に会している。その他、『流されて…』(74)のエロス・パーニ、『ニルヴァーナ』(96)のアントーニオ・カターニアなどイタリアのベテランや若手俳優が脇を固めている。またスタッフにもスコーラ監督には欠かせない面々が顔を揃えた。共同脚本は、90年代よりスコーラ作品を手掛け、アカデミー賞脚色賞候補となった名作『イル・ポスティーノ』(95)のコンビ、スカルペッリ親子と監督の娘シルヴィア・スコーラ、その他製作のフランコ・コミッテッリ、撮影のフランコ・ディ・ジャーコモ、音楽のアルマンド・トロヴァヨーリら気心の知れたスタッフによって、スコーラの世界が紡ぎだされている。
ストーリー
石畳の続くローマの街角にある「アルトゥーロの店」は、フローラが切り盛りしているリストランテ。店主の夫アルトゥーロは大病を患い療養中なのだが、毎晩客のようにテーブルでディナーを食べながら、店の様子を見守っている。美しく、笑顔を絶やさず働くフローラはお客さんの人気者だ。ある冬の夕暮れどき、フローラがいつものように店にやって来た。シェフのドゥイリオは厨房で自慢の腕をふるって、バースデーケーキの飾り付けをしている。今日はフローラの姪シモーナの誕生パーティが開かれるのだ。店のテーブルではコックたちが早めの食事をとっている。
そこへ給仕係のウリアーノがオートバイでやって来た。雨が降りそうだからと厨房にオートバイを入れようとして、シェフの叱りを受けている。給仕長のディオメデは、何かにつけてウリアーノが気に入らない。
日も暮れて、リストランテに灯りがともる頃になると、今夜も開店の時刻だ。
店内の暖炉には薪がくべられ、パチパチと音をたてている。フローラは買ったばかりの赤い靴に履きかえて、お客さんを迎える準備。厨房ではシェフがコックたちを怒鳴り散らしている。
一番乗りは決まって、詩人のペズッロ教授。お決まりの席につきメニューに目をやるものの、前菜は決まってリゾットだ。いつも店内の様子を観察しており、店のことなら何でも知っている。続いてフローラは予約のお客さんを席に案内する。紳士が招待した夫妻の席順を決めている。
しばらくすると、店内は既にお客さんで埋まっている。こちらのテーブルでは、派手な服に身を包んだイザベッラが、娘のサブリナと進路の話をしている。しかし、母親と違って地味なサブリナは、何かを言い出せずにいるようだ。向こうのテーブルでは、息子ラニエロの学位取得のお祝いをしてあげようと場を設けたメラルダが、まだ来ない友人たちを待ち、シャンパンを4本注文する。また、久しぶりに会った父と娘アレッサンドラ、韓国人家族もテーブルを囲んでいる。そこへ1人の青年マルケッティがリストランテの入口に現れる。予約がないからと立ち去ろうとする彼をフローラが引き止め、即席のテーブルを用意する。店主のアルトゥーロもやって来て、フローラの隣のテーブルに腰を下ろす。給仕長のディオメデは、ウリアーノがフローラに言い寄っているから、店をしっかり管理してくれとアルトゥーロに訴えるが、店主は聞く耳を持たない。
店の隅のテーブルでは、気の多い1人の女性ローラをめぐって男性たちが争っている。新作をめぐって、意見を出し合っている劇団員ブリッコとメンギーニや、妊娠の可能性がわかったものの、子供ができたから結婚するのは嫌だと言う女性フィダンツァータに、その彼女に困り果てる恋人ジージョ、1人で食事をするキャリアウーマン風の女性…と、お客さんも多種多様。人目をはばからず愛を伝える女子学生チェチーリアに困惑する哲学教授ジュリオの姿も見える。店の外のテーブルでは、シモーナの誕生日祝いに、友人たちは大騒ぎ。
また、突然どこからともなく、絵描きが作品を手に現れたり、凝りもせずお店の客に名刺を配って歩く、自称魔術師アダムがやって来たりして、今日も「アルトゥーロの店」は大盛況。賑やかに夜は更けていく。しかし、フローラの顔にはどこか不安な色が見え、何かが起こりそうな予感…。
スタッフ
監督:エットレ・スコーラ
脚本:エットレ・スコーラ
:フリオ・スカルペッリ
:シルヴィア・スコーラ
:ジャーコモ・スカルペッリ
撮影:フランコ・ディ・ジャーコモ
美術:ルチャーノ・リッチェリ
衣装:オデッテ・ニコレッティ
編集:ライモンド・クロチャーニ
音楽:アルマンド・トロヴァヨーリ
製作:フランコ・コミッテッリ
製作主任:フランコ・クレモニーニ
:カルミネ・パルミジャーニ
助監督:ジャンニ・アルドゥイーニ
記録:ヨーレ・ナートリ
カメラ:ロベルト・マルジリ
集音:レモ・ウゴリネッリ
マイク:コッラード・ヴォルピチェッリ
メイク:フランコ・フレーダ
ヘアデザイン:ミレッラ・ジンナト
スティール:ジーヤンフランコ・サリス
キャスト
ファニー・アルダン
アントーニオ・カターニア
フランチェスカ・ダローヤ
リッカルド・ガッローネ
ヴィットリオ・ガスマン
ジャンカルロ・ジャンニーニ
マリー・ジラン
ネッロ・マーシャ
アダルベルト・マリア・メルリ
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