人間の欲望を駆り立てる島─ 彼らはそこを〈東京島〉と呼んだ

2010年/日本/35mm/カラー/129分/ビスタサイズ 配給:ギャガ

2010年8月 28日 シネスイッチ銀座、恵比寿ガーデンシネマほかにて全国ロードショー

(C)2010「東京島」フィルムパートナーズ

公開初日 2010/08/28

配給会社名 0025

解説


助けの来ない無人島に、
男23人と、たったひとりの女。
現代社会の縮図、
<東京島>で一体何が起こるのか?
“ココロ”も“カラダ”も解放される
サバイバル・エンタテインメント、上陸!

人間の欲望を駆り立てる島─
彼らはそこを〈東京島〉と呼んだ
 夫婦ふたり旅の途中で嵐に遭い、清子と隆は太平洋に浮かぶ無人島に漂着する。意外にもサバイバル能力を発揮する清子に対し、夫の隆は何の役にも立たず、日に日に衰弱していく。ある日、16人の若いフリーターの男たちが島に漂着。さらには密航に失敗した6人の中国人も加わり、若い23人の男たちと、女は清子ただ一人という奇妙な共同生活が始まった。いつまで経っても救助の船は来ず、彼らはこの島を〈東京島〉と名付けた。
 やがて隆が謎の死を遂げ、ただひとりの女性として女王のように君臨し始める清子。しかし楽園のような暮らしも長くは続かず、少しずつ島のバランスが崩れ始める。
争いを避け、島に安住しようとする日本の男たち。脱出計画を立てながらも生存能力を発揮する中国人たち。相容れない2つのグループの間を渡り歩き、本能にしたがい、何があろうと脱出しようと決意する清子。果たして、この<東京島>で何が起こるのか—。
 
変化することでしなやかに生き抜く〈明日のヒロイン〉と、仲間たちとつるんでソツなく生きる〈現代の若者たち〉
 夫に従う主婦、サバイバルに目覚める女、女を武器に男を利用する女–変わり続ける清子を演じるのは、『ぐるりのこと。』で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞した木村多江。一度は島の女王のごとく君臨した清子も、島の力関係の中でやがては凋落していく。それでも、次々と訪れるトラブルの波を、本能のままに泳ぎ抜く姿は、時にユーモラスでもありながら、潔くもすがすがしい。清子の力の源は、女であることを全面肯定する強さ。彼女の目的はただ一つ、「生きる」こと。生きるために、何があっても島を脱出すると決意した清子の最後のメタモルフォーゼは、観客の熱い賛同を得るに違いない。
 一方、日本人の男たちは東京島の各所に“シブヤ、ジュク、ブクロ”と名前を付け、地域に分かれて役割を分担する。居心地の良いコミュニティを作り、その中でのみ生きようとする、現代ニッポンの若者像がここにある。一人だけ異彩を放つのが、亀の甲羅を背負ったワタナベだ。清子の“天敵”で、急所を突いた罵詈雑言で彼女の狡さを暴く。窪塚洋介は、清子に次ぐ原作の人気キャラクターを、彼のアイデアによる数々のアドリブによって、映画オリジナルのワタナベ像に昇華させ、演技派俳優として見事な存在感を披露した。
 クジ引きで決めた清子の3番目の夫GMに扮するのは、「純情きらり」でブレイク後、『ALWAYS 続・三丁目の夕日』など話題作への出演が続く福士誠治。気弱な男が失った記憶と共に強気のリーダーシップを取り戻すという、変化に富んだ難しい役を演じ切った。その他、『空気人形』の柄本佑、『ヒートアイランド』の木村了、『パンドラの匣』の染谷将太など、注目の若手俳優が多数出演している。さらに、清子の最初の夫・隆役に鶴見辰吾が扮し、スクリーンに存在感を残した。
 
直木賞作家・桐野夏生のスキャンダラスなベストセラー小説を、
実力派監督が現代人のサバイバル・エンタテインメントとして映画化
桐野夏生の原作は、若さに満ち溢れた男たちと40代の女がひとり、無人島に流れ着くという逆ハーレム状態の設定がセンセーショナルな話題を呼び、ベストセラーを記録。極限状態の人間のダークな欲望を描いた原作を、生への希望に満ちたサバイバル・エンタテインメント作品に昇華させたのは、『おかえり』でベルリン国際映画祭最優秀新人監督賞を受賞し、国際的な脚光を浴びた篠崎誠監督。その後の『忘れられぬ人々』でも海外の映画祭で高く評価され、骨太のドラマからアート系作品まで、幅広く演出する実力派監督である。
 
2010年夏、“閉じた時代”を生き抜く現代人たちに、清子の台詞を贈りたい—
「何がハッピーエンドかは、自分で決めるわ」

ストーリー









私は生きる。
男たちはどうする。

男ひとり、女ひとり
「お前、変わったな」 — サバイバルに目覚めた女
 夫婦ふたり旅の途中で嵐に遭い、清子(木村多江)と隆(鶴見辰吾)は無人島に漂着する。東京では夫に従うだけの43歳、主婦・清子は、救助を待つ日々の中で、蛇を捕らえて食料にするなど、思いがけないサバイバル能力を発揮。一方、隆は小屋に閉じこもって心身ともに衰弱していき、何の役にも立たない。清子は、東京から持ってきた荷物の中で、一番いらないのは隆だったと気付く。

男16人、女ひとり 
「みんなが私を欲しがっている」 — 無人島の女王になった女
 ある日、16人の若い男たちが流れ着く。与那国島での厳しいバイトから逃げてきた、日本人のフリーター集団だ。彼らは島を「東京島」と名付け、“シブヤ、ブクロ、ジュク”などと集落を作り、共同生活を始めた。事故か自殺か、それとも誰かの仕業か、隆が崖から落ちて死亡。まもなく清子はカスカベ(山口龍人)と夫婦同然の暮らしを始める。男たちは島でたったひとりの女である清子を女王のように崇めるが、嫉妬深いカスカベは、彼らが清子に取り入ることを許さなかった。

男22人、女ひとり 
「犯人はこの中の誰か、かも?」 — 泣き崩れる不吉な女

 さらに、密航に失敗した6人の中国人たちが流れ着く。彼らは野生の豚を狩って解体するなど、日本人よりも遥かに逞しかった。清子はリーダー格のヤン(テイ龍進)に気に入られ、豚肉を分けてもらうが、カスカベは清子が身体と交換に肉を手に入れたと疑い、中国人を「ぶっ殺してやる」と乗り込んでいく。翌朝、崖の下でカスカベの死体が発見される。「中国人に殺られたのか」と怯える男たち。トーカイムラにひとりで住み、カスカベの支配下に入らなかったワタナベ(窪塚洋介)は、「犯人はこの中の誰か、かも?」と笑う。彼の死を境に、島のバランスは崩れ始めた。

男21人、女ひとり 
「清子さんの夫をクジ引きで」— 年下の男にときめく女 
 途方に暮れていた清子のもとに、オラガ(柄本佑)がやって来る。皆で話し合った結果、争いを避けるために、清子の夫をクジ引きで決めることにしたという。最初は嫌がっていた清子も、「私は東京島のトキ、絶滅寸前の天然記念物だから仕方ないのね」と了承する。クジ引きの日、清子はエルメスのスカーフで仕立てた大胆なビスチェをまとい花嫁気分で登場するが、夫に立候補したのは、たったの6人だった。そして、清子の3番目の夫に決定したGM(福士誠治)は、漂流時に記憶を失くしたという、謎めいた優しい男。そんなGMに母性本能をくすぐられ、いつになくときめきを感じてしまう。

東京人VS中国人 
「俺の女になるなら乗せてやる」 — 二股をかけるタフな女
 しかし清子は、ルールを作り、平穏に暮らそうとする東京人たちに苛立ちを感じていた。脱出計画をたてながらもたくましく生きる中国人に比べ、日本の若い男たちは平和ボケで酒浸り。やがて、小さなイカダ船を完成させたヤンは、「俺の女になるなら乗せてやる」と清子を誘う。一度は断った清子だが、島から出れば美味いものが食えるというヤンの言葉に、思わず船に飛び乗った。船に乗せてもらえなかったワタナベの悪態が、波にかき消される。「女なんかみんな死んじまえ!」

こんな<東京島>で、一体どうする、どうなる?

スタッフ

原作:桐野夏生「東京島」(新潮社 刊)
監督:篠崎誠
脚本:相沢友子
企画:鈴木律子
製作:宇野康秀、森恭一、伊藤嘉明、宮崎忠
プロデューサー:吉村知己、森恭一
プロデューサー補:新妻貴弘
撮影:芦澤明子(JSC)
照明:市川徳充
美術:金勝浩一
装飾:吉村昌悟
録音:滝澤修
コスチュームデザイン:勝俣淳子
ヘアメイク:徳田芳昌
編集:普嶋信一
音楽:大友良英
スクリプター:杉本友美
VFXスーパーバイザー:浅野秀二
音響効果:北田雅也
助監督:久保朝洋
制作担当:金子拓也
プロダクション・マネージャー:中村哲也
特別協力:エルメス
助成:文化芸術振興費助成金
製作:「東京島」フィルムパートナース
企画・制作プロダクション:ゼネラル・エンタテイメント&ユーズフィルム
配給:ギャガ

キャスト

木村多江
窪塚洋介
福士誠治
柄本佑
木村了
染谷将太
山口龍人
南好洋
結城貴史
清水優
阿部亮平
テイ龍進
趙民和
鶴見辰吾

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