R-18文学賞 vol.1 自縄自縛の私
「女による女のためのR-18文学賞」大賞作×竹中直人監督
2013/106 分 /日本/color/1:1.85/R-15 配給:よしもとクリエイティブ・エージェンシー
2013年2月2日(土)新宿バルト9、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次ロードショー!
©吉本興業
公開初日 2013/02/02
配給会社名 1341
解説
◎竹中直人監督の新境地女性の「ひみつ」を優しくもやるせない映像で見つめる
「女による女のためのR-18文学賞」大賞受賞作、蛭田亜紗子の「自縄自縛の私」が映画化される。選考委員、唯川恵、山本文緒、角田光代に絶賛され、多くの読者の共感を呼んだこの小説を手がける監督は、なんと竹中直人。一見、意表を突くコラボレーションだが、これまでも飄々とした映像筆致のなかにセンシティヴな感性を垣間見せてきた竹中監督は本作で、細やかでみずみずしい、言ってみればフェミニンな資質=潜在能力を見事開花させて、唯一無二の新境地に到達している。 自縛、自分で自分の身体を縛ること。異色の題材だが、そこから見えてくるのはこれまで男性主導で描かれてきた官能の世界とはまるで違う、パーソナルなエロティシズムの発露だ。「禁断」というセンセーショナルな文句よりも、「ひみつ」ということばがしっくりくるひとりの女性の心の奥が綴られていく。 ◎サービス残業の奴隷の日々。爆発しそうなストレス。
普通の女の子なら、ここでランチにパスタでも茹でたりするのだろう。が……
ネットを通して、自縛の世界を知り、秘かな趣味としてあたためてきた女子大生、百合亜。しかし、それを恋人に知られ、破局したことから、一旦は封印する。やがてOLとして働きはじめた彼女は、蓄積されるばかりのストレスを解放する手段として、自縛を復活。一度はやめていたからこそ、この再開(それは、自分自身との再会でもある)はより深いところで、百合亜の内面を浮き彫りにして、ブログ経由で知り合った「運命のひと」との出逢いまで駆け抜けていくことになる。 一歩サジ加減を間違えば、露悪的にも映る物語。それを竹中監督は、絶妙な距離感で紡ぎ、女の子ならではの心象を丁寧に編み上げていく。絵本風の語り口も駆使したジュブナイル感覚に加え、コミカルにして切実、やさしくもやるせない、硬軟溶け合う「ゆらぎ」のある映像文体で、百合亜を見つめている。 楽しいことばかりではない、社会人としての日常。けれども、ひとは「ひみつ」を持つことで強くもなれるし、前に進むこともできる。そんな、ありそうでなかった真理の発見がここにはある。ドラマティックな人生応援歌でもなければ、シリアスな自分探しのストーリーでもない。これまでの女性映画には観られなかったナチュラルな視点で、「ちょっぴりだけ上を向く」ヒロインの、ナイーヴな本音が届けられているのだ。
◎この娘は誰?
竹中監督の新ミューズ“平田薫”主演は、『アヒルと鴨のコインロッカー』から今夏公開の『るろうに剣心』まで、映画をはじめ、ドラマ、舞台で活躍する平田薫が抜擢された。スレンダーで愛くるしいモデルとしても同性からの熱い支持を集める彼女が、百合亜の「自分を縛ることで自身を解き放つ」という一見、複雑な心もようをシンプルな普遍として体現している。20代女性の心身にごく当たり前に降り積もっている、かなしみやよろこびを、さらりとした演技で表出する姿に、誰もが共感するだろう。横暴で情けなく、自分勝手で憎めない、そんな不思議な魅力を放つ上司に扮するのは、安藤政信。『スマグラー おまえの未来を運べ』で日本映画に帰還、更なる進化を見せる彼が、フィクショナルなのに生々しいキーパーソンを演じ、映画を活気づける。女子大生時代の百合亜の恋人を演じるのはピースの綾部祐二。お笑い界きってのイケメンのひとりとして人気絶大の彼が、疾走感あふれる芝居でアグレッシヴすぎる男の言動をヴィヴィッドに表現している。そして、森田芳光、北野武、黒沢清、高橋洋らの監督作品からインディーズ映画まで、柔軟なフットワークで現代日本映画を支える若き名優、津田寛治が「秘密の顔を持つエリート上司」を妙演し、想像を超えるクライマックスに連れていく。また、山内圭哉、馬渕英俚可、米原幸佑(RUN&GUN)、 銀粉蝶、松尾諭、平田敦子、児玉絹世、鈴木奈々、福士誠治、蛭子能収、吉田照美、つみきみほ、杉本彩という錚々たる芸達者たちが脇を固めている。
◎圧倒的共感力 LOVE PSYCHEDELICOの音楽
キャラクターの背景ドラマを、ハイセンスな紙芝居スタイルで、ユーモラスに描いた挿入画は平尾香によるもの。世界的ベストセラー、パウロ・コエーリョの「ベロニカは死ぬことにした」の挿画でも知られる注目のイラストレーターが、淡い色彩のイマジネイティヴな絵画世界で映画に奥行きを与えている。そして、作品を締めくくるのは、本作のためのオリジナル楽曲LOVE PSYCHEDELICOの「No Reason」。リスナーの圧倒的共感力を呼び起こすこのバンドが、胸に沁み入るサウンドで、あたたかな余韻を授けてくれる。
「女による女のためのR-18文学賞」とは?
2001年にスタートした新潮社主催の公募新人文学賞「女による女のためのR-18文学賞」。文字通り、女性が執筆したものを女性独自の観点から女性編集者が選考し、女性作家が、大賞・読者賞を決定する文学賞として、12回目を向ける。これまで吉川トリコ、宮木あや子、窪美澄などの人気作家が輩出。現在は、『舟を編む』で2012年本屋大賞を受賞した、三浦しおんと『鍵のない夢を見る』で第147回直木賞を受賞した辻村深月を選考委員として迎え、「女性ならではの感性を生かした小説」を広く募集している。
ストーリー
<自縛、自分で自分の身体を縛ること>。OLの百合亜は、奴隷のようなサービス残業、部下からのいじめ、など蓄積されるばかりのストレスを解放する手段として、自縛を密かな趣味としてあたためてきた。ブログ経由で知り合った「運命のひと」との出逢いから、次第に大胆な冒険を重ねてゆく・・・
スタッフ
監督:竹中直人
主題歌『 No Reason 』LOVE PSYCHEDELICO
製作統括:岡本昭彦
制作企画:奥山和由
プロデューサー:仲良平
アソシエイトプロテデューサー:中村直史
ラインプロデューサー:中林千賀子
キャスティング プロデューサー:星久美子
撮影:寺田緑郎(JSC)
照明:安河内央之
録音:北村峰晴 美術:斎藤岩男
編集:洲?千恵子
スクリプター:甲斐哲子
装飾:松田光畝
スタイリスト:兼子潤子
ヘアメイクデザイン:山内聖子
ヘアメイク:山本仁美
緊縛指導:奈加あきら
助監督:副島宏司
制作担当:高橋潤
音楽:関島岳郎
題字 / イラスト:平尾香
企画協力:新潮社/「女による女のためのR-18文学賞」運営事務局
制作プロダクション:よしもとクリエイティブ・エージェンシー/チームオクヤマ
配給:よしもとクリエイティブ・エージェンシー
製作:吉本興業株式会社
キャスト
平田薫
安藤政信
綾部祐二(ピース)
津田寛治
山内圭哉
馬渕英俚可
米原幸佑(RUN&GUN)
銀粉蝶
松尾諭
平田敦子
児玉絹世
鈴木奈々
福士誠治
蛭子能収
吉田照美
つみきみほ
杉本彩
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