原題:Freedom Writers

ありがとう。エリン先生。書くことで僕らは救われた。

2007年1月5日全米公開

2007年 パラマウント映画/上映時間123分/ヴィスタサイズ/ ドルビーDTS,SRD,SDDS,SR/Deluxeカラー/5巻 11,050ft 3,368m/ 字幕翻訳:岡田壮平 配給:UIP映画

2007年11月02日よりDVDリリース 2007年7月21日(土)よりシャンテ シネ他全国ロードショー

(C)2006 Paramount Pictures. All rights reserved.RVED

公開初日 2007/07/21

配給会社名 0081

解説


それは、一人の新米教師と一冊のノートが起こした奇跡の物語。

 人は、人生を変える”師”と何人出逢う事が出来るだろう。小学生の頃から節目々で良き師と出逢い、導かれて来た幸運な人。生涯、”師”と呼べる人と出逢えず、人生に不平と不満を募らせる人、様々だ。この映画の主人公ウィルソン高校203教室の生徒達はエリン・グルーウェルという若く経験も無い、しかし情熱だけは人一倍熱い、たった一人の英語教師によって人生を取り戻すきっかけを掴む。そう、幸運にも・・・・

 物語は1994年、ロス暴動直後のロサンゼルス郊外、人種が激しく対立し、ドラッグとナイフと銃がはびこる、ウィルソン公立高校で始まる。低所得者層の多いこの地域では、貧困による憎悪と犯罪の中、15歳にして出口のない日々を送る子供たちは、卒業まで”生きて”いられれば、それで十分と思っていた。荒れ果てた教室では授業もままならず、ほとんどの教師たちは彼らを見捨てていた。しかし、エリンだけが彼らを信じ、彼らに未来の扉を開く鍵を与える。
 それは・・・書くこと。
 彼女は、お互いを知ろうともせず憎しみあうだけの生徒たち全員に、自費でノートを買い与え、自分たちの本当の気持ちを書くように諭す。最初はバカにして抵抗する生徒たち。しかし、想いを綴ることは自分と向き合うこと–次第に荒れた教室に変化が生まれていく。ギャング抗争に明け暮れていた彼らは、お互いを知り、理解するようになり、やがて、知ることを通じて大きな夢を抱くようになっていく…。1冊のノートと、そして教師の全身全霊の愛が、多くの生徒を救ったのだ。

 本作はアメリカの心を揺さぶった、実在の英語教師エリン・グルーウェルと、ウィルソン高校の生徒たちによる同名の原作]フリーダム・ライターズ]を基にしている。ロサンゼルス暴動後、学校の荒廃が限界にまで達する中、”書くこと”で犯罪と貧困のスパイラルから抜け出した生徒たちの記録は、1999年の出版以来NYタイムズベストセラーにランク・イン。様々なメディアで取り上げられ、原作に惚れ込んだリチャード・ラグラヴェネーズの手によって遂に映画化が実現した。主人公エリンを演じるのは、2度のアカデミー主演女優賞に輝くヒラリー・スワンク。これまで演じてきた芯の強い女性(生徒たちに全身全霊で愛情を捧げ、彼らを社会科見学に連れていくために先生の他にアルバイトを2つもする)でありながら、夫や父親との関係では悩みを抱える”脆さ”をも繊細に演じ、新境地を開拓。スワンクはエリンに惚れこみ、本作の製作総指揮も務めている。彼女と対立する主任教師役には、『ヴェラ・ドレイク』でスワンクとオスカーを争った英国の名女優イメルダ・スタウントン。さらに父親にはスコット・グレン、夫役にパトリック・デンプシーと、錚々たる演技派が脇を固めている。また、問題を抱える生徒役に人気シンガーのマリオら実力派の若手が顔を揃えただけでなく、実際の高校生たちが等身大の自分を演じているのも興味深い。監督、脚本は、『フィッシャー・キング』でオスカー脚本賞候補となったリチャード・ラグラヴェネーズ。『マディソン郡の橋』『モンタナの風に抱かれて』等原作モノの見事な脚本化で知られる彼だけに、今回も原作の”素晴らしさ”を余すところ無く引き出している。製作はダニー・デビートを始めとする『エリン・ブロコビッチ』のプロデューサー陣が勢ぞろい。女性なら誰しも感情移入してしまう事だろう。

 書くこと。それは心を開くこと。そして、心を繋げること。それこそが、人間関係の第一歩であることを本作『フリーダム・ライターズ』は気付かせてくれる。過酷な生活環境の中でなお、”変わる勇気”を持つことの素晴らしさを伝える爽やかな感動作が誕生した。

ストーリー


銃の替わりにペンを持ったとき、未来は僕らのものになった。

 ロス暴動から2年後の1994年、ロサンゼルス郡ロングビーチ。
 様々な人種が通うウィルソン高校では、登校も下校も命がけだ。カリフォルニアの青い空など、見上げている余裕はない。「ロングビーチでは肌の色がすべて。浅黒いか、黄色か、黒か。一歩外に出たら戦場なの」学校に着いても問題は同じ。みな肌の色ごとに徒党を組み、人種間の憎しみをむき出しにする。バッグには銃かナイフ。誰もが18歳まで生きられれば、十分だと思っていた。

 そんな203教室に理想に燃えた国語教師がやって来る。彼女の名はエリン・グルーウェル、23歳。弁護士になるはずが、「法廷で子供を弁護するのでは遅過ぎる。教室で子供を救うべきだ」と教師になった変り種だ。しかし支配階級である白人の女教師など、生徒たちには別世界の住人でしかない。彼らの拒絶にショックを受けつつも、エリンは夫スコット(パトリック・デンプシー)に支えられ、詩の教材にラップを取り入れるなど努力を重ねていく。ある日の授業中、ラティーノのティコ(ガブリエル・チャヴァリア)が黒人のジャマル(ディーンス・ワイアット)を馬鹿にした絵を描いた。「こんな絵を博物館で見たことがあるわ。黒人とユダヤ人は下等だとね」–エリンは、第二次大戦のホロコーストがこうした差別から生まれたことを説明する。だが驚いたことに、生徒たちはホロコーストも、]アンネの日記]のことも知らなかった。銃で狙われた経験はあるというのに・・・。教育の大切さを改めて実感したエリンは、教材として]アンネの日記]を読ませようとするが、キャンベル教科長(イメルダ・スタウントン)に予算の無駄だと拒絶されてしまう。「あの子たちに知的興味を持たせるなんて無理よ」

 次の授業で203教室に配られたのは、日記帳だった。「今思うこと、未来のこと、過去のこと。何でもいいから毎日書いて。そして読んでほしいときは棚に入れて」─最初に日記を書いたのは、おとなしいブランディーだった。徐々に、生徒たちは日記帳に本音を綴るようになってくる。「16歳で葬儀屋より多くの死体を見た」「難民キャンプで父は人が変わった。母や私を傷つけるようになった」「俺のダチはストリートの兵士だ」「銃を突きつけられると体が震える」── 生々しい言葉の数々。兄は服役中で、母からも見放されているマーカス。カンボジア移民のシンディ。誰もが出口のない日々を送っていた。彼らの言葉に心揺さぶられたエリンは、本を買ってあげたい、とデパートでパートを始め、さらに週末はホテルでも働き始める。

 数週間後、エリンはパートで貯めたお金で生徒全員をホロコースト博物館へと連れて行く。父スティーブ(スコット・グレン)も渋々ながら運転手役を務めてくれた。ホロコーストの生存者に対面した生徒たちは、生への、そして知への欲求を高めていく。「彼らのことを忘れない。すべてミスGのおかげだ」

 夏休みがあけ、全員がなんとか2年生に進級。目立たなかったミゲル(アントニオ・ガルシア)が、日記を朗読する。貧しいミゲル母子はアパートから追い出されていた。「家もお金もないのに、なぜ学校へ行くのか? 服もボロボロで笑われると思ったけど、クラスのみんながいると気づいた。そしてグルーウェル先生が希望を与えてくれた。ここが僕の家なんだ」203教室が一つになった瞬間だった。だがエリンの熱意が高じるにつれ、キャンベル先生ら学校側との対立が深まり、スコットとも距離が生じていく。さらにはコンビニ銃撃事件で、エバが目撃者となり黒人生徒のグラントが逮捕されてしまう。だが服役中の父親の言いつけで、エバは仲間をかばっていた。「重荷は全部私が背負うの…?」逆風が吹く中、203教室の生徒たちとエリンは、無事卒業の日を迎えることが出来るのだろうか。

スタッフ

監督:リチャード・ラグラヴェネーズ
製作:ダニー・デヴィート
   マイケル・シャンバーグ
   ステイシー・シェア
製作総指揮:ヒラリー・スワンク
脚本:リチャード・ラグラヴェネーズ
撮影:ジム・デノールト
音楽:マーク・アイシャム
   RZA

キャスト

ヒラリー・スワンク
パトリック・デンプシー
スコット・グレン
イメルダ・スタウントン
マリオ

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