2011年/日本/カラー/??分/ 配給:ゴー・シネマ

2011年10月22日(土)名古屋先行ロードショー、 2011年10月29日(土)東京他全国ロードショー!!

(c)WAYA! LLP

公開初日 2011/10/22

配給会社名 0943

解説


 舞台はかつてにぎわいを見せた商店街。お互いの家族の私生活までわかっちゃう住人たちが一丸となって、彼らにしかできない過剰なおせっかい劇で、すったもんだを巻き起こす。
  肉親ならまだしも、赤の他人が自分や家族の私生活に首を突っ込んでくるコミュニティなんて、今どきない? いえいえ、この映画こそ、名古屋市にある円頓寺商店街の有志たちによって立ち上がったもので、おせっかいなストーリーの原案も、実体験に基づいたもの。家族のように隣人を思いやる人のつながりは過去のものでなく現在進行形でここに在るのだ。

  核家族化が進み、さらには東日本大震災を経験した今こそ、これからの日本に必要なのは、おせっかいなまでの隣人愛。そんな古そうだけど新しいテーマを、涙と笑いのエンタテインメントに仕立て上げたのは、本作が劇場映画2作目となる新進監督・古波津陽。彼は“主役は商店街”と言い切り、アーケードというひとつ屋根の下に、店々が家族のように肩を寄せ合いながら、それぞれ活き活きと生活する様をスクリーンに映しとった。
 キャストは、愛知県出身のお笑いコンビ・スピードワゴンの井戸田潤と小沢一敬、名古屋から全国へと発信するアイドルグループ・SKE48の松井珠理奈と矢神久美。 この映画を生んだ名古屋とゆかりの深い彼らが、地元の街の匂いを肌感覚で伝えてくれている。その一方で、水野美紀や矢崎滋、藤田朋子、ルー大柴ら、実力派キャストも集結し、地方の一商店街の人情物語を、人のつながりの大切さを描いた普遍的な人間ドラマにまで深めている。そして、もうひとり忘れてならないキーパーソンが、新人子役の三輪泉月。東京からこの商店街に引っ越してきたばかりの少年の役どころで、外から見た商店街のただならぬ様子を、語り手として伝えてくれる。

 本作の製作・原案は名古屋駅と名古屋城を結ぶ円頓寺商店街から発信された。この界隈の住人がリアルに感じてきた人付き合いのカタチを、こうして映画化するに至ったのだが、彼らが力を発揮したのは製作面だけじゃない。撮影のために自分たちの店や住居を提供し、更にキャスト・スタッフへの炊き出しや、劇中登場する芝居小屋用の廃材集めまで、自ら汗を流して撮影をサポート!これは人のつながりがしっかりしていて、かつ地元愛に溢れる商店街だからこそできたこと。こうして完成したこの映画だからこそ全国津々浦々の商店街も活気づけてくれるはず。

ストーリー




古き良き懐かしさが漂う円頓寺商店街。かつては賑わったこの街だが、昔ながらのご近所付き合いが面倒で、街を出ようとするもみじ(矢神久美)のような若者も珍しくない。今は商店街で鉄板焼屋を営む兄の公一郎(小沢一敬)も、一度は東京へ出たことがある似た者兄妹だ。その一方で、しぶとく商売を続け、街を盛り上げようとする理事会の連中もいる。自薦(?)青年団長の勘太郎(井戸田潤)を筆頭に、洋品店を営むえり(藤田朋子)、喫茶店のマスター・西(モロ師岡)、パン職人のペーター(マシュー・ロット)らがその顔ぶれ。今日は彼らの定例会、議題は下駄屋に婿入りし、30年間商店街の世話をしてきたシゲさん(矢崎滋)について。目立つことを嫌うシゲさんからすれば少々おせっかいかもしれないが、商店街のクリスマスイベントを、彼の30周年を祝うサプライズイベントにしちゃおうと話し合う。
 シゲさんのためのサプライズイベントを肩寄せあって考える気のおけない理事会の面々。妻の淳子(小島範子)によると、シゲさんは若い頃真剣に役者を目指していて、当時の芝居仲間で親友のノブさん(ルー大柴)とは35年来一度も会っていないとの事。勘太郎はその2人を再会させるために、イベントの催しとして芝居を上演し、本番の舞台上でご対面させるという作戦を思いつく。

  調査によるとノブさんは大衆演劇の役者として活躍中、丁度名古屋市内の鈴蘭南座で公演するという。勘太郎は、これを口実に、夫と別居して最近出戻ってきたシゲさんの娘・冴子(水野美紀)と2人っきりで鈴蘭南座へ行こうと誘ったがあえなく撃沈、代わりに理事会連中や冴子の息子・和也(三輪泉月)が同行することに。楽屋を訪ね、シゲさんとの共演をお願いすると、ノブさんはちょっぴりおよび腰。シゲさんを喜ばせたい一心の勘太郎は、口から出まかせで彼を口説く。そんな勘太郎を見て、あきれ気味の和也だっだが、そんな和也もまた、徐々に商店街のムードに染まり始める。 和也が町内のグループホームでお手伝い中、伊丹という車椅子の孤独な老人(服部 公)から、清洲に住む息子家族宛ての手紙を投函するよう託された。しかし封筒に「遺言書」と書かれていたので心配になり、勝手に友だちとケッタ(=自転車)で宛先の住所を訪問。応対した孫の早苗(松井珠理奈)は、遺言書と書くのは元気な証拠とニッコリ。家族と離れて暮らす伊丹老人は、自分が好きで商店街にあるグループホームにいると知り、和也の心配は取り越し苦労に終わる。

 台本も上がり、配役も決まり、順調に進んでいるかに見えたサプライズ作戦。しかし、周囲の気持ちを知ってか知らずかシゲさんは、ノブさんとは長年仲たがいをしていて、“宇宙一”嫌いな相手だとの激白に、家族も理事会もびっくり! 急遽計画を中止するため再びノブさんを訪ねる勘太郎だが、ノブさんは共演にすっかり乗り気で真意は伝えられず仕舞い。こうして商店街は先の読めない「わやくちゃ(=滅茶苦茶)」状態に突入!いっそ、険悪なシゲさんとノブさんを仲直りさせるところまでおせっかいを焼いてやろうと腹をくくり、宇宙一おせっかいな大作戦が動き出す。
 イチかバチかのイベント当日。この日のために再建されたかつての芝居小屋・開慶座は、上演を心待ちにするお客さんで埋め尽くされた。かつて開慶座で芝居を作っていた伊丹老人は昔取った杵づかで演出を担当、商店街総出でサプライズ劇を後押しする。
  仲直りにはうってつけという新美南吉の童話「二ひきの蛙」を時代劇に仕立て上げた芝居も滞りなく進み、いよいよラストシーン。ついに舞台上でシゲさんがノブさんと対峙する。その時、場内の空気が凍り付く。もはやこれまでか?!

スタッフ

監督:古波津陽
脚本:古波津陽
主題歌:HOME MADE 家族『ホームシック』

キャスト

井戸田潤
水野美紀
三輪泉月
ルー大柴
矢崎滋
藤田朋子
モロ師岡
小島範子
小沢一敬
服部公
マシュー・ロット
矢神久美
松井珠理奈
いとうたかお
成瀬功

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