日本人の心を描く藤沢周平珠玉の名作、堂々の映画化!

2011年/日本/カラー/??分/ 配給:東映

2012年01月12日よりDVDリリース 2011年7月2日(土)全国公開/6月18日(土)山形県先行公開

(C)2011「小川の辺」製作委員会

公開初日 2011/07/02

配給会社名 0004

解説


藤沢周平珠玉の傑作が遂に映画化!
決して斬ることのできない絆で結ばれた、ある兄妹の運命とは——。
東山紀之が、さだめに揺れる武士の悲哀に挑む。

 国民的作家・藤沢周平。数々の書籍がそれぞれベスト&ロングセラーであり、その時代小説に描かれる下級武士らの心は、現在にもつながる精神性をもっている。2008年の「山桜」、2010年の「花のあと」に続き、またひとつ藤沢文学珠玉の傑作が、映画に生まれ変わる。今回原作に選ばれたのは「小川の辺」。海坂藩士・戌井朔之助が、旧友である佐久間森衛の討伐を命ぜられるところから物語は始まる。藩主の政治を批判し、脱藩を余儀なくされたとはいえ、佐久間は実の妹・田鶴(菊地凛子)の夫。ひとつ間違えば妹までも切らなくてはならず、朔之助は肉親の情愛と武士としての宿命の間で苦悩していた。そして、朔之助が佐久間を探す道中に付き従う若党の新蔵もまた、兄弟同然に育った田鶴には主従関係以上の思いを抱いていた。

主演は東山紀之。ストイックなまでに自己を磨き上げてきた彼だからこそ、運命を受け入れながらも妹への優しさを失わない主人公の戌井朔之助の精神を体現できるのではないだろうか。妹・田鶴を演じるのは「バベル」で全世界が絶賛しアカデミー賞助演女優賞候補となった菊地凛子。若党・新蔵を演じるのは2010年も「シュアリー・サムディ」を始め、多くの作品で印象的な演技を披露している勝地涼。他にも朔之助と剣の腕を認め合ったライバル、佐久間森衛を片岡愛之助、さらには尾野真千子、松原智恵子、笹野高史、西岡?馬、藤竜也など実力派俳優が顔を揃えている。
 
この物語は山形県庄内地方をイメージした“海坂藩”が舞台となる。朔之助と新蔵が田鶴たちを探す道中の撮影は、日本の原風景が残る山形県内各所でロケを敢行。その美しい自然描写も大きな見どころだ。

侍の掟に苦悩する男、掟を破ってでも愛する者を守ろうとする女、そして掟を越え人を愛してしまった若者。三人の運命がひとつに結ばれていく様を、「山桜」で男女の秘めたる想いを見事に描いた篠原哲雄監督が鮮烈に映し出す。絆、葛藤、そして本当の優しさとは何か。無垢だった絆が、過酷な運命に引き裂かれようするとき、彼らは何を見出すのか。大人になることの切なさ、過酷さを胸に呑み込み、静かに運命と対峙する若者たちを描いた、新たなる藤沢時代劇の世界がスクリーンに誕生する。

ストーリー







侍社会の掟が、兄妹を、過酷な運命の淵へと追いやっていく……。

 海坂藩藩士・戌井朔之助(東山紀之)は、家老・助川権之丞(笹野高史)から呼び出しを受ける。夫婦で藩を出奔し、藩主より上意討ちの命が下されていた佐久間森衛(片岡愛之助)を追っていた討手が、病気のために帰国したというのだ。次なる討手には朔之助が選ばれた。しかし朔之助は、この命令を一度は辞退する。なぜなら佐久間は、朔之助の妹・田鶴(菊地凛子)の夫。もし田鶴が手向かえば、彼は妹を斬らねばならない。しかし助川は『これはそなたに相談をかけておるわけではない。主命であるぞ』と申し渡した。

 帰宅後、朔之助が事の次第を報告すると、母・以瀬(松原智恵子)は、妹を斬る立場になったらどうするのかと朔之助を詰問した。父・忠左衛門は『そのときは斬れ』と言い放つ。田鶴を斬ることはないと両親に宣言した朔之助を待っていたのは、若党の新蔵(勝地涼)だった。彼は上意討ちの旅に、自分も連れて行って欲しいと朔之助に懇願する。朔之助や田鶴と兄弟同然に育った新蔵は、ある想いを秘めて朔之助の供を買って出た。

 道中、田鶴と出会った時どのように対処するべきか、心が定まらない朔之助に、新蔵は佐久間と田鶴が藩を出奔した理由を尋ねる。佐久間は藩主と、その側近である侍医・鹿沢堯伯(西岡?馬)が行ってきたずさんな農政改革を批判する上申書を提出し、藩主の不興を買った。処分も覚悟の上での断行であったが、決定的な処断が下される前に夫婦で姿を消したという。

その佐久間と朔之助は、城中で一度剣術の試合をしたことがあった。結果は互いに1本ずつ取ったところで悪天候のために試合続行が難しくなり、決着はつかなかった。自分と五分の腕を持つ佐久間との立ち合いを前に、朔之助の心は揺れる。また藩内では、出奔を言い出したのは田鶴だという噂が立っていた。『ありうることだ』と朔之助思う。昔から、こうと思い込んだら自分の意志を曲げない田鶴の性格を彼は知り抜いていた。

18年前、子供だった朔之助と田鶴、新蔵は三人で小川へ遊びに行った。しかし天候が急変。そこから流れ込んできた雨水で小川の水嵩が急激に増し、朔之助は田鶴を助けようと手を伸ばしたが、『お兄様は嫌』と彼女は助けを拒んだ。想いを馳せる朔之助はやがて行徳の小川に佇む家へ、田鶴が出入りするのを発見する。これこそまさしく佐久間と田鶴の隠れ家。佐久間との対決はもはや避けられない。

運命は、三人を再び小川のほとりへと導いてゆく。

スタッフ

監督:篠原哲雄
原作:藤沢周平 「海坂藩大全」(文藝春秋刊)「闇の穴」(新潮文庫刊)
プロデューサー:小滝祥平
製作:山形新聞

キャスト

菊池凛子
東山紀之
勝地涼
片岡愛之助
尾野真千子
松原智恵子
笹野高史
西岡徳馬
藤竜也

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