原題:SAVAGE GRACE

2007年 第60回 カンヌ国際映画祭 監督週間正式出品 2008年 第27回 サンダンス映画祭 プレミア部門正式出品 2007年 第51回 ロンドン映画祭正式出品 2007年 第18回 ストックホルム国際映画祭正式出品 2007年 第42回 カルロヴィヴァリ国際映画祭正式出品 2007年 第56回 メルボルン国際映画祭正式出品 2007年 第22回 ハンブルグ映画祭正式出品 2007年 第 3回 チューリヒ映画祭正式出品 2007年 第45回 ウィーン国際映画祭正式出品 2007年 第 4回 レイキャビク国際映画祭正式出品

2007年/スペイン=フランス=アメリカ/カラー/97分/(R-18) 配給:アスミック・エース

2008年、6月7日(土)よりBunkamura ル・シネマほか全国順次ロードショー

(c)Lace Curtain, Monfort Producciones and Celluloid Dreams Production 

公開初日 2008/06/07

配給会社名 0007

解説



なぜ、母は息子に殺されたのか?
華麗なるベークランド家の仮面が、今はがされる。
実在の事件を完全映画化した衝撃作!
「僕は、母を殺した」。 時代の闇に埋もれた衝撃のスキャンダル!

2007年第60回カンヌ国際映画祭監督週間で上映され、スキャンダラスな内容で賛否両論を巻き起こした衝撃作、『美しすぎる母』。幸せを求め、一代で富を築いた大富豪ベークランド家に嫁ぎ、愛する息子に殺された実在の女性、バーバラ・ベークランド。なぜ、彼女は息子に殺されたのか?
実在の事件を基に執筆された原作「SAVAGE GRACE」(直訳「野蛮な優美さ」)は、1985年に出版され数々の賞に輝いた話題作。本作は、『恍惚』の奇才トム・ケイリンがその原作を艶やかに映画化した衝撃作である。主演は数々の賞に輝く演技派スター、ジュリアン・ムーア。実在したバーバラを妖艶な魅力で演じて見るものを魅了する。また、バーバラの息子、端正で美しいアントニーに大抜擢となった新鋭エディ・レッドメイン。二人の迫真の演技が時代に埋もれた衝撃のスキャンダルを浮き彫りにしていく。母と息子の悲劇が、いま明らかになる。

事件は、1972年11月17日イギリスのロンドンで起こった

貧しい家庭で育ったバーバラは、大富豪ベークランド家の跡継ぎであるブルックスと結婚する。一人息子のアントニーを授かり、憧れの上流階級での幸せを実感する日々。冨と名声、そして理想の家族。彼女はすべてを手に入れ、社交界を優雅に渡り歩いているかに見えた。
だが数年後、夫のブルックスは若く美しい女と住むために、バーバラから離れてゆく。 居場所をなくしたバーバラはアントニーとともに、あてなく彷徨う。ニューヨーク、パリ、カダケス、マジョルカ、そしてロンドン。世間から取り残された母子だけの生活。何かが少しずつ確実に狂い始め、幸せだった彼女の人生は残酷に堕ちて行く。彼女のドラマは、避けようのない衝撃的なエンディングへと向かっていく・・・。

バーバラ・ベークランド、その鮮烈なる悲劇

貧しい家庭に育ち、いつかそこから抜け出すことだけを考えて育った娘、バーバラ・べークランド。夢に見た幸せを手に入れた彼女はその絶頂で上流社会のセレブな日々を楽しく泳ぎ暮らす。優雅な佇まい、美しい容姿から漂うカリスマ性、しかし優美な外見の下には、生来の野蛮さが隠されている。
やがて、夫が家族を捨て、母子の二人だけの日々となる。愛の対象であった夫を無くして、バーバラの愛はアントニーへの比重を少しずつ強めていく。息子アントニーも父の代わりに母を愛し、守ろうと強く意識していく。様々な観光地や都市を渡り歩きながら、確実に掛け違っていく二人の感情と崩れていく日常。小さな感情の綻びはやがて亀裂となり、埋めることの出来ない大きな溝へと育っていく。
映画は、母子の会話、他人とのコミュニケーションを介しての母子の行き違い、すれ違う視線などを駆使して、感情の綻びを息子の視点で丹念に織り込んでいく。ベークランド家の中では何が育っていったのだろうか? なぜ、母は息子に殺されなければならなかったのか? 感情のサスペンスが最高潮となった衝撃のラスト。観客は事件の目撃者としてバーバラに起きた悲劇を、どう受け止めるのだろうか?

タブーに挑んだジュリアン・ムーア×新鋭エディ・レッドメイン

バーバラを演じるのは数々の賞を受賞している名女優ジュリアン・ムーア。時には美しすぎるエレガントさ、時には狂気とも映る強い感情。原題の”野蛮な優美さ”のままに、バーバラの30年にも亘る人生を、揺れ動く感情、艶っぽい色気と妖しさ、見るものをゾクゾクさせるスリリングな演技で見事に表現している。まさに、ジュリアンなくして本作は成立し得なかっただろう。
物語の鍵を握る、美しい息子アントニーには期待の新鋭エディ・レッドメイン。母の愛に圧され揺れ動く息子を儚げなルックスで切なく、哀しく魅せてくれる。また、バーバラの夫、ブルックスに『めぐりあう時間たち』のステーヴン・ディレイン。ブルックスの愛人ブランカに『トーク・トゥ・ハー』などで活躍するスペイン期待の花エレナ・アナヤ。バーバラの友人サムに『キング・アーサー』のヒュー・ダンシーと豪華な共演陣が映画に厚みを与えている。

奇才トム・ケイリンが描く優美さと暴力性

監督はデビュー作『恍惚』がサンダンス映画祭を熱狂させ、数々の賞に輝いたトム・ケイリン。原作の持つ優美さと暴力性という相反する組み合わせ、その悲劇的な美しさを最高の演技陣を活かして繊細に構築。長期にわたる事件の調査を取り込んだハワード・A・ロッドマンの脚本を、サスペンスフルに交錯していく感情を密度濃く描いた一級の人間ドラマへと昇華させている。時代性を基調にしながらも現代的に表現された衣裳の数々をガブリエラ・サラヴェッリが担当。キャラクターの内面をオートクチュール衣裳で反映させたディディエ・リュド。二人が衣裳を通して表現した社会的栄誉と豪華絢爛たるセレブ生活。これも作品の見逃せないポイントの一つである。

ストーリー




1972年11月17日、ロンドン。
バーバラ・ベークランドは誰よりも愛する息子に殺された・・・

誰の眼も惹く美しい容姿、明るく温和な性格を持ち、天性の社交家であったバーバラは、大富豪ベークランド家の跡取りのブルックスと結婚し、貧しい生活から抜け出した。毎日ように社交会を渡り歩いてはその人脈を広げ、華やかで刺激的な上流社会の生活を謳歌していたバーバラは、ブルックスとの間に待望の息子アントニーを授かり、アントニーは可愛らしくすくすくと成長していく。

1967年、ベークランド家は多くの芸術家が好んで暮した地中海の港町、スペインのカダケスに住まいを移していた。海辺で煙草をくゆらしては、眼についた女性に声をかけ、気の合う仲間とふざけあうアントニーの姿は、とても魅力的である。そしてカダケスの海辺にあるレストランで会話をするベークランド家の姿は、一見、仲睦まじくきらびやかな家族であった。
しかし、アントニーはバーバラの上流志向に嫌悪感を表し始め、ブルックスはバーバラに冷たい視線を送る・・・幸せだったはずのバーバラの人生、ベークランド家の家族の絆は、すでに綻び始めていた・・・

1968年、バーバラは知り合いのジェイクを迎えるためマジョルカ空港にいた。
しかしそこで彼女は衝撃的な光景を目にする。
なぜか空港にいるブルックス・・・その横にいたのはブランカ、アントニーの彼女であるはずの女性・・・。
取り乱し、心の底からの罵声を2人に浴びせ、泣き崩れるバーバラ。
心の拠り所を失ったバーバラは、パトロンのサムとの心ない情事、自殺未遂と、可憐だった面影はなく、地に堕ち始める。

いつしかバーバラは自分の元に唯一残された、美しく愛おしい息子のアントニーへの依存を高め始める。
戸惑いを見せるアントニー、崩れゆくバーバラ。狂おしくもつれ合う二人を待ち受ける運命とは・・・。
何故、バーバラは愛する息子に殺されたのか?

スタッフ

監督:トム・ケイリン
脚本:ハワード・A・ロッドマン
原作:"Savage Grace" ナタリー・ロビンズ、スティーヴン・M・L・アロンソン
撮影:フアン・ミゲル・アスピロス
プロダクション・デザイン:ビクトル・モレロ
編集:トム・ケイリン、ジョン・F・ライアンズ、エナラ・ゴイコチェア
衣装デザイン:ガブリエラ・サラヴェッリ

キャスト

ジュリアン・ムーア
スティーヴン・ディレイン
エディ・レッドメイン
エレナ・アナヤ
ウナックス・ウガルデ
ベレン・ルエダ
ヒュー・ダンシー

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