ももいろそらを
原題:About the Pink Sky
カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション 2015 第24回東京国際映画祭「日本映画・ある視点」部門作品賞受賞作品
2011年/日本/白黒/112分/ 配給・宣伝:太秦 配給協力:コピアポア・フィルム
2015年6月12日(金)のみ新宿シネマカリテにて公開 2013年1月12日(土)より 新宿シネマカリテ ほか全国順次ロードショー
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公開初日 2013/01/12
配給会社名 0864
解説
わたしは世界を採点する。
川島いづみ 16歳 高校1年。
いづみの日課といえば新聞記事の採点。
今日の結果はマイナス270点!
いつもとかわんない毎日は、そんな世界の中にある。
ある日、いづみは大金の入った財布を拾う。
なかに入っていた学生証をたよりに、その財布を持ち主に返すはずが…。
いづみ、そして友だちの蓮実と薫、財布の持ち主、佐藤もからめて、
財布の中に入っていたはずのお金を介して、
いつもとかわんなかった毎日が、いつもとは違う日々になりはじめる。
いづみ、そして、それぞれの胸のなかに新しい何かを芽生えさせながら。
透き通るようなモノクロームの映像と丹念な演出で描く、
心地よい怒り、やさしさとさみしさ、移ろいやすい女子高生の時間…
日本映画史に刻まれる新たな青春映画の傑作
川島いづみ、そして蓮実と薫—三者三様の女子高生のリアルなたたずまい。彼女たちが生きる心地よい怒り、やさしさとさみしさ、恋心、そして移ろいやすい時間。それらを、透き通るようなモノクロームの長まわし映像と、不満げなつぶやきやテンポよく交わされる会話、そして入念にリハーサルを重ねた丹念な演出によって浮かび上がらせる映画『ももいろそらを』。その鮮烈さは、若さとともに確かにあったかけがえのない時間を思い起こさせ、見る者の胸を疼かせるという点で、相米慎二の『台風クラブ』、岩井俊二の『花とアリス』等に連なる珠玉作、恐るべき才能の出現といえるだろう。
第24回東京国際映画祭「日本映画・ある視点部門」作品賞受賞
世界14カ国、20に及ぶ映画祭から絶賛された、小林啓一監督、鮮烈なデビュー作
監督は、ミュージック・ビデオ、テレビ番組、CM等の映像演出に長年携わり、満を持して監督デビューを果たした小林啓一。「未来からみれば今はすぐに過去になる。だからこそ今をしっかり認識すべき」という思いを若い演者に託し、小林自ら手持ちカメラで彼女たちを追ったデビュー作は、第24回東京国際映画祭の日本映画・ある視点部門で見事、作品賞を受賞。その後も2012サンダンス、ロッテルダム、香港、チョンジュなど各国の国際映画祭で注目を浴び続けている。
白とグレーを基調とした眩しい映像の中、若くして冷めたヒロイン、川島いづみ役でドラマを引っぱってゆくのは、本作が映画初出演の池田愛。恋愛体質の蓮実には小篠恵奈、可憐な外見によらずしっかり者の薫役は藤原令子。また、人気落語家 桃月庵白酒が印刷屋役で登場している。
ストーリー
高校1年生の川島いづみは、ある日、財布を拾う。中には30万円の大金と学生証。記載された住所を頼りに、閑静な住宅街の大邸宅を探し当てるが、その表札の名前にある記憶が蘇り、呼び鈴を鳴らすのを止めて図書館へ。新聞記事を採点するのが日課のいづみが古新聞をめくると、「佐藤宏治 千葉県競馬振興会会長に就任」という記事が見つかる。財布の持ち主は、天下り官僚の息子だった!道理で、5万円もの洋服店のレシートが入ってたワケだ。いづみは勢い余って、その新聞に「−10点」と書き込んでしまう。
もやもやとした気持ちを抱えて学校をサボり、釣り堀で竿を垂らしていると、知り合いの印刷屋がやってくる。不景気で仕事がなく、リースの印刷機を引き上げられてしまうとボヤく男に、いづみは「市民からかすめ取った金だからいいんだよ」と財布ごと渡してやるが、30万のうちの20万円だけ、そして必ず返すと言い置いて、男は借用書と財布をいづみに握らせる。
その後、別の高校へ通う友だち蓮実、続いて部活を終えた薫がいづみと合流する。カフェでの支払いをきっかけに、いづみが財布を拾ったことを二人に知られてしまう。また、学生証から持ち主が一学年上のイケメン男子とわかった蓮実は舞い上がり、財布を届けにいくと言い出して、いづみと言い争いになるが、結局、3人一緒に返しに行くことに。
3人の前に現れた財布の持ち主、佐藤光輝は、そっけない態度で礼金3万円を彼女らに渡し、さっさと家に入ってしまう。ところが後日、財布の中に残っていた借用書をみつけた佐藤が、ボーリング場でバイト中のいづみに「金を返せ」とやってくる。自分の非を認める代わりに「市民からかすめとった汚い金だろ」と言い放ついづみに、財布の中の大金は入院中の好きな子に外の風景を見せてあげるカメラの購入資金であり、そのため父親のお金を盗んだことを告白する佐藤。
「こんな世の中、病人に知らせてどうする?」と、採点済みの今日の新聞を佐藤に見せる。そんないづみに対し、佐藤は、お金を返せないなら、病人が早く退院したいと思うような良いニュースばかりを載せた新聞を作るよう迫る。借金の弱みで断れないいづみは、応じる代わりに佐藤から蓮実を誘うようにしむける。
顛末を知らない蓮実は佐藤の誘いに大乗り気。薫もなんだか面白そうと新聞作りに興味を示す。面白くないいづみであったが、蓮実にせかされ、しぶしぶネタ集めに出かけてゆくが……。
スタッフ
監督:小林啓一
プロデューサー:原田博志
マネージメント:宮?紀彦
製作:松嶋 翔
録音:日高成幸
題字:土屋 浄
キャスト
池田 愛
小篠恵奈
藤原令子
高山 翼
桃月庵白酒
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