原題:Black Hawk Down

判断停止。 そして事実だけが刻み込まれる−−−

2001年10月21日全米公開

2001年/アメリカ/カラー/2時間25分/スコープサイズ/SRD/SDDS/8巻、3,959m/ 字幕スーパー翻訳:松浦美奈/監修:伏見威蕃 原作:「強襲部隊」早川書房/サントラ盤:ユニバーサル クラシックス 東宝東和提供/リボリューション作品/ 配給:東宝東和

2014年11月12日よりDVDリリース 2005年03月02日よりDVD発売開始 2003年07月16日よりDVDリリース 2002年10月17日よりDVD発売&レンタル開始 2002年10月17日よりビデオ発売&レンタル開始 2001年3月30日より日劇1ほか全国東宝洋画系にてロードショー公開

(C)2001 REVOLUTION STUDIOS DISTRIBUTION COMPANY LLC AND JERRY BRUCKHEIMER,INC.

公開初日 2002/03/30

配給会社名 0002

公開日メモ 『グラディエーター』『ハンニバル』のリドリー・スコット監督と『パールハーバー』『アルバゲドン』のプロデューサー、ジェリー・ブラッカイマーが組んだ国連のPKO(平和維持活動)の一環としてソマリアのモガディシュに派遣されたアメリカのエリート兵士たちの、実際の経験談に基づく慟哭の実話

解説



1993年10月3日。ソマリアの首都モガディシオのダウンタウンに、100名の米軍特殊部隊の兵士たちが舞い降りた。彼らの任務は、現地の独裁者アイティード将軍の副官2名を捕らえること。当初、作戦は1時間たらずで終了するはすだった。しかし、2機のブラックホーク・ヘリが撃墜されたことから、兵士たちの運命は一変。仲間の救出にあたる彼らは、地獄絵図の真っ只中に取り残されることになる……。
『グラディエーター』にアカデミー賞をもたらし、『ハンニバル』を大ヒットに導いた映像派の巨匠リドリー・スコットが、自身の作家人生を総括するにふさわしいマスターピースを放った『ブラックホーク・ダウン』。1993年のソマリアで起きた壮絶な市街戦の模様を、生々しい体感映像で再現したこの作品は『地獄の黙示録』『プライベート・ライアン』などと並び、映画史上の傑作として語り継がれるであろう衝撃の戦争スペクタクルだ。
舞台は、束アフリカのソマリア。部族間闘争によって飢饅が蔓延し、30万人以上の国民の命が失われるなか、赤十字や他の支援団体は食糧配給の救援に当たっていたが、物資の多くはババルギディル族の指導者アイディード将軍の一派によって略奪される事態が続いていた。その物資の保護と部族間の停戦を確保する目的で、国連は米海兵隊を含む平和維持軍を派遣。彼らの人道的任務は一応の成功を見るが、それを自身の権力を阻むものとみなしたアイティードは、24人の国連パキスタン人兵士を殺害。ヘリを使って報復のロケット攻撃を行ったアメリカに対し、宣戦を布告する。現地の米タスク・フォース・レンジャー司令官ウィリアム・F・ガリソン少将が、部下のレンジャーとデルタ部隊に、アイティードの副官2名の捕獲作戦を命じたのは、そんな状況のもとだった。
10月3日、午後3時32分。4機のリトルバード・ヘリと8機のブラックホーク・ヘリに分乗した兵士たちは、眼下にインド洋をのぞみながらモガディシオ市内に降下。デルタ・チームが目的の建物に侵入するあいだ、4つの班に分かれたレンジャー部隊は、周囲の街路の制圧にあたる。だが、ヘリからの降下中に新兵の墜落事故が発生。さらに、強いアメリカを象徴するブラックホークがソマリ族民兵に撃墜されるにおよび、現場は大混乱をきわめる。暴徒と化した民衆の容赦ない銃撃にさらされる兵士たち、出口のない迷路に追い込まれる車輌隊。しかし、たとえ死体になっても決して仲間を見捨てないことを唯一の価値観として生きる兵士たちは、本能の命じるまま弾を撃ち返しながら、必死に墜落現場までの
血路を切り開こうとする。
その間にも増え続ける負傷者の数。自分の命を投げ出して仲間の救出に向かう兵士たちのヒロイックな行動、それによって犠牲者が雪だるま式にふくれあがっていくブラックな現実。そんな地上戦の真実を、戦場の兵士たちの視点からみつめたドラマは、15時間におよぶ戦闘のあいだに、彼らが何を見、何を感じ、何を得て何を失ったかを余すことなく描ききり、観客に強い衝撃と深い感慨を与える。「これは観客に問いかける作品であって、答えを提供する作品ではない」というリドリー・スコットの言葉どおり、現場の再現に徹しきった画面に、感傷の入り込む余地はない。だが、見終わったあとは誰でも、自分のなかにある「戦い」の定義が塗り替えられたことを、強く意識せずにはいられなくなるだろう。
そんな作品のクオリティとパワーに港了され、キャストには英米から選りすぐりのスターが集結した。今回の作戦で初めて班の指揮をまかされるレンジャー部隊の精鋭、マット・エウァーズマンには、昨年『パール・ハーバー』でブレイクの時を迎えたジョシュ・ハートネット。デスクワーク専門の立場から実戦に駆り出されるグライムスには、『スター・ウォーズエピソード1/ファントム・メナス』のユアン・マクレガー。車輌隊の指揮をとるダニー・マクナイト中佐には、『プライベート・ライアン』でも小隊の副官を演じて強い印象を残したトム・サイズモア。デルタ部隊の一員で、実戦経験のないグライムズの世話役を引き受けるジェフ・サンダーソンには、『アルマゲドン』や『コンタクト』での好サポートぶりが光るウィリアム・フィシュナー。エヴァーズマンの上官で、サンダーソンと対立を繰り広げるマイク・スティール大尉には、『パトリオット』の悪役演技が印象深いジェイソン・アイザックス。また、作戦の司令官ウィリアム・F・ガリソン少将には、ピュリッツァー賞受賞の劇作家サム・シェパードが扮し、ドラマにいっそうの厚みを醸し出している。さらに、カリスマ的なデルタ隊員のフートを演じるエリックーバナ、ヘリから墜落する新兵ブラックバーンを演じるオーランド・ブルーム(『ロード・オブ・ザ・リング』のレコラス役)など、明日のスター候補の筆頭に位置する新人たちが大挙して出演していることも、本作をめぐる話題のひとつだ。
製作は、『アルマゲドン』『パール・ハーバー』のヒットメーカーとして知られるジェリー・ブラッカイマー。『トップガン』や『エネミー・オブ・アメリカ』でトニー・スコット監督と組んでいる彼は、トニーの兄リドリーとも30年来の友人同士。「世界で最もアーティスティックな映画作家」と信頼を置くリドリー・スコットと念願のコンビを組んだこの作品は、これまでエンターテインメント志向の大作を世に送り続けてきたブラッカイマーにとっても、かってない挑戦的な野心作となった。
スタッフにも一流の顔ぶれがそろった。全米図書賞のノンフィクション部門の候補にあがったマーク・ボウデンの原作を、作者と共同で脚色にあたったのは、本作が脚本家デビューとなるケン・ノーラン。観客にシェル・ショックを与えすにはおかない実戦シーンの生々しい映像を作り上げたのは、『ふたりのべロニカ』『トリコロール/青の愛』など、クシシュトフ・キエシロフスキ作品の名撮影監督として知られるスワボミール・イジャックが手掛けている。

ストーリー



1993年10月3日。ババルギディル族の指導者アイティード将軍による略奪と虐殺の行為が、たえまなく続くソマリア。首都モガディシオで米タスク・フォース・レンジャーの司令官をつとめるウィリアム・F・ガリソン少将(サム・シェパード)は、ババルギディル族の幹部集会が行われるビルの周囲に空から降下し、アイディードの副官2名を捕らえる作戦にゴー・サインを出した。ソマリ族民兵の強い抵抗が予測されるモガディシオ市内に乗り込んで行くのは、レンジャー部隊とテルタ部隊で構成された100名の精鋭たち。そのひとりマット・エヴァーズマン軍曹(ジョシュ・ハートネット)は、自身の胸の内に緊張がふくれあがっていくのを感じていた。というのも、今回の任務で、彼は初めて第4班(チョーク4)の指
揮をとることになったからだ。「部下を必ず生きて連れて帰れ」。伝説的なデルタ隊員のフート(エリック・バナ)からそんな励ましの言葉をかけられたエヴァーズマンは、基地にやって来たばかりの新兵トッド・ブラックバーン(オーランド・ブルーム)、ケガをした同僚の代役に立てられたデスクワーク専門の特技下士官グライムズ(ユアン・マクレガー)ら班のメンバーと共に、ブラックホーク・ヘリに乗り込んだ。
午後3時32分。出発の合図を受けて基地を飛び立った12機のヘリはインド洋をのそむ美しい砂浜を見下ろしながら10分で目的地に到着。標的ビル北側の街路の制圧にあたるエウァーズマンたちは空中からロープで降下を始めるが、その最中、民兵の発射したRPGがヘリの機体をかすめ、バランスを失ったブラックバーンが18メートルの高さから地上へ転落する事故が起きる。すかさす後を追って降下したエウァーズマンは、意識不明のブラックバーンを担架に乗せ、衛生兵とグライムズに車輌隊のもとまで運ぶように命じた。その間、アイティートの副官捕獲の任務を帯びたデルタ隊員たちは、標的ビルに侵入して迅速に任務を遂行。捕虜たちを、ダニー・マクナイト中佐(トム・サイズモア)率いる車輻隊に引き渡す。マクナイトは、そこへ運ばれて来たブラックバーンをジープに乗せると、ストルーカー軍曹を責任者にした3台のジープを基地への帰途につかせた。事態が急展開を見せたのは、その18分後のことだ。標的ビルから北東へ5ブロック離れた地点で、プロペラにRPGを受けたフラックホークが墜落したのだ。チョーク1を指揮するマイク・スティール大尉(ジェイソン・アイザックス)から無線で知らせを受けたエヴァーズマンは、ネルソン(ユエン・ブレソナー)たち数名の部下に現場の保守を命じ、自分は残りの部下を連れて墜落地点へ移動。いっぽう、標的ビルの前にいたデルタ隊員のジェフ・サンダーソン軍曹(ウィリアム・フィシュナー)、スティール、マクナイトたちも、墜落地点へ向けて出発するが、ブラックホーク撃墜によって勢いづいた民兵の攻撃は激化の一途をたどり、スティールとサンターソンの徒歩部隊は路上で釘付けに。かたやマクナイトの車輌隊もバリケードと砲撃に行く手を阻まれ、市内を迷走するはめに陥る。
そのころ、墜落地点に到着したエウァーズマンは、現況を司令部に報告。しかし、そこで民兵の集中攻撃にさらされた彼らには、付近の建物に陣取って応戦する以外、できることは何もなくなってしまう。
午後4時40分。マイク・デュラント准尉(ロン・エルダード)が操縦する2機目のブラックホークが、標的ビルから南西1マイルの地点に墜落。司令部で崩壊していく作戦の一部始終を見守っていたガリソン少将は、基地に帰還していたストルーカーとフートを中心に緊急救援車輌隊を編成し、第2の墜落地点へ向かわせる。が、彼らも砲火とバリケードで前進できす、フート率いるデルタ隊員は徒歩で現場への道を急ぐ。その第2墜落地点には、上空に待機していたヘリからふたりのテルタ隊員が降り立ち、群がる暴徒を相手に必死の応戦を試みていた。それ以上の援軍がすぐにやって来ないことを知り、自身の運命ももはやこれまでと覚悟を決めるデュラント。その思いは、激戦が続く市内に取り残された99名の兵士
たちも同じだった。第1墜落地点の付近には、エウァーズマンの班に加え、サンターソン、グライムズ、ネルソンたちが集結していたが、いまや乗員の半数以上が負傷者と死者で占められたマクナイトの車輌隊は、ついにそこまでたどり着くことができなかった。体制を立て直すべくマクナイトたちが基地へ引き返したのを知り、不満と絶望の声をもらすエヴァーズマンの部下たち。そんな彼らを諌める立場にあるエウァースマンもまた、重傷を負ったスミス(チャーリー・ホーフハイマー)を搬送する救護ヘリの出動要請が受け入れられない事態に、苛立ちと歯がゆさをつのらせる。必死でスミスの看病にあたりながら、「部下を全員生きて連れ帰る」という当初の誓いを守れそうもない自分の無力さを噛み締めるエヴァーズマン。夜が深まりゆくなか、断続的な攻撃を浴びる彼らの前にようやく脱出の道が開けたのは、それからさらに12時間後のことだった……。

スタッフ

製作:ジェリー・ブラッカイマー、リドリー・スコット
監督:リドリー・スコット
脚本:ケン・ノーラン
原作:マーク・ボウデン
製作総指揮:サイモン・ウエスト、マイク・ステンソン、
      チャド・オーマン、ブランコ・ラスティグ
撮影監督:スワボミール・イジャック
美術デザイナー:アーサー・マックス
編集:ピエトロ・スカリアA.C.E.
作曲:ハンス・ジマー
衣装デザイナー/軍服:デヴィッド・マーフィー
衣装デザイナー/ソマリ族衣装:サミー・ハワース・シェルドン
軍事コンサルタント:
   トーマス・マシューズ大佐(米軍退役軍人)、
   リー・ヴァン・アースデイル大佐(米軍退役軍人)

キャスト

ジョシュ・ハートネット
ユアン・マクレガー
トム・サイズモア
エリック・バーナ
ウィリアム・フィクナー
ユアン・ブレムナー
サム・シェパード
ガブリエル・カシアス
キム・コーツ
ロン・エルダード
アイオアン・グラファド
トーマス・ギアリー
チャーリー・ホフハイマー
ダニー・ホッチ
ジェーソン・アイザックス
ゼルイコ・イヴァネク
グレン・モーショワー
ジェレミー・ピーヴン
ブレンダン・セクストン3世
ジョニー・ストロング
リチャード・タイソン
ブライアン・ヴァン・ホールト
ノコライ・コスナー・ワルドー
スティーヴン・フォード
イアン・ヴァーゴ
トーマス・ハーディ
グレゴリー・スポールダー
カーマイン・ジョヴィナッゾ
クリス・ビーテム
タック・フィッツジェラルド
マシュー・マースデン
オーランド・ブルーム
ケント・リンヴィル
エンリケ・マルシアーノ
マイケル・ルーフ
ジョージ・ハリス
ラザーク・アドティ
トレヴァ・エティエン
タイ・バーレル
ボイド・ケストナー
ジェーソン・ヒルデブラント

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