ブラック・スネーク・モーン
原題:Black Snake Moan
衝撃的な"愛"のカタチ ─あなたのハートを監禁する─
2007/03/02
2007年/アメリカ/パラマウント・ヴァンテージ映画/上映時間:1時間55分/ シネマスコープ/DTS・SRD・SR/7巻 /10,386ft/3,116m/ 翻訳:風間稜平 配給:UIP
2008年01月11日よりDVDリリース 2007年9月1日(土)より渋谷シネ・アミューズにてロードショー
公開初日 2007/09/01
配給会社名 0081
解説
男は、以前バーでブルースを演奏していたものの、現在は農業を営み、まっとうな生活を送るラザラス。彼が築き上げたささやかな幸せは、妻から突然別れを告げられることによって音をたてて崩れ去る。女は、幼少時代に受けた性的虐待の影響でセックス依存症となってしまったレイ。愛する恋人が入隊のため去った夜にはもう、行きずりの温もりを求めて町を彷徨う。そんな立場も年齢も肌の色も異なるふたりの運命は、一本の鎖と魂から奏でられる音楽によって固く結ばれる。それは傷ついたふたりにとって、本当の自分を取り戻すための過酷な戦いの始まりを意味していたのだった——。
ここに、誰も観たことのない“愛”の映画が誕生した。アメリカ南部の田舎町を舞台に、ブルースマンだった初老の黒人と、誰とでも寝る若い女の心の交流を描いた、あまりにも壮絶な物語。ラザラスは道に倒れていたレイを連れ帰り、彼女の心の闇が消え去るまで鎖でつなぎとめることを決心する。最初は抵抗し、自由を求めて逃げ出そうとするレイ。しかし次第にこの奇妙な関係の中で変わっていく自分に気づき、ラザラスもまた自らの奥底に眠る情熱を甦らせてゆく。そして互いの傷が癒えたとき、レイは呪われた過去とはじめて向き合い、ラザラスは封印したギターを手に再びステージに立つ。冒頭とラスト近くに伝説のブルースマン、サン・ハウスの貴重な映像が挿入される。そこで彼はこう語る——「ブルースは、男女のもつれから生まれるのだ」。『ブラック・スネーク・モーン』は、ブルースの魂をそのままフィルムに焼き付けたかのような荒々しさと神々しさに満ち溢れており、観る者のハートを確実にノックアウトすることだろう。
主演のラザラスに『パルプ・フィクション』(94)でブレイク後、『ダイ・ハード3』(95)『スネーク・フライト』(06)をはじめ出演作が軒並み大ヒットを記録、今やハリウッドを代表するスターとなったサミュエル・L・ジャクソン。信仰厚く、包容力のある優しい性格の裏に揺るぎがたい信念を持つ男を圧倒的な存在感で演じきる。さらに全編に渡って渋い歌声とギターでブルースの名曲を披露、プロも驚くほどの腕前を堪能できる。町一番のアバズレ、レイに『バッファロー’66』(98)『スリーピー・ホロウ』(99)のクリスティーナ・リッチ。あどけなさを残しながらもセクシャルな魅力を存分に発揮、文字通り体当たりの熱演で観客の度肝を抜く。そんなレイの恋人であり、自らも心の病いを抱えて苦悩するロニーに『シュレック3』(07)のジャスティン・ティンバーレイク。もはや「イン・シンク」のメンバーとしてティーンのアイドルだった頃の面影は影を潜め、愛する女性への想いと不信感との板ばさみになる繊細な青年という難しい役どころを見事にこなした。
監督・脚本は『ハッスル&フロウ』(05)で夢を諦めないラッパーの生き様を描き、世界中から絶賛されたクレイグ・ブリュワー。前作のヒップ・ホップに続き今回はブルースをモチーフに、ストーリーテラーとしての確かな才能と骨太な演出力を示し、若くして巨匠の風格を漂わせる。プロデューサーには『シャフト』(00)『フォー・ブラザーズ/狼たちの誓い』(05)の監督として知られるジョン・シングルトンとステファニー・アレインが『ハッスル&フロウ』に続き名を連ねている他、撮影のアメリア・ヴィンセント、編集のビリー・フォックス、音楽のスコット・ボマーら同じく『ハッスル&フロウ』組がブリュワーを強力にサポートする。
ストーリー
アメリカ南部の片田舎に住むラザラス(サミュエル・L・ジャクソン)は、場末の店で演奏するブルース・ミュージシャンだったが、荒んだ生活を一新、現在は畑仕事に精を出し、毎週教会に通う日々を送っていた。しかし愛する妻が自分の弟と関係を持ち去っていったことに絶望し、しまい込んだギターを再び手にする。
ある朝、ラザラスは道端で半裸のまま血だらけで倒れている若い女を拾う。彼女は男と見れば誰とでも寝てしまうレイ(クリスティーナ・リッチ)。幼少時代に受けた虐待の影響でセックス依存症となっていたレイは、恋人のロニー(ジャスティン・ティンバーレイク)が新兵訓練所へと向かった夜、孤独に耐え切れずにパーティーでドラッグに溺れ、ロニーの友人のギルを侮辱、殴られて車から突き落とされたのだ。
訳の分からぬままレイを家に連れて帰り、薬を与えて看病するラザラス。意識が朦朧としながらも汚い言葉を吐き、恋人の名を呼んで外へ飛び出していくレイを優しく抱いて家へ連れ戻したラザラスは、計り知れない彼女の心の闇を察し、逃げ出さないように太い鎖を腰に巻く。献身的な看病の結果、レイは2日後にやっと目覚めた。見知らぬ黒人の顔と腰に巻かれた鎖を見た彼女はラザラスを罵倒するが、彼はレイの忌まわしい部分を治すことは神によって自分に与えられた使命なのだと告げる。
その日からふたりの戦いが始まった。脚が弱らないよう散歩をさせ、上品な衣類を買い揃えて“治療”に専念するラザラスをレイは誘惑するものの、彼の信念は全く揺らぐことはない。連絡のとれなくなったラザラスを心配して牧師のRLが家に訪ねてきたときも、親友でもあるRLにのみ真実を語り、協力を申し出てレイに引き合わせ“治療”を続行させる。
少しずつレイに変化が見られてきた頃、重度の不安症と診断されたロニーが除隊されて町に帰ってきた。しかし家にはレイの姿が見当たらないばかりか、ギルからレイの今までの行いを聞かされて逆上したロニーは、銃を手にギルの車を奪って恋人を探しにいく。そんなことを知る由もないラザラスは鎖を解き、“治療”の最終段階へと取り掛かる。レイに最も必要なのは恋人のロニーなのだということに思い当たった彼は、自分にとって何が必要なのかにも気づく。そんな中、ついにロニーはレイの居場所を突き止めたのだった——。
スタッフ
監督&脚本/クレイグ・ブリュワー
製作/ジョン・シングルトン
ステファニー・アレイン
製作総指揮/ロン・シュミット
撮影/アメリア・ヴィンセント
音楽/スコット・ボマー
編集/ビリー・フォックス
キャスト
ラザラス/サミュエル・L・ジャクソン
レイ/クリスティーナ・リッチ
ロニー/ジャスティン・ティンバーレイク
アンジェラ/S・エパーサ・マーカーソン
R.L.牧師/ジョン・コスランJr.
ギル/マイケル・レイモンド・ジェームズ
サンディ/キム・リチャーズ
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