バンク・ジョブ
原題:The Bank Job
2008年/イギリス/カラー/110分/PG-12 配給:ムービーアイ
2009年03月25日よりDVDリリース 2008年11月22日(土)より、シネマライズほか全国順次ロードショー
公開初日 2008/11/22
配給会社名 0366
解説
●封印された英国史上最大の銀行強盗事件—これは実話である。
●英国王室を震撼させたスキャンダル!衝撃のクライム・サスペンス、遂に解禁!
60年代スウィンギング・ロンドンの時代は終りを告げ、激動の70年代の幕開け—。ストライキ頻発、アイルランド紛争激化、といった騒然たる社会情勢の中、グラムロックの雄、T-レックスの“ゲット・イット・オン”がヒットチャートを賑わし、『時計じかけのオレンジ』の年末公開を控えた1971年ロンドン、英国全土を揺るがす一大事件が発生した—。
ベイカー・ストリートにある銀行の地下に強盗団が侵入、貸金庫内の数百万ポンドにも及ぶ現金と宝石類を強奪して行方をくらませたのだ。事件は数日間トップニュースとして報じられた後、しかし突如打ち切られた。それは英国政府からのD通告〈国防機密報道禁止令〉によるものだった。歴史上数回しか発令されたことのないこの完全な報道規制の裏には、英国政府がどうしても報じられてはならない秘密が隠されていた。その秘密とは、英国最大のタブー、王室スキャンダルだったのである・・・。
『バンク・ジョブ』は、現在では知る人も数少なくなったこの〈実話〉を、当時の関係者の証言を基に再現し、謎に満ちた事件の真相をリアリスティックに描いた衝撃のクライム・サスペンスだ。実行犯たちは、トンネルを掘って貸金庫内の金品を強奪したまでは良かったが、その中には英国王女のスキャンダル写真だけでなく、政府高官や裏社会の顔役、汚職警官らが預けていた公にできない“秘密”が山ほど隠されていたのだった。実はプロでもなんでもない寄せ集め集団だった7人の実行犯に、筋金入りのプロたちから容赦ない追手がかかる。一人、また一人と追い詰められていく犯人たちの運命は?そして奪われた“秘密”の行方は?犯人たちの命を賭けた駆け引きが始まった—。
主犯格のテリーにジェイソン・ステイサム。今やアクション大作の顔となった彼が、今回は派手なアクションを封印。妻子を愛するどこにでもいる中年男が、止むに止まれず犯罪に手を染めるこころの動き、また友を救うため必死に戦う姿は、ジェイソンがこれまで見せたことのない個性を見る者に強く印象づけるだろう。テリーを計画に誘うモデル、マルティーヌには『再会の街で』のサフロン・バロウズ。敵か味方か、その美しくミステリアスな存在感、60年代風ファッションの華やかな着こなしも見所の一つだ。その他『シリアナ』のリチャード・リンターン、『理想の女(ひと)』のスティーブン・キャンベル・ムーア、英国演劇界の重鎮デヴィッド・スーシェら、若手からベテランまで、その時代の空気を伝える登場人物を鮮やかに演じている。
監督は『世界最速のインディアン』が内外で高い評価を得たロジャー・ドナルドソン。多彩なキャラクターを描きわけながら、緩急自在にストーリーを進める語り口は、欧米の批評家たちから前作を上回る絶賛を集めている。関係者の証言を基に書き起こされた脚本は、60年代から現在まで活躍中のベテラン・コンビ、『アクロス・ザ・ユニバース』のディック・クレメントとイアン・ラ・フレネ。生粋の英国人ならではのユーモアや反権力志向を隠し味に、当時の社会や人々のありようを、その時代に生きてきた人間ならではの視点からリアルに捉えている。
つい最近、事件の関係者の関係者から、日本の配給会社に非公式に寄せられた情報によれば、『バンク・ジョブ』で描かれているエピソードは、当然映画的な脚色は施してあるものの、“9割が事実”とのことである。それを信じるか信じないかは見る者の自由だが、この映画が“強奪モノ”ジャンルの新たな規準点となる傑作となったことは間違いない。
ストーリー
1971年、イースト・ロンドン。テリー・レザー(ジェイソン・ステイサム)は、中古車屋を経営する中年男。かつて裏社会の片隅に身を置いた頃もあったが、嫁のウェンディ(キーリー・ホウズ)と2人の可愛い娘のため、今はカタギとなり細々と生計を立てていた。しかし経営は安定せず、借金取りに追いたてられる毎日—。そんなある日、昔浅からぬ付き合いのあったモデルのマルティーヌ(サフロン・バロウズ)から呼び出され、思いがけないハナシを持ちかけられた。ベイカー・ストリートの角にあるロイド銀行が、装置交換のために約一週間、警報が解除され無防備状態になるというのだ。大金が収められた銀行の地下貸金庫、強盗計画への誘惑—。“一生に一度のチャンスよ、逃しちゃだめ”と迫るマルティーヌを後に、テリーは“考えさせてくれ”と言い残し、店を出た。
実はこのハナシにはウラがあった。数週間前、モロッコ帰りのマルティーヌは、麻薬密輸がバレて空港税関で逮捕された。が、特務機関〈MI-5〉に属するティム・エヴェレット(リチャード・リンターン)の口利きで事なきを得た。その際ティムから出された条件が、この銀行強盗計画だった—。ロイド銀行には、マイケルⅩ(ピーター・デ・ジャージー)というエセ左翼黒人活動家でヤクの売人でもある悪党が、リゾート先で乱交していた英国王女マーガレットを隠し撮りし、写真を地下金庫に預けていた。マイケルⅩはその写真の存在をタテに政府を脅迫、ムショ送りを免れていた。ティムは、上司のアークハート(ピーター・ボウルズ)とリスル(アリステア・ペトリー)の命を受け、政府とは一切無関係なメンバーで銀行強盗を実行し、秘密裡に写真の奪取をマルティーヌに命じていたのだった。
そんな裏事情も知らず、テリーは計画実行を決意。自称カメラマンのケヴィン(スティーブン・キャンベル・ムーア)、映画エキストラのデイヴ(ダニエル・メイズ)といった友人たちに加え、詐欺師のガイ(ジェームズ・フォークナー)と掘削の専門家バンバス(アルキ・デヴィッド)、店の従業員のエディ(マイケル・ジブソン)、そしてマルティーヌの総勢7人の実行メンバーが集まった。一味はロイド銀行の二軒先のハンドバッグ屋〈ル・サック〉の内装工事を装い、店の地下から隣の〈チキン・イン〉の下をくぐり、ロイド銀行地下金庫室に向かって約12メートルの穴を掘り始めた…。銀行向かいのビル屋上から表を監視していたエディは、無線で現場に状況連絡をしていたが、その会話はアマチュア無線家に傍受されていた。強盗事件進行中の通報を受けた警察は、ロンドン中の銀行をしらみつぶしに調べたが、ちょうど日曜日の銀行はどこも時限錠が掛かっており、内部の確認が出来ない—。その裏でツキに恵まれた一味は、遂に金庫室内侵入に成功した。
写真横取りを企てていた〈MI-5〉の待ち伏せをかわし、アジトに戻った一味は、300万ポンド以上の現金、宝石類、金の延べ板を手にして狂喜する。しかし盗んだ獲物の中には、目的のスキャンダル写真以上に危険なブツが隠されていた。それはロンドン裏社会の顔役、ルー・ヴォーゲル(デヴィッド・スーシェ)が記した汚職警官への贈賄記録、〈MI-5〉高官と下院議員のSMクラブでの隠し撮り写真だった—。D通告〈国防機密報道禁止令〉が発令され、事件に関するマスコミ報道が一切禁止された裏で、何としてもブツを隠滅しようとするマフィア、政府高官、警察と、実行犯たちとの壮烈な駆け引きが開始された。テリーたちは、この容赦ない追跡から逃れることが出来るのか!?
スタッフ
監督:ロジャー・ドナルドソン
脚本:ディック・クレメント、イアン・ラ・フレネ
製作:チャールズ・ローヴェン、スティーヴ・チャスマン
キャスト
ジェイソン・ステイサム
サフロン・バロウズ
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