原題:SAKEBI - Retribution

“忘れ去られた過去”の恐怖

第7回 東京フィルメックス正式出品作品 ヴェネチア国際映画祭2006正式出品作品

2006年/日本映画/カラー/35mm/ヴィスタサイズ/DTS/104分 配給:ザナドゥー、エイベックス・エンタテインメント、ファントム・フィルム

2007年08月01日よりDVDリリース 2007年08月01日よりDVDリリース シネセゾン渋谷・新宿武蔵野館ほかにて全国公開中

(C)2006「叫」製作委員会

公開初日 2007/02/24

配給会社名 0103/0316

解説


97年の『CURE キュア』がロッテルダム国際映画祭に出品されたのを皮切りに、『ニンゲン合格』(99):ベルリン国際映画祭フォーラム部門正式出品、『大いなる幻影』(99):ヴェネチア国際映画祭招待作品、『カリスマ』(00):カンヌ国際映画祭監督週間正式出品作品、『回路』(01):カンヌ国際映画祭ある視点正式出品作品、『アカルイミライ』(03):カンヌ国際映画祭コンペティション正式出品作品、『ドッペルゲンガー』(03):プサン国際映画祭オープニング作品、『LOFT ロフト』(06):プサン国際映画祭出品作品と、送り出す作品が全て世界各国の映画祭で話題を呼び、世界の”クロサワ”として映画ファンを虜にしている黒沢清監督の最新作が本作『叫(さけび)』である。

本作『叫(さけび)』は、これまでサスペンス、ホラーといった数々の恐怖映画を世に送り出してきた黒沢監督が、今までの作品とは全く違うアプローチで初めて本格的なミステリーに取り組んだ意欲作。人間誰しもが気づかぬうちに犯している罪や見捨てようとしている過去が恐怖となって人々に復讐をするという大きなテーマを、黒沢監督ならではの精緻でレトリックな手法で展開する。日本の”怪談”にも通ずる古典的な恐怖と連続殺人事件を追い、罪を裁くはずの刑事が罪を結果的に背負うことになるという宿命的な物語を巧妙に組み合わせ、謎が謎を呼ぶ緻密な物語として完成させた。また本作は、『リング』『呪怨』シリーズをはじめとするホラー映画ブームの仕掛け人であり、国際的に活躍する一瀬隆重プロデューサーが黒沢監督と初めてとタッグを組んだというのも話題。すでにアメリカをはじめ、全世界での配給も決定している。また本年度ヴェネチア国際映画祭にも正式招待され、絶賛を浴びた。

主演は黒沢監督作品7作目の出演となる役所広司。そして、小西真奈美、伊原剛志、オダギリジョー、加瀬亮、さらに3年半ぶりにスクリーンに復帰した葉月里緒奈と、国際的な活躍も目覚しいオールスターキャストが集結。まさに黒沢清の新作に相応しい”本格派”と呼べる映画の誕生である。

ストーリー

刑事・吉岡(役所広司)の周辺で続発する殺人事件…。犯人を追い詰める立場であるはずの吉岡だったが、次第に妙な感情に揺れ始める。自分が犯人ではないのか…被害者の周辺に灰かに残る自分の痕跡、残倖…そして自分自身の記憶すら自らの潔白を何も語らないのだ。
苦悩する吉岡を遠い視線で見つめる春江(小西真奈美)。もう随分と長い関係だが、その距離感は微妙だ。現存する時間の流れすら、いつしか遥か過去のような二人の関係。
吉岡の同僚・宮地(伊原剛志)も疑惑の目線を吉岡に向け始め、友情と職責の狭間で苦悶する。
一方、消えかけた記憶と過去に怯える吉岡は一人、精神科医・高木(オダギリジョー)の元を訪れ、カウンセリング施療を開始するも、脳髄を包む濁った霜は消え去ることはなく…。
そんなある日、第一の殺人現場を、まるで自分自身の記憶を確かめるように彷復う吉岡を不気味な叫び声が襲う。
「あなただけ許します…」
自らの二重人格者のような過去に苦悩する吉岡、そんな吉岡を氷のような無表情さで見守る春江、いつしか刑事という職責を超え事実解明の犠牲となる宮地、高度なカウンセリングを駆使するも吉岡の闇を消せない精神科医・高木、そして吉岡に「この船に乗って、裏側を覗いてみないか…」と謎めき誘う作業船の男(加瀬亮)…。
謎が闇を呼び、これは現実なのか、それともどこか別の世界なのか…濁った水と黒い闇の糸で繋がれた人々の運命の物語は、静かに現在と過去、いや過去と現在の間で絡み合い…吉岡は知らぬ問にその秘密に巻き込まれていく…。
そして物語の果てには、想像しえないエンディングが待ち受ける。今、明らかになる叫び声の正体とは?「あなただけ許します」に隠された秘密とは…!?

スタッフ

監督:黒沢清
プロデューサー:一瀬隆重
製作:エイベックス・エンタテインメント、TBS、日活、ENTERTAIMMENT FARM、オズ

キャスト

役所広司
小西真奈美
伊原剛志
平山広行
オダギリジョー
加瀬亮

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