ミリオンダラー・ホテル

原題：The Million Dollar Hotel

英国の人気ロック・バンドU2のボノが温めていた原案を、『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』のヴィム・ヴェンダース監督が映画化。

第50回ベルリン映画祭オープニング作品/銀熊賞（審査員賞）受賞

2000年2月10日ドイツ公開

2000年／イギリス・ドイツ・アメリカ合作／122分／スコープ・サイズ／Dolby Digital , SDDS／アイコン・エンタテインメント・インターナショナル作品／ノベライズ：講談社(シネマブックス) オリジナル・サウンドトラック：ユニバーサルインターナショナル配給：東宝東和

2001年10月26日ＤＶＤ発売／2001年10月26日ビデオ発売＆レンタル開始 2001年４月28日よりシャンテシネにて公開

公開初日　2001/04/28

公開終了日　2001/07/06

配給会社名 0002

公開日メモ　英国の人気ロック・バンドU2のボノが温めていた原案を、『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』のヴィム・ヴェンダース監督が映画化。

解説

ロサンゼルスのダウンタウンにあるミリオンダラー・ホテル。社会からはじき出された人々が住みついた現代のカオスのような場所だ。そこに暮らす知能障害者のトムトムは、親友イジーの死に傷ついていた。そんな折り、イジーの死に疑問を抱いた彼の父親がこのホテルにFBI捜査官を派遣する。これがきっかけとなり、トムトムはずっと恋心を抱いていたエロイーズと急接近。住人たちの思惑と事件捜査が絡み合い急展開していく中、ふたりの恋もある結末を迎える。
英国の人気ロック・バンドU2のボノが温めていた原案を、『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』のヴィム・ヴェンダース監督が映画化。幻想的な映像、物語、そして音楽を背景に、昇華していく“無償の愛”を描き出し、第50回ベルリン映画祭銀熊賞を受賞した品質保証の話題作だ。主演は『プライベート・ライアン』のジェレミー・デイビス、『ジャンヌ・ダルク』のミラ・ジョヴォヴィッチ。透明感ある作品世界を体現し、自らも評価を高めている。そして脇を固める俳優陣は、メル・ギブソン、アマンダ・プラマーら実力派揃い。何より、ヴェンダース監督が『ベルリン・愛の詩』の頃の鬼才ぶりを復活させているのが嬉しい１本だ。

ストーリー

2001年。ロサンゼルスのダウンタウン。ミリオンダラー・ホテルは、社会からはじき出された人々が住みついた現代のカオスのような場所だ。タールを塗りたくった絵画を得意とする自称画家のジェローニモ。元ビートルズの一員でメンバーに虐待されて捨てられたと思い込んでいるディキシー。かつては上流社会で暮らしていたという心優しい老婆ジェシカ…。
　トムトムはそんな住人たちの雑用をこなして暮らしている。ちょっぴりオツムの弱い子供のように見える彼は”乞食館の執事”と呼ばれていた。しかし、トムは気にしない。それより、ホテルの住人で、いつも風のようにさまよい歩く美しいエロイ一ズのことで頭はいっぱいだ。みんなは彼女が娼婦だと毛嫌いするけれど、それさえもトムトムには愛するひとつの要因。”忌まわしい過去のトラウマが彼女をそうさせるんだ”と、愛は募るばかり。そんなトムトムのたったひとつの願いは、エロイーズに自分の存在を気づいて欲しいだけだった。
　そんなある日、遂にエロイーズがトムトムに言葉をかけた。もちろん、トムトムは有頂天。天にも昇る心地に酔いしれた。
　しかし、そのきっかけというのが厄介だった。というのも、それが、親友イジーの死だったからだ。イジーはホテルの屋上から飛び降りたのか、それとも誰かに突き落とされたのか、わからない。しかも、メディア王の御曹司であることが判明し、その父親に捜査を依頼されたFBI捜査官スキナーがホテルに乗り込んできたのだ。脊髄の病気に冒され固いコルセットを着けたスキナーは、動きばかりか考え方までガチガチに凝り固まり、かなりエキセントリックな性格。のらりくらりと証言をしているホテルの住人たちに業を煮やした彼は、ついに全員を容疑者として執拗な捜査を開始する。
　しかし、住人たちもしたたかだ。ジェロニモの書いた絵をテレビのレポーターがイジーが描いたと間違ったのを利用して、画商に絵を売り一儲けしょうと企んだ。ジェロニモ、ディキシー、ジェシカ。暴力的なパンク女ヴィヴィアンなどは、いつのまにかイジーの婚約者になりきっていた。
　いっぽう、住人たちの騒ぎをよそにトムトムとエロイーズは急接近していく。エロイーズに見つめられ、言葉を交わし、彼女の胸に顔をうずめる…。それだけで至上の幸福にひたるトムトムだった。
　スキナーはそんなトムトムに目をつけた。揺さぶりをかけるために、トムトムを脅し、無理矢理ジェロニモが犯人だと証言させ、逮捕してしまったのだ。持主のジェロニモ
がいなければ、絵は売れない。みんなが金持ちになる夢を壊したと、トムトムは悲嘆に暮れる。そして住人たちは彼のそんな気持ちを利用して罠をしかける。「ゲームだよ・・・」というディキシーたちがセットしたビデオ・カメラの前で語りだすトムトム。
「イジーは僕の大親友でした。だから、こんなこと話すのは、ちょっと変だけど…。実を言うと、僕が彼を突き落としたんだ…」
　やがてビデオがテレビで放送され、警察はトムトムを捕えようと躍起になる。トムトムはエロイーズに会いたい一心で彼らの追跡をかわしていく。住人たちの汚い罠にはまったトムトムを秘かにかくまうエロイーズ。どこか見知らぬ土地でいっしょに暮らそうというエロイーズの囁きはトムトムにとって、天国への誘いのように甘美に響いた。しかし、現実がままならないことも、わかっていた…。
　トムトムは朝腸のさすミリオンダラー・ホテルの屋上に立った。清々しい朝の空気は、エロイーズの甘い香りを増幅させる。朝陽はエロイーズの温もりを思いだす。そして、全力で走り出した時、あることに気がついた。

そう人生は素晴らしい。
人生は最高だ。
今思えば、僕の人生は、ほんの2週間前に始まった。親友のイジーを亡くしてエロイーズを見つけた時さ。
エロイーズ、僕の生きがいだ。
僕はただ、君の心に届きたかったんだ。

スタッフ

監督：ヴィム・ヴェンダース
原案：ボノ(U2)、ニコラス・クライン
製作総指揮：：ウルリッヒ・フェルスベルグ
製作：ヴィム・ヴェンダース、ボノ(U2)、ニコラス・クライン
脚本：ニコラス・クライン
撮影監督：フェドン・パパマイケル
衣装デザイナー：ナンシー・スタイナー
音楽製作：ハル・ウィルナー
音楽：ボノ(U2)、ジョン・ハッセル、ダニエル・ラノワ、ブライアン・イーノ

キャスト

トムトム:ジェレミー・デイビス
スキナー:メル・ギブソン
エロイーズ:ミラ・ジョヴォヴィッチ
ジェロニモ:ジミー・スミッツ
ディキシー:ピーター・ストーメア
ヴィヴィアン:アマンダ・プラマー
ジェシカ:グロリア・スチュアート
ヘクター:トム・ボウアー
チャーリー・ベスト:ドナル・ローグ
ショーティ:パッド・コート
テレンス・スコーピー:ジュリアン・サンズ
スティックス:コンラッド・ロバーツ
スタンレー・ゴールドキッス:ハリス・ユーリン
ジャン・スウィフト:シャーレン・ウッダード
マレーネエレン・グレッグホーン
ジョー:リチャード・エディスン
ジェス:ティト・ラリヴァ
イジー・ゴールドキッス:　？

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