2007年/日本/カラー/104分/ 配給:東京テアトル、オフィス北野

2007年11月11日よりDVDリリース 2007年6月2日より銀座テアトルシネマ、シネセゾン渋谷、池袋シネマロサ 2007年6月1日よりキタノ・タイムズスクエアほか全国にて公開 (※6/1〜6/3までは劇場名が変更↑になります。6/4〜は「テアトルタイムズスクエア」です)

©2007 バンダイビジュアル・TOKYO FM・電通・テレビ朝日/オフィス北野

公開初日 2007/06/01

配給会社名 0049/0020

解説



カンヌやべネチアなどの映画祭を制した“世界のキタノ”こと北野武監督。強烈な作家性と唯一無二の美意識に彩られた多くの傑作を生み出し、前人未到の境地をひた走る彼の13作目の監督作が到着した。全世界が注目する最新作とはーーなんと、すべてのエンターテインメントを網羅した壮大なる映画、その名も『監督・ばんざい!』!!!タイトルからしてこの作品、主人公はタイトルよろしく、とある“おバカ”な映画監督である。

物語はギャング映画がお得意のキタノ・タケシ監督(ビートたけし)が自ら暴力映画封印宣言をしたことから始まる。なんとかヒット作を!という使命を背負い、あらゆるジャンルの作品を手がけるキタノ監督。どれもこれもギャング映画専門監督とは思えない出色の出来なのだが、ぶっとびすぎて完成は程遠い。追い詰められたキタノ監督は、ついに詐欺師の母娘と実直な男を主人公にした映画の撮影に漕ぎ着けるものの、その先には誰も予想の出来ない運命が待ち受けていた・・・と、全てにおいて唖然とする内容。畳み掛けるように繰り広げられる笑撃のエピソード、現在の日本映画界を極端にデフォルメした設定、一癖も二癖もあるどころか癖だらけの登場人物たち、そしてあらゆる映画を凌駕する、あっと驚く究極のラストまで、世界中がずっこけること間違いなし!笑いと驚喜に満ちた百花繚乱のウルトラ・バラエティ・ムービーなのだ。しかも単に面白さを詰め込んだだけで終わらないのが、この映画の凄いところ。タイトルからも分かる通り、これは北野監督の映画への想いが、最も純粋な形で爆発した愛すべき作品でもある。恥ずかしながら“北野武から映画へのラブレター”。ぶちまけられたギャグに爆笑し、驚愕のクライマックスに慄きながらも、全編を覆う映画への愛によって、観る者はいつしか幸福感に満たされていくこと必至。既存の映画をぶち壊していく中で、実は映画の可能性に賭ける北野監督の試みが常に進化し続けていることに気づくと同時に、この奇想天外な世界にどっぷりはまってしまうことだろう。

またストーリーに負けず劣らず凄いのが豪華な役者陣。岸本加世子、大杉漣、寺島進、渡辺哲といったいつもの“北野組”に加え、あまりに胡散臭い政財界の大物に扮する江守徹が、役者生命を絶たれるスレスレの怪演で度肝を抜けば、詐欺師の娘役の鈴木杏が暴走しまくる。さらには吉行和子、宝田明、藤田弓子、内田有紀、木村佳乃、松坂慶子といった、それだけで何本も映画が撮れてしまうよう名優たちがヴォルテージ上がりっぱなしの演技を披露、本作への出演を心底楽しんでいるのが分かる。また音楽は『影武者』などの黒澤明作品や今村昌平作品で知られる大御所、池辺晋一郎が担当。この絶妙なミスマッチが、さらなる快感を呼ぶ。

 カンヌ国際映画祭60回記念企画「To Each His Own Cinema」にて「世界の映画監督35人」に日本人で唯一で選ばれるという名誉を授かった北野監督が撮った壮大なる“おバカ”な<映画賛歌>。彼はこの作品を「映画ファン必見の映画である」と高らかに宣言した。世界で一番の映画ファンがそう言うのだから、この言葉は正しいのだ。映画なんて楽しまなきゃ損。笑って!驚いて!、みんなで“ツッコミ”入れつつご覧いただくのが正しい鑑賞法。いざ北野武版<不思議の国のアリス>もとい<北野ランド>へ!!

ストーリー

 “おバカ”な映画監督キタノ・タケシ(ビートたけし)は、次に撮る映画の内容で珍しく悩んでいた。彼のこれまでの代表作で最も得意とするのはギャング映画だったが、あろうことか「暴力映画は二度と撮らない!」と宣言してしまったのだ。後悔先に立たず!今度ばかりは心底参ってしまった。とはいえ、ヒット作を世に送り出そうと、これまで手のつけてこなかったタイプの映画に片っ端から挑戦してみることに。まずは海外の映画祭に受けそうな<小津安二郎風人情劇>。しかし今のご時勢、平凡な庶民の幸福をのんびり描く映画に客が入るわけがない。それじゃブームに便乗してノスタルジー溢れる<昭和30年代映画>。ちょうどおいらの生まれ育った時代だし、誰よりもうまく料理できるはず!・・・なんて思ったのも束の間、リアリティーがあり過ぎて、暴力映画よりもひどい話になってしまった。これもダメ。じゃあハリウッド・リメイクを期待した<ホラー映画>、お涙頂戴の<ラブ・ストーリー>、殺陣・ワイヤーアクション全開の<時代劇>、さらには<SFスペクタクル>はどうだ!しかしことごとく“ありえない?!”理由で中断してしまう。ああ、しょせんおいらは才能に見放された哀れなダメ監督か・・・。お先真っ暗、しかし追いつめられた監督は、“映画を愛する”全人類に向けて「これでも食らえ!」とばかり閃いた1本の映画にとりかかることにしたーー。

金儲けのためなら何でもやる、ワル知恵だけが頼りのセコいがドジなサギ師の母(岸本加世子)とその娘(鈴木杏)。2人が目をつけたのは、政財界の大物・東大泉(江守徹)・・・のご子息らしき学生服の男。財産目当てにその男に娘を嫁がせようと目論んだのだが、実はこの男、東大泉に30年以上遣える生真面目な秘書、吉祥寺太(ビートたけし)。しかも実は貧乏な家のこせがれだった・・・。

 そこから始まり、次々とめまぐるしく展開するあまりにも予測不可能な、空前絶後のストーリーに映画の神様もあきれ果て、ついには怒ったのかも知れない。地球には天地をひっくり返す、人類史上かつてない大異変が起きようとしていたのであった!

スタッフ

監督・脚本・編集:北野 武 
音楽:池辺晋一郎
撮影:柳島克己 
照明:高屋 齋 
美術:磯田典宏 
録音:堀内戦治 
助監督:松川嵩史 
編集:太田義則 
記録:吉田久美子 
キャスティング:吉川威史 
製作担当:森 徹 
VFXスーパーバイザー:貞原能文 
音響効果:柴崎憲治 
装飾:尾関龍生 
衣裳:岩崎文男 
ヘアメイク:細川昌子 
製作主任:萩原 満 
ライン・プロデューサー:小宮慎二 
プロデューサー:森 昌行・吉田多喜男

協力: 全日空
サウンドトラック:ドリーミュージック
製作:バンダイビジュアル・TOKYO FM・電通・テレビ朝日/オフィス北野
配給:東京テアトル/オフィス北野

キャスト

ビートたけし
江守 徹 
岸本加世子 
鈴木 杏 
吉行和子 
宝田 明 
藤田弓子 
内田有紀 
木村佳乃 
松坂慶子
大杉 漣 
寺島 進 
六平直政 
渡辺 哲 
井手らっきょ 
モロ師岡 
菅田 俊 
石橋 保 
蝶野正洋 
天山広吉  
ナレーション:伊武雅刀

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